小説 【 楽園 】 -1- | Novel & Scenario (小説と脚本)

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そのペットショップは売れずに大きくなった犬や猫を山中に捨てた。

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店のある街から車で2時間の山奥、街灯もなければ舗装もされてない山道に今夜連れてこられたのはゴールデンレトリバーのメス。生後7ヶ月。よく食べる子犬だったが丸一日なにも与えられず、腹をすかしてクーンクーンと鼻を鳴らした。ケージを出されると店員の男の足にまとわりつく。男がそこらにドッグフードを撒くと夢中で食べた。そのあいだに男は切り返しておいた店のワゴンに戻り、乗車すると発進。犬を置き去りにする。気づいた犬は追いかけたが車は速く、赤いライトはどんどん離れて見えなくなった。

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そこからさらに山奥は人の入ったことがない深い森で小人が住んでいた。背丈は大人で20センチほど。草木の繊維で編んだ服や靴を身につけ狩猟採集で暮らしている。食べ物は木の実や山菜、キノコ、自分たちより小さなカエルやトカゲなどの小動物、小魚や貝類。鳥の卵も盗む。道具は木製や石製、獲物の骨も利用した。さらに土器。木の実の殻も器になる。狩りや採集には数人のグループで出かけ、動物相手の狩りには男だけ、それ以外の採集は女たちで行き護衛の男がひとりつく。

今日の山菜採りについた護衛はホロンという青年だった。石製の鉈を振り草むらを進む。ついていく娘は3人。彼女たちの持つ鉈は小ぶりで採集専用。ホロンの持つ鉈は大きく武器になる。それぞれが周囲を警戒して歩いた。森には小人より大きな動物がたくさんいて肉食なら小人を捕食するし虫さえ危険な種類が多い。

 

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