三江線 日本海へ注ぐ | Office3110  旅・鉄 (わ+さ)び

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国内外問わず旅が好き。日常から旅先まで、自然、歴史、そこに暮らす人、食とぬくもりを感じるままに楽しむ。ちょっと軽めの「鉄」も混ぜながら。

石見川本は小さいながらも地方駅らしさと元気を感じる街。


乗ってきたまだ30代とおぼしき元気な地元女性が、どちらかというとどんよりとした

テツ屋に誰彼となく旅の会話を始め、しきりに三江線をPRしている。

川本から乗ってきた乗客も皆にこやかで、絵に書いたようなローカル線の良さを感じ

させてくれる。

小さなこどもの手を引いたお母さんが、「電車は、ガタン、ゴトンって、走るんだよ」と

語るように言い聞かせているが、この子の記憶の中に、三江線は残るのであろうか、

と考えると、少し寂しい気持ちがする。


鹿賀、石見川越、田津、川戸と、江の川の表情もすっかり川下の雰囲気になり、

あたりの町、村もすっかり明るくなって、眩しいばかりの夏の日差しと緑の中を進ん

でゆく。


千金をでると遠くに河口が見えてくる。川幅もすっかり広がり、日本海はもう目の前だ。

三江線は、先に書いたように、江津から三次方が下りになるが、この線に乗るなら、

ぜひとも三次からの上り列車をおすすめしたい。

野を越え、山を越え、なんどとなく川をわたり(実際には全線で7回)、深い山あいが

徐々に開けて日本海が広がる風景は感動的でもある。




全線35駅、多くの駅が一日平均乗降客が片手に満たない駅であろうと、列車は

ひとつひとつの駅に、本当に丁寧に止まりながら淡々と走る。



幾度となく自然災害に見舞われながらも、都度復旧し、人々の生活をつないできた

三江戦ではあるが、地元の活動、応援団の努力も虚しく、残念ながらこの鉄路の

廃線は現実のものとして、カウントダウンに入ってしまった。

時の流れの中にやむを得ないことではあるが、また一つ、古き良き国鉄の遺産が

来てゆくのは本当に寂しい限りである。



 

(了)