2014年9月のある日。ブルマン藤井が深刻な顔をして私とマイケルにCDを手渡した。
訊けば、『こんなテイストの曲を作ることは可能か?』と宣う。
こんなテイストの曲とは彼のBABYMETALのアルバムに収録されている『いいね!』である。
『いいね!』は高い演奏力と彼女らならではのキャラクター、丁寧なアレンジが為された名曲であるのだが、このような曲をミソッカスでやりたいと宣うのだ。
誤解のないように重ねて触れておくが、『いいね!』は名曲である。
しかしながら我々のような若干陰キャラチックな野郎どもが『いいね!』と前向きなフックの効いたフレーズを歌おうものならば、twitter、youtubeを入り口とした各方面から『良くねぇよ!』と野次の集中砲火を浴びることは必至である。
なぜなら、BABYMETALが『いいね!』と歌う分にはアイドルならではのアッパーで元気を与えてくれる響きが『いいね!』という言葉に宿るが、我々が『いいね!』と歌えども悲しいほど説得力がない。むしろ誰かに言って欲しいと常々望んでいる体たらくの我々に『いいね!』と言われても、『本当にいいのか?』『てめぇ、本心からそう思ってるのか!』などと不安や怒りしか湧いてこない。
かような事態を回避すべく、私の心からの叫びのうち一つを楽曲にすることにした。
それが『ちょっと待ってくれないか』である。
先にPC上でカラオケを作っておき、思うがままに叫び続けた作曲現場は例えメンバーにも見られたくないし、メンバーだって覗きたくはなかったであろう暗黒模様であった。
そんな暗黒模様真っ只中から出てきた『ちょっと待ってくれないか』
思い返せば中学3年生の頃に破れさった私の片想いに端を発するのである。
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中学3年生の夏。私は同じ生徒会に所属していた同級生に恋をしていた。
彼女は英語に関心を持ち、その夏は英語の授業で教師が取り上げたエアロスミスの『Miss a thing』に夢中でベスト盤を購入していた。
私も彼女からどうにかCDを借り、感想を述べて少しでもお近づきになるために隅々までCDを聴き込み、ママキンやクレイジー、エンジェルやwalk this wayのrunDMC抜きバージョンなどへの賞賛を述べたが、Miss a thingに夢中な彼女はそれ以外の曲をあまり聴いておらず、私は盛大に空振りをした。
そんなこんなで中学生活最後の夏休み、空振りを喫してやけっぱちな私は一か八かと想いの丈を伝えたのだが、『ごめん、友達にしか見れない』という通告の前に撃沈した。
『トマトも食えない俺だけど』などというキザぶったわりに全く洗練されてない暗黒模様たっぷりな告白っぷりには、言った当人である私も『勝手にしてくれ!』と叫んだ後に誰も私のことを知らない土地に亡命したくなる。
今、とても亡命したい。
余談だが、私がギターを始めたのはその時の負のエネルギーの賜物である。
ちょっと待ってくれないか、あの出来事があったからギターを弾き始めて当時予想だにしなかった人生を歩いてる私を見てくれないか?
私なりの心の声が少しでも届くことを願う。
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