趣味で能面打って20年。今はカルチャーセンターで教えています能面パパです。

20年とはいえ、能面はご案内の通り、そんなに数打てるものではありませんので、年数のわりには多くありません。

近年は、異なる面を同時進行で打っているので一年に一個でもありませんが、それでも季節をふたつみっつ越えるのはザラ。

完成した能面は壁に飾っているのもありますし、よそさまにもらわれていったのあります。
でも、ほとんどの面はひとつひとつ能面袋に入れて保管しています。


こんな感じ。
能面パパは着物地を袋にしています。
叔母が裁縫めちゃくちゃ得意なんで、古い着物をリメイクして作ってくれてます。
安い着物でも、絹が保存の点から適してるそうです。

いま作っている鷹の面も袋にいれてます。


絹に入れてると、木の余計な脂が吸収されるらしい。

能面はいきなり木の塊にカンカンと刀をあてるのではなく、設計図にあたる型紙のようなものを作ります。
こんなの。


真ん中は能面全体の設計図。
ここから目、鼻、口、額などパーツごとに型紙があります。
周りにあるのがそれですが、全部ではありません。
小さいのやら細かいのやらたくさんあって、一個ずつ取り出していてはキリがないし、ド素人(わし)がコレナニ、コレナニで触って失くされたらかなわんと思ったのか、『それくらいで十分ちゃうか』とやんわりガードした能面パパでありました(笑)。

木の塊に型紙あてながら線を引き、少しづつ削ってを繰り返し、だいたいの顔の凹凸ができたら各パーツの型紙をあてて調整して、刀をあてます、


こうやって常に型紙をあてつつ、寸法を確認しながら削っていきます。

型紙に「近江女」とあるでしょ。
近江女という能面です。
ちなみに型紙は市販されてます。
やはり昔かられっきとした名前がある能面を打つ以上は、作り手が趣味といえども『こんな感じ?』ってなふうに目分量的にしてはいけないんですね。
きちんと約束事を守ってその上で作り手の「風」を出すのはアリ、でもそれは名人だけができること。
能面パパにはまだまだそんな境地にあらずってわけやね。頑張れ←どのスタンスからいうとるんじゃい。

ちなみに近江女は年増の女面です。
あれこれと面の特徴を言うてはくれたものの、この状況では分からないので、完成した暁にちゃんと聞きますわ。

完成までは、まだまだですがすでに専用の能面袋で保管。



そうなるとかわいそうなのが、このおたふく(乙)ちゃん。
近江女よりもずっと前に手がけたというのに、ヒビが入った、実際よりも小さくなった、寒いから胡粉が塗れん、あれやこれやの理由でこの状態。

おまけにご覧くださいまし。
入れてる袋を。
100均とかで売ってるようなズック袋。
(安物とはいえ) made from 着物の絹袋となんたる格差。


しかもこんなふうに隅っこに積み上げられて、いかにも気が向いたらやりまっさ状態。

これ見た途端、おたふくちゃんが不憫になって
必ず完成させるべく、追い込んでやろうと決意したのでありましたよ。

現在、能面パパは乙、鷹、近江女、そして小面を打っています。
これらはこれからも時々、過程をお伝えします。

ご覧くださいましてありがとうございました。