【君子危うきに近寄らず】

昔の人はよく言ったものだと思う

しかし、仕事とあらば

リーマン、危うきに近寄る

ことも吝かではない









「金はなんぼかかっても良いから

一番良いようにやってくれな」



お母さんを亡くされた息子さんが

今回の喪主様だ

この不況のご時世に

剛毅なものだと思う

もちろんそんなこと言われなくても

出来る事は全てやるつもりだが、、



15万円を越える1番良い白装束


死臭を抑える消臭剤複数個


マニキュアや特別なメイク道具、
アロマを使ったマッサージやのなんやの1番良いコース


訳がわからないぐらい刺繍の入った棺


この納棺だけで50万ぐらい




私の給料の2ヶ月分である




ある所にはあるものだなと

感慨深い気持ちに溢れてると

式場の入り口に

雰囲気のある男性が現れた




周りにはカタギではない雰囲気の男性陣

話を伺うと喪主様のお父様、

故人様の旦那様とのこと

そしてカタギでない男性陣の長であるとのこと





えらいお金あるのも

喪主様が妙にオラオラしてるのも

フューネラルディレクターが顔出して来ないのも

そういうことだったんですねと



これは

本当に1番良い仕上がりにしないと

私はどこかに連れ去られるんじゃないかと




恐々たる思いで全てを終えて

故人様とご面会していただく






「よく出来とるやないか、

今にも起きて喋り出しそうやの」








…勝ったのだ!

私は自分の命を明日へと繋いだのだ





勝利の余韻に浸りながら

棺に移動する際に手伝ってもらい

お父様にちょっと肩がぶつかり

睨まれたのは

また別のお話



結果ご満悦頂きまして

料金のお支払いも滞りなく終わり

私の身体も一片も欠けることなく

平和に終わりました










長の方は初めてでしたが

カタギでないなって方は季節に1回ほど

関わることになります

今のご時世そういう方と関わることに

厳しい世の中になってますが

ご家族の方が代理で

メインの窓口なったりで

わからないことが多いです


正直こちらは

最期を綺麗に迎えるお手伝いが出来て

お金さえもらえれば

なんの文句もありません

ただ、怖いんで

刺青は隠して

指は全部あるテイで来てください