窒素を与えても早く育たない | あなたも農業コンサルタントになれる

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  わけではない / by 岡本信一









窒素を与えると早く育つようなイメージを持っている方が多い。私がチッソ肥料を抑え気味にという話をすると、反発がある理由の大部分はここである。


冷静に考えれば、そうでないことは明らかである。


促成栽培をするのに、窒素をたくさん与えれば早く育つのであれば、窒素をたくさん与えて早く育てればいいということになる。別にそんなことは、おきない。


チッソ肥料を与えると、葉や茎が大きくなりやすいというのが正しい。この勘違いは、特に気温が冷涼で生育期間が限られている地方の方に多く見られる。窒素を多投して生育を早めてやらないと、収穫に間に合わないという理由である。


葉菜類では、ある程度早く収穫できる可能性もなくはないが、それは、生育が早まったのではなく、葉や茎が大きくなったためである。


では実をつける作物ではどうなるか、栄養生長期には窒素の栄養は必要であるが、実をつける生殖生長期になると窒素が多すぎれば逆に成熟を遅らせることになり、むしろ窒素が多すぎるのは生長を遅くする方向に働く。


これは、初期生育で葉を大きく育てないと収量が確保できないという勘違いに由来しているのだと思う。


現在の日本では、生育期間中の光合成量を高めるために出来る限り初期生育を旺盛にしなければならないと信じられているための勘違いである。何度もこのブログ内で言及しているように、根の成長が旺盛であるとむしろ地上部が大きくなりにくい。根の成長の大切さを多くの方は理解していると思うのだが、地上部の発達に気を取られていすぎるというのが問題だと思う。


では、適量の窒素量というのはどのくらいなのか?


いつも数値管理の話を書いているわけなので、それに答えることが出来そうなものであるが、実は、この最も基本的な問題ですら、はっきり私自身が最適な窒素量を答えられずにいます。


もちろん、きっちり数値的な根拠が無い中で、これまでの経験から語ることは可能なのですが、それが万全であるということ耐えには至っていないという感じでしょうか。


少なくとも言えることは、日本での栽培は基肥の窒素が多すぎ、可能なかぎり追肥で追ってゆくほうが間違いないということです。


窒素で生育が早くなるということはありません。特に生育期間の限られた地域では、むしろ実の充実を遅くする可能性のほうが高い、ということを理解していただきたいです。