1223日、ジョン・イーストマンは、彼の2つの「16日シナリオ」覚書の最初の草案を作成し、副大統領が合衆国憲法に基づく「最終的裁定者」であるという主張を述べた」

12月23日、ジョン・イーストマンは、「トランプ大統領が再選される」ことを確保する方法をまとめた2頁の覚書を書いた。イーストマンは、ペンス副大統領が、アリゾナ、ジョージア、ミシガン、ネバダ、ニューメキシコ、ペンシルバニアそしてウイスコンシンの7州からの選挙人団票の集計を拒否することができるということを示唆した。イーストマンによれば、ペンス副大統領は、これらの州の選人団票を単純に拒否することができた。その時点で、トランプ大統領は、バイデン前副大統領の222票に対して232票を得たことになるだろう。イーストマンの見解では、これだけでトランプ大統領の勝利を保証するには十分であった。なぜなら、トランプ大統領が選挙人団票の過半数を得ているからだ。「ペンスは、そしてトランプ大統領が再選されたと小槌をたたくことになる」と、イーストマンは書いた。

 

イーストマンは、連邦議会の民主党議員が選挙に勝利するためには選挙人団の過半数となる270票が必要であるという明白な真実を述べて拒否する可能性について検討した。イーストマンによれば、その場合においては、選挙が下院に送られる可能性がある。下院において共和党が過半数を支配していることで、トランプが大統領に再選されることなる。「ここでの主たるポイントは、ペンスが合同会議の議決あるいは最高裁判所のいずれかからの許可を求めることなく、これを行うべきであるということにある。事実は、合衆国憲法がこの権限を究極的な裁定者としての副大統領に付与しているということである。」と、イーストマンは結論を述べた。

 

最初から、トランプ大統領は、イーストマンの提案に関する情報を与えられた。イーストマンは、その覚書の作成を開始した同じ日の午後1時32分に、Eメールをトランプ大統領の補佐官モーリー・ミッシェルに送信した。「本日のいずれかの時点で、大統領と電話で極めて短い話をすることは可能でしょうか。全般的な戦略上に関する我々の考え方について最新情報を大統領に提供したい。」5分後、イーストマンは、ホワイトハウスの交換台からの電話を受けた。彼の電話記録によれば、会話は約23分間続いた。

「イーストマンは、トランプ大統領が選挙に敗北した後、憲法修正第12条と副大統領に関する彼の評価を変更した」

 

トランプ大統領の1月6日の策略の根底にあったイーストマンの理論においては、合衆国副大統領が「究極的な裁定者」であり、2020年大統領選挙の勝利者を一方的に決定することが可能であった。しかしながら、2020年大統領選挙前には、イーストマンは、副大統領にはそのような包括的な権限を有してはいないということを書面で認めていた。

 

ブルース・コルバートという名の個人との選挙の前と後におけるアイデアとEメールの長期にわたる交換の過程で、イーストマンは、トランプ大統領に宛てて作成されていた書簡の草案にコメントを加えた。その書簡草案は、トランプ選挙対策本部が「合衆国大統領としてトランプ大統領の勝利を確保することに役立てるために講ずるべき重要な法的措置」 に関する助言を提供することを意図したものであった。その書簡草案の助言の一つは、「上院議長は州からのどの「証書」を開封するかを権威を持って決定するということであった。それに対する反応で、イーストマンは2020年10月17日に、「私はこれには同意しない」と書き、「修正第12条は、上院議長は、合同会議で票を開票し、その後、受動態で、その票は集計されるものとすると述べている。合衆国法典第3篇12条は、副大統領が議長であるとだけ述べており、その後、選挙人票が集計される具体的な手続き、仮定そして初期規則を定めている。それはどこにも上院議長が彼自身で判断を行うことができることを示唆してはいない。第15条もそのことを示唆してはいない」と続けた。

 

 

12月の第1週までに、イーストマンの同じ人物との通信は、彼が選挙前まで拒否していたポイントそのもの、すなわち、「修正第12条が上院議長にどの選挙人票を集計すべきかを決定する権限を付与しているということ」を提唱することを受け入れたことを説明している。そして2020年12月5日、イーストマンは、「私はこの問題に関して命令系統の最頂点にいる連中と直接話をした。彼らは今ではこの問題について理解している」と、コルバートに書いた。

 

そのEメールはまた、イーストマンがその後数週間にわたり繰り返し続けることになる、裁判所からの許可を得ることなく副大統領は行動することができるというもう一つの考え方も示唆していた。特に、イーストマンは、彼らが副大統領の権限は「司法判断に適合しない政治問題である、すなわち、ペンス副大統領は単に行動するだけであり、いかなる裁判所もその問題に関して判断を下す管轄権を有することはないという立場を採用することができると主張した。その月の後半でイーストマンのEメールが明らかにするように、彼は、この問題に対する裁判所による関与を避け続ける重要な理由があると考えた。すなわち、裁判所は、この理論が違法であると判断することになるだろうということだ。

「イーストマンの「16日シナリオ」は、副大統領が大統領選挙人の認証について規定している連邦法である選挙人集計法に違反することを明確に要求していた」

 

イーストマンの2頁の12月23日の覚書には、注目に対する他の部分があった。イーストマンは、ペンス副大統領が1月6日の連邦議会の上下両院合同会議の議長に関わらないことができると書いた。その場合には、両院合同会議は、上院仮議長(Senate President Pro Tempore)であるチャールズ・グラスレー上院議員(共和党:アイオワ選出)が監督することになる。イーストマンは、ペンス副大統領(あるいはグラスレー上院議員)が選挙人集計法に違反すべきであると明確に主張した。「アリゾナの順番になったとき、ペンス副大統領は、複数の選挙人名簿があることから、他の州の集計を終了するまでその決定を延期する。これは、同法に規定されている手続きの最初の中断となるだろう」と、イーストマンは書いた。このイーストマンの覚書が公然と提唱している「手続きのこの中断」は、他の言葉に言い換えれば、副大統領が同法に違反することであった。チェスブローは、イーストマンの覚書を最初に読んだ時、好意的にコメントし、「非常に素晴らしい」と宣言した。

 

この時点で、イーストマンは、連邦議会が選挙人法に定められた手続きに従うことになる可能が高く、「上院と下院は討議を行うために彼らの別々の議場に分かれることになるだろう」と続けた。しかし、イーストマンは、「我々は、選挙人集計法

 

の討論に関する制約が手続きを支配することを許すべきではなく、トランプチームは、フィリバスターを含む通常のルールを要求すべきである」と助言した。イーストマンは、これが行き詰りを生み出すことになり、州議会が、もし彼らがそうしていなかった場合には、バイデン選挙人に代わるトランプ選挙人を公式に支持するために介入するより多くの時間を与えることになると考えた。他の個所で既に論じたように、彼がこの覚書の草案を作成したとき、そして選挙後の全期間を通じて、イーストマン、ジュリアーニ、トランプ大統領その他の関係者は、特定州の認証されたバイデン選挙人を同時に差し替えようとしていた。イーストマン、ジュリアーニ、トランプ大統領は全員、州議会議員に対して彼ら自身の選挙人を指名するか、トランプ陣営の偽選挙人を認証するようプレッシャーを行使していた。

 

「イーストマンの理論は、「常軌を逸し、クレージーで、馬鹿げており、実際にはけっしてうまくいかないだろう」―トランプ大統領のホワイトハウス高官や選挙対策本部の幹部の発言」

 

ホワイトハウスでトランプ大統領のために働いている弁護士のエリック・ハーシュマンは、イーストマンの覚書について話をするためにイーストマンと会った。ハーシュマンは、イーストマンの計画は「クレージーである」と思った。ハーシュマンは、会話の概要を特別委員会に証言した。:

「そして、私は彼に、すこし待って欲しい、あなたの言っていることを理解したい。あなたは、上院議長として行動する副大統領が、あなたの理論によれば、だれが次の合衆国大統領になるかに関して単独の決定者となることができるということを確信していると言っているのですかと質問しました。そして、彼はそうだと言いました。私は、あなたはまともではないのではないのか、大丈夫ですかと述べました。それは、かなり単刀直入でした。私は、あなたは完全に気が狂っている、と言いました。

あなたは、この国の7800万人以上の人々に向かって、選挙が盗まれたとあなたが考えていることから、あなたの理論が彼らの票を無効にしようとしている方法であると告げようとしているのか。彼らは決してそれを認めることはないと思うと私は述べました。あなたは、街頭での暴動を引きおこそうとしている。そして、彼は、我が国には民主主義を守るため、あるいは共和政を守るための暴力の歴史があったという趣旨の発言をしていた。」

ハーシュマンが詳しく話をしたように、イーストマンは、ペンス副大統領が彼とトランプ大統領の要請したことに従っていた場合に暴力が発生する見通しに対するいかなる懸念も持っていなかったことは衝撃的であった。

 

ハーシュマンは、短刀直入な質問をした。いくつかの州が彼らの選挙人を認証し直したいのであれば、なぜ彼ら自身がそれを行っていないのか。なぜこれらの州が連邦議会の会議にやってきて、我々は州の選挙人を変えたいと述べないのか。なぜ、副大統領がこの路線を追求する必要があるのか。イーストマンは、無反応であった。ハーシュマンは、イーストマンの計画はクレージーであることに加えて、現実の世界でそれが上手くいくいかなるチャンスもないと思った。

 

ハーシュマンは、さらにイーストマンを追求し、副大統領あるいは上院議長として行動するいずれかの人物が何らかの法律を無効であると宣言したという前例を持っているのかと尋ねた。イーストマンは、「ない」と答えたが、「今は、前代未聞の時代なのだ」と主張した。ハーシュマンはこれには全く心を動かされず、「馬鹿げた」回答だと称した。

 

大統領法律顧問のパット・シポローネは、イーストマンの計画が「ばかげている」と思った。トランプ選挙対策本部のジェーソン・ミラーは、同対策本部法律顧問のマット・モーガンと副本部長ジャステイン・クラークがイーストマンはクレージーだとみなし、「いずれにしても彼の「理論」にはいかなる形もない」と理解しており、彼らの話を聞く人々との間でその見解を共有したと委員会で証言した。

 

 

(「副大統領は選挙結果に影響を及ぼす能力を持っていないというペンス副大統領の結論」に続く。)