シナリオ【あの夏あの島で】 完結 | Novel & Scenario (小説と脚本)

Novel & Scenario (小説と脚本)

お越しいただきありがとうございます。
このサイトはKATARAのオリジナル小説とシナリオを掲載してます。

このシナリオは小説の下書きとして書かれたものです。シナリオ全文はホームページでも公開中です。


 

●学生食堂

 

美歩が彩たちといる。笑顔で話している。

 

 

 

 

●フロントガラス越しの風景

 

自動車学校のコースを走る。

 

 

 

 

●車内

 

美歩が運転している。隣りに教官。

 

彩の声「(先行して)連絡は全然?」

 

 

 

 

●横浜ベイブリッジ

 

 

 

 

●山下公園

 

美歩と彩がベンチにいる。

 

美歩「うん、すぐはしづらくて、そのうちそのうちって思ってるうち、タイミング逃がしたような」

 

彩「ふーん」

 

美歩「むこうからも来ないし。どうしてんだろね」

 

 

 

 

●フラッシュインサート

 

最後の日の車内。

 

美歩「行く時は、教えて下さいね」

 

 

 

 

●山下公園

 

美歩「――」

 

彩「江の島のお店は行ってない?」

 

美歩「8月いっぱいで辞めてからは」

 

彩「そう」

 

美歩「すごい前な気がする」

 

彩「――私余計なこと言ったかね?」

 

美歩「何を?」

 

彩「気をつけなとか、『遊ばれないように』とか」

 

美歩「それがなに」

 

彩「余計なこと言って、美歩が自然体じゃなくなって、それ原因でうまく行かなかったんなら、私にも若干責任あるかって」

 

美歩「(苦笑し)ないよ。ない。影響あったとしても、ちゃんと消化して、私は私のまんまで行ったし」

 

彩「うん」

 

美歩「好かれなかっただけ」

 

 

 

 

●フラッシュインサート

 

最後の日の車内。

 

勇翔「美歩ちゃんにできることは何も」

 

 

 

 

●山下公園

 

美歩「そのうちいい思い出になります」

 

彩「――江の島行こうか」

 

美歩「え?」

 

彩「そのお店にも顔出して」

 

美歩「私のハナシ聞いてたか?」

 

彩「行ってみたくない?」

 

美歩「行ってどうなるもんじゃないし」

 

彩「それならそれでいいじゃん。そうやって上書きしてけば早く思い出になる」

 

美歩「そうかね?」

 

 

 

 

●鵠沼海岸と江の島・遠景(後日)

 

海岸に人は少ない。

 

 

 

 

●弁天橋

 

美歩と彩が江の島に歩く。

 

美歩「すっかり秋だな」

 

彩「陽射しはまだ強いけど」

 

美歩「でも空気が違う。別の場所みたい」

 

彩「ふーん」

 

美歩「寂しいね」

 

 

 

 

●ふたりの散策のスケッチ

 

思い出の場所を淡々と通過する。

 

塚本が待っていた橋のたもと。青銅の鳥居。潮田家の駐車場に行く道。仲見世通り。勇翔をはじめて見た坂の途中。しおさいに曲がる角。勇翔と登った石段。鎌倉の花火大会を眺めた場所。江島神社。龍恋の鐘。

 

 

 

 

●しおさい・表

 

美歩「(来て)ここ(と後ろの彩に言う)」

 

彩「へぇ」

 

 

 

 

●しおさい・店内

 

すいている時間帯。客が1組いる。

 

色葉「(来客に気づき厨房から来て)いらっしゃいませ。あ、美歩ちゃん」

 

美歩「しばらくです」

 

色葉「いらっしゃい(笑顔になって)どうしたのー(と近づき)」

 

美歩「ともだちと遊びに」

 

色葉「(抱きついて)びっくりしたよぉ。なんで急に」

 

美歩「ヘヘヘ、サプライズ?」

 

和代「(厨房から来て)ほんと美歩ちゃんだ」

 

美歩「ご無沙汰です」

 

和代「やだ会いたかったぁ(と近づく。よけた色葉と代わってハグ)」

 

美歩「私も私も。お元気そうで」

 

源治「お(と厨房から来て)美歩ちゃんじゃない。おー(と手を広げて近づき)」

 

色葉「ダメだジジイ(と手で制し)」

 

和代「蹴るぞ足」

 

源治「おう(と悲しい顔)」

 

美歩「ハハハ。ダメダメ。また折れちゃう」

 

「ハハハ」と笑う美歩、色葉、和代、源治。彩は入れずに愛想笑い。

 

 

 

 

●しおさい(時間経過)

 

店のテーブルやメニュー、テレビなどをスケッチして、

 

彩「(見まわし)ここで働いてたんだ」

 

美歩「そう」

 

彩「別人みたいだった、さっき」

 

美歩「そお?」

 

彩「食べたら私、先に行ってるね」

 

美歩「どこ?」

 

彩「お土産見てまわって下の鳥居あたり。のんびり待ってる。ゆっくり話して」

 

美歩「うん――ありがと」

 

色葉「(料理を持ってきて)お待たせしました」

 

 

 

 

●仲見世通り

 

江の島花火大会のポスターがある。

 

彩がひとりで下りてくる。土産物屋を見たりする。

 

 

 

 

●潮田家・居間

 

勇翔と色葉の両親の写真。その前に美歩がいる。目をつぶっている。

 

色葉「(湯呑をのせたお盆を持ってきて)お茶でいい? 店のだけど」

 

美歩「はい、ありがとうございます」

 

色葉「座って」

 

美歩「うん」

 

 

 

 

●しおさい

 

和代と源治が賄い中。テレビを見ている。

 

色葉の声「(先行して)元気そうでよかった」

 

 

 

 

●潮田家・居間

 

美歩「(微笑で)元気ですよ」

 

色葉「彼氏できた?」

 

美歩「まさか(驚く。真顔で)そんな簡単には、できないス」

 

色葉「そうね」

 

美歩「あ、でも、そういう意味じゃなく、だってまだひと月半じゃないですか」

 

色葉「そうね、まだ」

 

美歩「あ、だからそういう意味じゃなく、いえ、なに言ってんだ私、ひとりで」

 

色葉「(笑って)相変わらずね美歩ちゃん」

 

美歩「ですね(苦笑)全然進歩ない」

 

色葉「勇翔から連絡は? ない?」

 

美歩「ええ、ありません」

 

色葉「そう。ここにも帰ってないの。あれから一度も」

 

美歩「そうですか」

 

色葉「LINEは一度やりとりしたけど。テレビ番組の制作会社? 小さなとこに勤めたって。アルバイトだけど」

 

美歩「へぇ――」

 

色葉「アパートはどこだったかな(自分のスマートフォンを見る)えーと、ちょっと待ってね」

 

美歩「夢、めざすことにしたんですかね」

 

色葉「うん、たぶん。諦めらんなかったみたい」

 

美歩「そう。よかった(涙が込み上げ)よかった」

 

色葉「――」

 

美歩「(バッグをあけてハンカチを探す)」

 

色葉「会いたい?」

 

美歩「(首を振り)邪魔したくないんで、もう。せいぜい綺麗に終わんないと」

 

色葉「――」

 

美歩「(ハンカチで涙ふいて)ヘヘヘ」

 

色葉「前にチラッと話したけど」

 

美歩「ええ」

 

色葉「あいつに好きなことしなって言った時」

 

 

 

 

●色葉の記憶・しおさいの厨房(夜)

 

色葉と勇翔が片づけながら。

 

色葉「じいちゃんとばあちゃんはだいじょうぶ、私がいるし。あんたはあんたでやりたいことしな」

 

勇翔「うん――」

 

色葉「美歩ちゃんはどうなの」

 

勇翔「どう?」

 

色葉「いい子じゃない。かわいいし、性格いいし、ちょっと抜けてるのがまたかわいい」

 

勇翔「――」

 

色葉「あんたと合うと思うよ」

 

勇翔「かわいそうだろ、巻き込んじゃ」

 

色葉「――巻き込んじゃって」

 

勇翔「いい人できるよ、すぐ。お節介やめろ、もう」

 

 

 

 

●現実・潮田家・居間

 

美歩「――」

 

色葉「結局やめなかったけど、お節介」

 

美歩「いえ」

 

色葉「確かに自分は離婚しといて――でも、したからかな。誰かが悲しいのはね、もう」

 

美歩「――」

 

色葉「好きになれなかったとかじゃないから、あいつ。好きでもまだあの時は、自信なかったんだと思う」

 

美歩「だけど――」

 

色葉「うん?」

 

美歩「今はもう、なんでもないかもしれないし」

 

色葉「そう思う?」

 

美歩「違うとしても、まだ連絡ないのは同じ――私にできることは何も」

 

 

 

 

●フラッシュインサート

 

最後の日の車内。

 

勇翔「何もないよ」

 

 

 

 

●潮田家・居間

 

色葉「しづらいのかもしれない、連絡したくても」

 

美歩「――」

 

色葉「憶測はダメね。ごめん」

 

美歩「今がどうでも、これからどう変わっても、あのとき私じゃダメだったんで、それが全部なんだと思います。そういうめぐりあわせだったんで」

 

色葉「うん――」

 

美歩「だから、前に進まないと」

 

色葉「――わかった」

 

 

 

 

●弁天橋のたもと辺り

 

彩がスマートフォンを見ながら待っている。気づいて見た方向から美歩が来る。微笑。

 

彩の声「(先行して)もう1回、もう1回だけ」

 

 

 

 

●弁天橋

 

江の島から来る美歩と彩。

 

彩「連絡してみたら? 軽いノリで。とりあえずコンタクト」

 

美歩「いい(首ふる)」

 

彩「希望ないんかな」

 

美歩「立ち直れないよ、違ったら。怖い。もうそんな勇気残ってない」

 

彩「うん――」

 

美歩「来なきゃよかった、今日」

 

 

 

 

●回想・潮田家・居間

 

色葉「好きになれなかったとかじゃないから、あいつ。好きでもまだあの時は、自信なかったんだと思う」

 

 

 

 

●弁天橋

 

美歩「長引きそう」

 

彩「――ごめん」

 

美歩「(微笑して)そうだ反省しろ。今日はパンケーキおごれ」

 

彩「(苦笑し)了解」

 

 

 

 

●大学(後日)

 

講義を聞く美歩。彩。

 

 

 

 

●フラッシュインサート

 

鎌倉の花火大会を見た夜の勇翔。

 

 

 

 

●電車内

 

美歩が席に座って揺られている。スマートフォンを見ている。

 

 

 

 

●美歩と勇翔のツーショット

 

 

 

 

●波多野家・ダイニング

 

美歩が両親と夕飯。

 

 

 

 

●フラッシュインサート

 

台風の夜にテレビを一緒に見た勇翔。

 

 

 

 

●自動車学校

 

学科の授業を美歩が受けている。スマートフォンの振動。画面を操作する。

 

 

 

 

●LINE画面

 

色葉からのメッセージが来ている。

 

色葉〈突然だけど今度の土曜日バイトできない? 江の島の花火大会だから混むの。お願い!〉

 

 

 

 

●自動車学校

 

美歩「――」

 

 

 

 

●回想・潮田家・居間

 

勇翔「こんな日は滅多ないけど。あとは江の島の花火大会ぐらいで」

 

 

 

 

●片瀬海岸西浜(後日・朝)

 

花火大会当日で準備する人々がいる。

 

 

 

 

●仲見世通り

 

美歩が自転車を押して登る。

 

 

 

 

●しおさい・表

 

美歩が店の前を通過し、裏口の脇、以前の場所に自転車をとめる。鍵をかける。店の入口に戻る。

 

美歩「(驚いて止まる)」

 

勇翔「(仲見世通りから来て)あ(と驚き止まる)」

 

美歩「なんで」

 

勇翔「どういうこと」

 

美歩「色葉さんに臨時で、バイト頼まれて」

 

勇翔「ああ、俺は。え、美歩ちゃんも?」

 

美歩「ええ。勇翔さんも?」

 

勇翔「どういうことよ(店内へ)」

 

美歩「(続く)」

 

 

 

 

●店内

 

和代「(あいた戸を振り返り)アラふたりで、おはよ」

 

勇翔「おはよ」

 

美歩「おはようございます」

 

勇翔「姉貴は」

 

和代「休みよ」

 

勇翔「休み?」

 

和代「ともだちと約束って、朝早く出かけたけど。それでふたりを頼んだって」

 

勇翔「え?(美歩と顔を見合わせてから和代に)ばあちゃんは聞いてた?」

 

和代「聞いてたよ。え? 聞いてない?」

 

勇翔「ない」

 

美歩「ないです」

 

和代「あそう」

 

勇翔「約束ってなに。いつ言ってた」

 

和代「茅ヶ崎のともだちって言ってたかな。急用って。木曜だったか」

 

勇翔「木曜?」

 

源治「よお、おはよう(ニヤニヤ来る)ウフフ」

 

勇翔「なに笑ってんの(と真顔)」

 

源治「いや前みたいだなって。なんだよ(と勇翔の真顔にビビる)」

 

 

 

 

●江の島のにぎわい

 

花火の場所とりが始まっている。

 

 

 

 

●しおさい

 

繁忙。働く4人。美歩は働きながら勇翔をまじまじと見てしまう。勇翔が見ると目をそらす。

 

和代「美歩ちゃんそっち、拭いてくれる?」

 

美歩「はい(と皿を洗う勇翔の横に来る。洗い上がった皿を拭く)バスで来たんですか?」

 

勇翔「ん?」

 

美歩「歩きなら、橋の途中で追い抜いたかって、気づかなかったから」

 

勇翔「ああ、バスだね、藤沢から」

 

美歩「へぇ」

 

勇翔「姉貴から頼まれたのいつ」

 

美歩「あ、火曜に」

 

勇翔「――なるほど」

 

美歩「勇翔さんは」

 

勇翔「月曜だね」

 

美歩「はぁ」

 

勇翔「あの女――策だな。これは策」

 

美歩「はぁ」

 

 

 

 

●しおさい・表(夜)

 

店から団体客が出てくる。

 

 

 

 

●しおさい・店内

 

和代「(テーブルを片しながら)潮が引くようね」

 

美歩「(別のテーブルを片しながら)ええ、あっという間に」

 

和代「6時だから花火。美歩ちゃん休憩して。お昼もちゃんと取ってないでしょ。45分に終わるとまたちょっと入るから、それまで」

 

美歩「はい」

 

和代「上で見るといいよ。色葉ちゃんの部屋。まえ泊まったでしょう」

 

美歩「あ、見えるんですか?」

 

和代「バッチリ。ベランダから目の前。すごいよー」

 

美歩「へぇ」

 

 

 

 

●しおさい・厨房

 

勇翔が働いている。美歩が休憩に行く途中で見るが、勇翔は気づかない。忙しそう。美歩、諦めて住居の方へ。

 

 

 

 

●片瀬海岸西浜(夜)

 

花火が上がる。夜空で光の輪が広がりドンと音が響く。

 

 

 

 

●仲見世通り

 

花火を立ち見する人たちで混んでいる。歓声。

 

 

 

 

●潮田家・2階

 

色葉の部屋の窓ガラスに花火が映る。美歩が中からあけて空を見上げる。

 

美歩「わー、すごー」

 

 

 

 

●夜空

 

花火。その爆音。光の輪がいくつも重なる。

 

 

 

 

●潮田家・色葉の部屋

 

美歩「(ベランダに出る。見ている)」

 

勇翔「(階段を上がってきて部屋の入口で)コンコン」

 

美歩「(花火の音で聞こえない。空を見ている)」

 

勇翔「(部屋に入って近づきベランダに出て)お疲れさん」

 

美歩「わ!(ビクッと振り向き)びっくりしたぁ(と身を縮め、無言でぶつ)」

 

勇翔「いや、俺のせいじゃねーし」

 

美歩「(息を整え)お疲れさまです」

 

勇翔「これ今日の分、今のうちって(封筒を出す)」

 

美歩「あ、ありがとうございます(受け取る)」

 

勇翔「ふたりに言って(空を見上げ)すげーなやっぱここ」

 

美歩「ええ」

 

花火を見ているふたり。

 

美歩「まだドキドキする(と胸を押さえる)」

 

勇翔「(それを見てからまた花火を見上げ)彼氏できた?」

 

美歩「え?」

 

勇翔「悪い男にだまされてない?」

 

美歩「――できないですよそんな」

 

勇翔「そう」

 

美歩「だまされましたけど」

 

勇翔「うん?」

 

美歩「今日色葉さんに。男の人じゃないけど」

 

勇翔「あぁ――」

 

美歩「でも、来てよかったです。よかった」

 

勇翔「――」

 

花火がやむ。静寂。

 

勇翔「元気そうだね」

 

美歩「まぁ、なんとか」

 

勇翔「勉強してる?」

 

美歩「ええ。自動車学校かよってて」

 

勇翔「あぁ、言ってたね」

 

美歩「でも、運転の才能はなさそう」

 

勇翔「(微笑し)目に浮かぶよ」

 

美歩「勇翔さんは、元気ですか」

 

勇翔「まぁ、なんとか」

 

美歩「そう。よかった」

 

勇翔「連絡しようと思いながら――」

 

美歩「え?」

 

勇翔「今さらかって。ひどいことたくさん言ったし、とっくに嫌われてるって」

 

美歩「――」

 

勇翔「でも、今頃どうしてるかって、よく思った」

 

美歩「――」

 

勇翔「毎日おんなじ仕事の繰り返しで、前進なくて、なにやってんだって時に美歩ちゃんを思うと、一瞬忘れられた。あの頃を思い出すと」

 

美歩「――」

 

勇翔「でもこれ、本当に好きとかじゃなく、ただ気を晴らすため、毎日に張りがなくて、それ欲しくて、ムリクリ思い出してんじゃって」

 

美歩「(目を伏せ)ひどーい」

 

勇翔「寂しくて――ひどいね、確かに。自己中。でも、嘘でもそういうの必要で」

 

美歩「――」

 

勇翔「だけど、今日会って嘘じゃなかったって、わかったよ、ほんとに会いたかったんだって」

 

美歩「――」

 

勇翔「会いたかった。どんなに元気もらえたか――会えなくなってよくわかった」

 

美歩「――」

 

勇翔「それが今の気持ち。信用できないかもしれないけど」

 

美歩「――」

 

勇翔「虫がよくて、ふられて当然。それだけのことした」

 

美歩「――信用しますよ」

 

勇翔「(見る)」

 

美歩「今の気持ちで、いいじゃないですか。この先どうなるか、変わってもその時はその時。踏み出さなきゃわかんない」

 

勇翔「――ああ」

 

美歩「それでも今、そばにいられるなら(涙が浮かぶ。拭く)」

 

勇翔「(うなずいて手を出す)」

 

美歩「(勇翔を見ないまま手をつなぐ)」

 

勇翔「ごめんね、今まで。ごめん」

 

美歩「(首を振る。それから思い出し)そうだもう1回、もう1回残ってる」

 

勇翔「うん?」

 

美歩「送ってくれる券。いつでも使えるって言ったのに、使ってない。使う」

 

勇翔「あぁ――でも今日は、自転車じゃ」

 

美歩「今度。絶対。ドライブとか行く」

 

勇翔「わかったわかった」

 

ふたり笑い合う。

 

それから目をつぶりキスする。

 

ふたりのむこうで花火が再開。夜空に瞬く光。連続する破裂音。

 

 

 

 

●江の島の空撮

 

いくつもの花火が輝いては消える。

 

F.O.したあとタイトル「あの夏あの島で」

 

続いてエンドロール。

 

 


このシナリオは小説の下書きとして書かれたものです。シナリオ全文はホームページでも公開中です。


▼クリック感謝! 
にほんブログ村 
人気ブログランキング