ストーリーで学ぶ地球環境問題【大好きな地球を大切に】第26日-氷河が融け出す | ひとも地球もサステナブル!

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★ストーリーで学ぶ地球環境問題


☆☆大好きな地球を大切に☆☆



【第26日】:

第2章 
地球温暖化はもう始まっている


氷河が融け出す


「さて、地球温暖化の話もいよいよ
大詰めだ。

今までは比較的暖かいところの
話をしてきたけど、これから寒い
ところに目を向けてみよう」

「ヤッター、とうとう南極のお話?」

尚子さんは、せっかく南極に来た
のに、いつになったらその話になる
のだろうと気をもんでいたのです。


「まあまあ、そう急がずに。

もうすぐしたら南極のことを
『もうたくさん』というほど話して
あげるから。

・・・・ところで尚子さん、あと100年で
地球の平均気温が何度上がるん
だったかな?」

大南先生は、尚子さんを挑発する
ような質問をしました。


「先生、バカにしないでください。
さっきから何回も出てきているわ。
最高6.4℃でしょ」

尚子さんはバカにされたと思い、
口をとがらせました。


「うん、そうだったね。
でも、これはあくまでも地球の平均
だと言っただろう。

ということは場所によって違うって
ことだよ」


「さっき、寒くなることもあるという話が
ありましたが、そのことですか?」

一郎くんが尚子さんと違って冷静に
応えました。


「それもあるね。でも今から説明する
のは、『緯度が高くなるほど気温の
上昇が大きい
』ということなんだ」


「緯度というと、赤道が0度で南極と
北極が90度というあれですか?」

一郎くんはそう言ったものの、
<それが何を意味するんだろう>と
不思議に思いました。


「温室の中を想像してごらん。
温室は外よりも温度が高いだけでなく、
温室内部の温度がだいたい一定と
いうことに気づかないかい?」


「そうですね。
温室の中はどの場所も同じくらいの
温度ですね」

一郎くんは、温室の中に入ったとき
のことを思い出しました。


「温室内部は狭い空間だから、
どこかの温度が変わると、空気の
対流が起こるんだ。

その結果、温室内部の温度は
どこも同じくらいになるんだね。

これを地球規模で考えても同じこと
だね。

地球の大気も有限で、対流を起こし
ている。

だから、

『今寒いところほど温度上昇が大きく
なって、暑いところほど上昇が小さく
なる』


ということになるよね。

言い換えると、『温暖化による気温の
上昇は南極や北極で大きく、熱帯
地方ではごく小さい
』ということなんだ」


「南極・北極と熱帯では、どのくらい
気温の上がり方が違うのですか?」

一郎くんがすかさず質問しました。


「このことについては、色んな研究機関
で研究されてきたけど、どの研究機関も
『熱帯地方では気温がほとんど上がらず、
南極と北極地方で大幅に温度が上昇
する』という点では一致してるんだ。

具体的には、100年後に南極や北極
地方の周辺で、『冬に10℃以上気温が
上がる』というものが多い
ようだ。

特に北極周辺で20℃も上昇すると予想
している研究者もいるんだよ。

 

観測記録でも、この100年で地球の
平均気温が0.7℃くらい上昇したが、
その間に南極や北極周辺では2.5~
3℃上昇したことが確認されてる
んだ」


「ええー! 
20℃も気温が上がったら氷が全部
融けちゃわない?」

尚子さんは心の底から驚いています。

<大南先生たら、本当に人を驚かせて
ばっかりなんだから>


「氷の話が出たので、少し氷河のこと
に触れてみよう。

IPCCは、『今後100年間で、山岳
氷河の3分の1から2分の1が消失
するかも知れない
』と言っているんだ。

氷河が減少すると河川の水量が
大幅に減少して、水力発電ができなく
なったり、農業用水が不足したり
する可能性があるというんだ。

今でも水不足の地域がたくさん
あるんだが、そこでは干ばつなどが
ますます激しくなると予測されている。

また二酸化炭素濃度が現状の2倍
になると、日本を含む温帯アジア
では多くの河川で水量が減少する
そうだ。

ヒマラヤなどでも山岳氷河の容積も
減るため、河川に溶け出す水の量は
2100年には3分の2になると予想
されてる
んだ。

このことは大木先生からも聞いたと
思うけど、地球温暖化は水不足の
大きな原因のひとつ
なんだ」


 
次回に続きます。