ストーリーで学ぶ地球環境問題【大好きな地球を大切に】第29日-南極で今何かが起こっている・2 | ひとも地球もサステナブル!

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★ストーリーで学ぶ地球環境問題


☆☆大好きな地球を大切に☆☆



【第29日】:

第2章 
地球温暖化はもう始まっている



南極で今何かが起こっている・2


★南極の氷の秘密


「ところで、一郎くん、もし巨大な氷床に
おおわれている南極で『動的な変化』が
起きたら何が起こるだろうか? 

ちなみに、氷床というのは、この南極
大陸やグリーンランドに見られるような
巨大な氷のかたまりで、大陸氷河とも
呼ばれている
んだ」


「・・・・」

一郎くんは、何のことを聞かれている
のかまったく分かりません。


大南先生が再び口を開きました。

「この謎を解くために、南極の氷床の
巨大さと氷つまり水の性質を理解する
必要がある」

ますます謎めいてきました。
大南先生の話が続きます。

「まず南極の氷床についてだが、
南極の面積は日本の約40倍も
あって、そこに平均2500メートル、
最大4200メートルの厚さの氷が
乗っている


しかもその85%が陸上にあって、
全部が融けてしまうと海面が60
メートルも上昇する
んだ。


 
・・・・
次に氷の性質について見て
みよう。

氷は、圧力をかけると融けて水に
なる
んだ。

水になると摩擦力はほとんど
ゼロとなって滑りやすくなる。


この原理を利用したのがアイス
スケートだ。

アイススケートの靴の底には、
ブレードと呼ばれる薄い刃の部分
があるよね。

この部分で人間の全体重を受ける
ので、氷にかかる圧力は非常に
大きくなる。

そのために氷が融けて水になり、
摩擦がなくなってスイスイと滑る
ことができるようになるんだ。

これがスケートの原理だ」


「あのう、それが南極の氷床と
どんな関係があるのですか?」

一郎くんが大南先生の話をわざと
止めました。

頭の中が混乱していて、整理する
時間が欲しかったのです。


尚子さんの様子を見ると同じ
気持ちでうなずいています。

「実は、南極の氷の底は平均2500
メートルもの氷自体の重さによって
大きな圧力を受けているので、水に
なっている
んだよ。

この部分はスケートの原理と同じ
理由で摩擦がほとんどゼロになり、
大変滑りやすい状態になっている」

「すごい! この南極の氷が
滑ってるだなんて信じられない!」

尚子さんが壮大な話しに驚いて
います。


「氷が流れているから氷河というん
だよ。

ただ、今のところ地表の岩のデコ
ボコの部分に引っかかって、氷が
一気に滑り落ちるのがかろうじて
止められている状態なんだ。

また、流れ出した氷河が海に着水
したとき浮力がはたらいて、南氷洋の
海水が巨大な氷の柱を支えている
状態になる。

このような浮力のはたらきによっても、
氷が一気に滑り落ちるのが食い止め
られているんだ。この氷の状態を
棚氷と書いて『たなごおり』と呼んで
いる


 


そして、棚氷がちぎれて海に流れ
出したものを氷山という
んだ。

 


いずれにしても、南極大陸の氷床は
非常に不安定で、何らかの理由で
バランスが崩れると、一気に南氷洋
に滑り落ちる恐れがある
んだ」
 
 



次回に続きます。