栽培技術の目的を自問せよ!!! | あなたも農業コンサルタントになれる

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  わけではない / by 岡本信一


このブログでは度々、量と質の安定の必要性を説いてきているが、それをもう少し掘り下げてみたい。




Food Watch Japan の連載へのリンクを貼っておきます。


最も求められていることは量と質の安定である
http://www.foodwatch.jp/primary_inds/whatisgood/31810


リンク先を読んでいただければわかると思いますが、同じ農産物だとしても、お客様によってその用途・目的・ニーズは変わる。


さて、私のような栽培技術者が何をすべきかというと、農家の方に「そのニーズに合わせて、どのようにしたいのですか、何に困っているのですか」という質問することだ。


この質問をしてまともな答えが帰ってきたことがない。


ちょっと、更に深く聞くとしどろもどろになってしまう。


多くの方が技術の研鑽を図られていると思うのだが、どのような目的で目標はどのようなものですか。と聞くとこれまた答えが返って来ない。


収量を上げたいのですか、と聞くと、野菜などの場合、収量が上がっても経営的にプラスでない場合も多いので、そうではないといわれる。追求してもまるで困っていないかのようで、問題点が浮かび上がってこない。


極端な話、窒素の量はどうやって決めているのですか、と聞いて答えが返ってきたことがない。


土壌分析にも窒素量が分析されていない場合も多く、分析していたとしてもそれにより基肥窒素量が変わることは殆どない。私がその後の試験で、基肥窒素量を半分にしたり、全部なくしたりしても、普通に育つのを見て皆驚愕するのである。←別に何かの資材を使用するわけではない。基肥窒素量から見直すことになる。


リンク先の中で書いているように、天気によって取れなくなるというのは、アタリマエのことなので困っていないのである。


私が、天気が悪くても取れるようになったら経営にプラスですか?と尋ねると、もちろん、プラスです。という答えが返ってくる。私が質問して初めて返ってくるのである。


私がかねてから書いているように、日本の栽培技術の問題は、この天候によってとれたりとれなかったりすることを、当たり前としてとらえてしまっている点にある。


本来、用途やお客様によってどのような規格の品がほしいのかは、大きく変わるはずであるにもかかわらず、需要者側からも曖昧な規格しか上がってこないのは、天気が悪く現物である農産物がない時には、規格など関係なくなるために、厳格に規格を決めてもしかたがないと考えているためである。


いつも書いているようにある程度、天候対応ができる目処がつくと初めて、顧客対応ができるということに気づく。




お客様にどんな農産物がほしいのか聞いたことがありますか?


お客様の要望はどのようなものでしたか?


天気が悪かった時にどのような対応をしますか?


お客様の要望に沿った栽培技術を追求していますか?


栽培技術で本当に困っている点はどこですか?


皆さんが儲かる農産物と、お客様が欲しがる農産物は、一致していますか?


本当に儲かるにはどうしたら良いのですか?




どうでしょう。一度、本気で自問自答してみてください。本当に突き詰めると、天気が悪い時に取れるのが最も重要な課題ではありませんか?


栽培技術は、目的に合わせて選択すべきものであって、私が教えるようなものではありません。目的に合わせて私が提示するのです。


私にどうすればいいですか、と質問されても、どうしたいのですか?と反問するだけなのです。


多くの人は、私が現場に行くと、何かを教えてくれるのを待つのだが、その前に何をしたいのか教えて下さい、ということなのだ。安定供給、即ち天候が悪くても安定して取れる技術を持っていれば、確実に農業においては儲かるし、お客様に喜んでもらえるのではないでしょうか。


農業技術の進歩というのは、天候の克服というのが最大の課題のはずである。今の日本ではすっかり忘れ去られ、もはややり尽くして克服した気分になっているのである。


全く、そんなことはありません。だからこそ日本の農業の未来はまだまだ明るい、と断言できるわけです。

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