ふと、自分自身に問いかけることがある。
なぜ僕はこれほどまで、女性の口元に執着してしまうのだろうか…と
肉体の分かりやすい記号など、僕の心はそれほどに動かない
社会的に許容された美しさの方程式にも、ほとんど反応しない
だから、僕のこの拘りは、少し異質かもしれない。
けれど、その異質さの中にこそ、本当の欲望がある気がする
目は嘘をつく。
表情も、仕草も、全ては取り繕える。
だけど、言葉をこぼす瞬間の唇の微かな震え、吐息に含まれるわずかな熱、
喉の奥からせり上がってくる吸い込みの湿度だけは、
どれほど知的な大人であっても、完全にはコントロールできない
社会の仮面を被った大人たちの身体は、その唇の合わせ目からだけは、
隠された本能の体温が滲み出てしまう。
僕が求めているのは、肉体そのものではなく、理性が融け落ちるその瞬間の生々しさだったりする
綺麗な言葉で包装された日常の裏側。
誰にも打ち明けられない諦め、乾ききった孤独。
それが静寂の中でふっと緩んだ唇から滴り落ちる
その瞬間の湿度に僕の指が触れたとき、はじめて僕自身の未完成な本能も深く満たされるのを感じてしまう
おそらく僕は、あなたの完成された姿ではなく、
その口元からこぼれ落ちた剥き出しのあなたに出会いたいだけかもしれない
夏、暑い夜のなかにある孤独な空気の中で、
この独り言が同じ周波数を持つ、あなたへ静かに届くといいなと思ってます。