日本の農業技術は、集約的で品質もよく、高収穫をあげていて世界的にみても進んだ栽培技術を持っていると理解されている。
本当だろうか?
確かに、肥料や農薬の投入量は多く、反収は世界的にみても高いレベルにある。
最近、連載を書かせていただいている雑誌「農業経営者」の農業技術通信社・昆社長と話をしたのだが、日本の農業は遅れているという。
理由は、最新号の「農業経営者」にもそれについて書かれているが、反収が低いというのだ。記事の中から反収の部分を少し見てみよう。
小麦反収
オランダ 929kg
日本 323kg(北海道 417kg)
ジャガイモ反収
オランダ 4.6トン
日本 3.2トン
トマト反収
オランダ 50トン
日本 5.7トン
だそうだ。
トマトにいたっては、1/10程度と圧倒的に少ない。
理由は、様々あるのだが、これが現状なのである。
日本の反収は軒並み70年代で伸びが止まっており、オランダではそれ以降も収量が伸びているらしい。
つまり、緑の革命といわれた化学肥料の多投とハイブリッド品種に見られるような品種改良によってもたらされた結果が総てでその後の進歩が止まっているのだ。
日本の農家が同程度の収量を得られるとしたら、農家の利益は大幅に増加する。
つまり、日本の農業は未来がないどころか、反収が増やすことで明るい未来の見える産業なのである。
前回のエントリーでも書いたように、農業というのは農産物を生産する産業であり、普通にとれなければ話にならない。
農業経営を良くする早道は、生産技術を改善する部分にあり、販売でも経営戦略でもない。栽培技術の向上により簡単に利益を上げる企業となりうるのである。
日本の反収が上がらない理由は、天候条件・品種などにも問題があるためであるが、根本的な技術に問題がある場合が多い。
最大の理由は、肥料が多すぎるということである。
日本では作物を育てるというのは、肥料を与えるということと同義語となっている。
多くの場合、不必要に多くの肥料を与え、それが病害や生理障害につながっているのだ。
肥料というのはあくまで、作物の栄養補給の補助を行なっているもので、肥料を与えればよいなどという簡単なものではない。
もし肥料を与えるだけで多収を確保できるのであれば、栽培などというのは非常に簡単なものになってしまうが、肥料をたくさん与えたからといって収量が増えるわけではない。
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