有機農業の欠点を指摘する | あなたも農業コンサルタントになれる

あなたも農業コンサルタントになれる

  わけではない / by 岡本信一

有機栽培や自然栽培というものについては、色々考えることがあるのだが、真正面から問題点を考えてみる。


考え方やものの見方など個人の自由であり、信念なども個人の自由です。どのような栽培方法を選ぼうが、自由です。

また、それを表明するのも自由であり、誰かに語るのも自由です。他を否定するのも自由なので仕方のない側面もあります。

しかし、現場に関係するものとして、現状危惧するのは、農薬や添加物の危険性をあおるあまり、それに変わる危険な資材を使用しているということです。自然天然信仰とも言えるものが生まれつつあり、安全性の調査すら行われていないものを使用したりするケースが非常に増えています。

これは、完全に安全の履き違えであり、農薬に変わって得体のしれない資材を法律にも触れる中で使用しているということが蔓延しているのです。そして、そういった資材を販売したり推奨する業者のかなりが農薬の危険性をおあり、自らの栽培方法以外をけなしているという現状です。

私は現場にいるものとして煙たがられてもそのようなものに対しては、注意します。

使用すべきではない、ということです。

特に多いのは食品を使用して防除しようとする動きです。

よく聞かれると思いますが、牛乳を薄めてアブラムシ防除をするなどという方法です。絶対にすべきではないです。牛乳は安全だからいいだろうなどということではなく、牛乳を薄めているとはいえ、腐敗するわけで農産物が細菌汚染される可能性があります。素人の方が自家菜園で行うのであればいいでしょうが、プロの農家は絶対にすべきではないです。

タバコを水に入れて、ニコチンを使用して防除などというのもとんでもないです。防除効果としては抜群でしょうが、農薬などと比較にできないほどの毒物です。

自然物を使用したような防除方法なども巷を賑わせていますが、厳密に言えば法律違反であるうえに、その安全性は全くチェックされていません。

はっきり書いておきましょう。農薬というのは危険性のチェックがされているので、どの程度の危険があるのは明確にわかっています。しかし、自然天然物はなんのチェックもされていませんし、法律的に考えても問題です。ものすごい危険がある可能性があるということを考えてください。

消費者の安全を考えるのであれば、得体のしれないものを使用するのはやめましょう。


現場で若い人や農家の中に自然、天然信仰とも言えるものが蔓延しています。

環境、未来、次世代、地球のために有機農業を選択するというのはとてもよい傾向です。しかし、現実的な側面が見えていない人が多いです。

昨日のエントリーで書いたように有機農業というのは、使用する資材が限られるという一段難しい栽培技術です。それを乗り越えるために、上記で書いたように安全性すらわからないものを使用するなどというのは本末転倒であり、有機農業の可能性を否定するものです。

私は個人的に言えば農業における環境問題は、土壌を維持することが最も大事であると考えていますが、間違った情報に踊らされ、無用なことに力を費やす方が多いようです。

私がこのブログなどでも書いているように、いま巷でささやかれる農産物の危険性については、多くの場合、勘違い、誤認、大昔の情報、などであり、事実と異なる情報が蔓延しています。

それらの情報を素直に信じて、人生を誤っている人までいます。これは本当のことで倒産する人離農する人いくらでもいます。有機農業が悪いのではなく、間違った情報を信じてしまうことが問題だということです。多くの有機栽培系のコミュニティーでは、同じ情報を元にして語られることが多いが、全く事実誤認の情報を共有し語り合うことは無意味だ。


次に問題だと思うのが、有機栽培について事実を書くことすらタブー化していることです。

私が昨日のエントリーのように、有機栽培よりも慣行栽培のほうが有利であり、よい物を作りやすい、というのは厳然たる事実です。使用できる資材が限られているから、当然のことです。

しかし、それを書くことすらためらわれる雰囲気がある。これは非常に良くないと思う。

使用できる資材が限られるというのは、技術的な観点から見ると決定的に不利であるが、それを隠すようにに有機農業の利点を述べるというのはおかしいのである。アタリマエのことだが、なんでも利点も欠点もある。利点しかないものなど存在しない。

欠点を克服するためには欠点を真摯に認め、その部分をどのように克服すべきかを考える必要がある。

多くの成功している有機農業者は非常に優秀で努力の末に、農薬を使用している農家よりも良い物を作る技術を確立したのである。しかし、実はそうでない農家もいる。はっきり書くと、技術的に難しいためにきちんと作ることができない方も多いのである。

何故、それが表に出ないかというと誰も語らないからだ。失敗例は紹介されないし、語られない。失敗が美談として語られるということすらある。

農薬、化学肥料を使用しない有機農業のハードルが高いのは当たり前の話なのだ。有機農業の欠点を述べることがタブー化すると、有機農業今後の発展はないと思う。


まだある。説教モードが問題だ。

最初に書いたように自説を述べるのは勝手だが、農薬の危険性を述べたり、化学肥料の害悪やそれによる事実誤認情報を流し、消費者・業者に語る。

それを行うのは勝手だが、こんな人からものを買って楽しく食事を楽しめるのだろうか、と言う話だ。多分、嫌な気分になるだろう。簡単にいえば自らの良さを語るのではなく、人の悪口ばかり聞かされるのだ。

慣行栽培と有機栽培など対立する概念ではないのに、いつまでも慣行栽培などを否定する論調などを聞かされて、楽しんで農産物を購入したり食べたりできない。

マーケティング手法として全くの誤りだと思っている。


私は、かねてから書いているように有機農業と慣行栽培というわけかたは、意味が無いと考えており、そのような無意味な枠組みを超えて交流し切磋琢磨すべきだと考えている。

また、有機農業の問題を真剣に考えることが今後の発展につながるだろう。

ブログランキングに参加しています。

もしこのブログが役に立った、応援してもいいとお考えでしたら、ポチっとしていただけると更新する励みになります。よろしくお願いいたします。

にほんブログ村

農林水産業 ブログランキングへ