その日、私"達"は赤葉学園の生徒会室にいた。
「・・・・・いよいよ、明日だな」
生徒会室に集まったのは、梨桜ちゃんと莱花ちゃんを除く、特別活動部のメンバー。
なぜ梨桜ちゃん達がいないのか・・・・・その理由は簡単だ。イージーだ。
「さて。今日は明日の梨桜と莱花の誕生日に向けての買い出しに行くぞ!」
そう、明日は2人の誕生日。
私達は2人に内緒・・・つまりサプライズで誕生日パーティーを開くために、こうして集まったというわけだ。
「食べ物と飲み物は多めに買わないとなー」
「たい焼きもな」
「あとはまあ・・・・飾り付けの小道具とか?」
「プレゼントはどうしましょうか・・・・」
「・・・チョコバーがいいと思う」
「いや・・・・駄目でしょ」
みんなが思い思いに話し合っている中、私は1人、真剣に考えていた。
(・・・・・プレゼント、何がいいかなあ)
*
という訳で買い出しのためにデパートに。
「うっし、ここからは分担して買い物をしていくか」
東雲先輩がそう言ったのを合図に、みんなが打ち合わせでもしていたのかと疑いたくなるほど綺麗に東雲新太先輩を避けてグループを作る。
食べ物類を買いにいくのが佐倉舞先輩と広瀬奈菜先輩と柊秋斗先輩。
飾り付け用の小道具を買いにいくのが優希くんと玲くん。
私とニーナちゃんは2人にあげるプレゼントを。
そして1人綺麗にハブられた東雲先輩は、
「まあ・・・・・薄々予想はしてたよ・・・・?」
目が潤んでいるように見えるのは私だけかな?
少し声も震えてるような気もするし。
相変わらずだなあ・・・・と私が思っていると、東雲先輩の様子を見かねたのか優希くんが苦笑いをしながら東雲先輩に声をかけた。
「じゃあ会長さん俺達と一緒に来ます?」
「・・・・・優希、後でジュース奢る」
よかったよかった、これで解決。
「・・・・・ちっ、ウザいのが増えた」
「「聞こえてるぞ玲」」
・・・・・前々から思ってたけど、優希くんと東雲先輩ってなんか似てる。
*
~舞・奈菜・秋斗~
「えっと・・・・とりあえず色々買っとけば問題ないわよね?」
「はい、大丈夫だと思います!・・・・ぐへ」
「広瀬さん、よだれ垂れてる」
「はっしまった・・・・佐倉先輩が眩しすぎてよだれがっ!!!」
「眩しくてよだれは垂れないと思うわ・・・・・」
~優希・玲・新太~
「優希!!これはどうだ!?」
「おおおいいっすね会長さん!!この斬新なフォルム・・・これはやばいっす!!」
「だろだろ!?さすがわかってるな優希!!」
「会計済ませてきたぞ・・・って何見てんのお前ら」
「「紅鮭ちゃんクリスマスツリー」」
「死ねばいいと思う」
「「なんで!?」」
~奏・ニーナ~
「ねえねえニーナちゃん、どんなプレゼントあげたら2人喜ぶと思う?」
「・・・・・チョコバー(キリッ)」
「・・・・・うん、それニーナちゃんが喜ぶプレゼントだよね?」
*
そろそろ2人にあげるプレゼントを選んで数十分が経つけど、結果的に言うと私はまだプレゼントを決められずにいた。
ちなみにニーナちゃんは「チョコバー買ってくる」と言ってお菓子売り場に消えていった。
自由すぎる…自由すぎるよあの子…。
とにかく早めにプレゼントを探さないと…と、私が少し焦り始めていた、その時だった。
「おっと・・・・・ごめんごめん」
「あっ・・・・すみません!よそ見してて・・・・」
誰かにぶつかってしまったみたいだ。
私が慌ててぶつかった人の方を見て謝ると、ぶつかった人は「いいよいいよ、僕もよそ見しちゃってたし」と微笑みながら返してくれた。
黒いパーカーにところどころ跳ねている髪型とネコ目が特徴のその人は少し先に友達を待たせているらしく、「じゃあね」と私に手を振ると、小走りで去って行ってしまった。
「お待たせ~」
「ったく・・・・遅いぞカノ。早くしないとコノハの誕生日パーティーの準備が間に合わなくなるだろ」
「いや~色々あってね」
少し聞こえてくる会話から、どうやらさっきぶつかった人の友達にも明日誕生日の人がいるみたいだ。
・・・・と、そこまで考えてから、私はまだプレゼントを選び終えていない事を思い出した。
「そうだった、早く決めないと・・・・」
このフロアの売り場は色々なものが揃っていてそれほど時間はかからないだろうと思って来たものの、いざ決めるとなるとどうしても迷ってしまう。
なんかいいのないかなー…と私がうろうろしていると、偶然あるものが目に止まった。
「これ・・・・いいかも!」
*
それぞれの買い出しも終わり、私達は飾り付けをするべく赤葉学園へと続く道を歩いていた。
「そういえばさっき変な人とすれ違ってさー」
「変な人?」
優希くんも充分変な人だと思うけどな…?
「・・・ねえ奏ちゃん、今失礼なこと考えてなかった・・・?・・・まあいいや、赤いジャージ着てたんだけどね?その人。なんかイヤホン耳に差して携帯に向かって話しかけててさー」
「誰かと電話してたんじゃないか?」
東雲先輩の質問に、優希くんがうーん、と考え込む。
「電話してるようには見えなかったけどな・・・・・」
「じゃあなんだって言うんだ?」
「うーん・・・電話の中に人がいて、その人と話してるとか!」
「あるわけねえだろそんなファンタジーみたいな・・・・バカか」
冷静にツッコミを入れる玲くんに対して、優希くんがひでぇ…と言わんばかりに肩を落とす。
すると今度は、佐倉先輩が口を開いた。
「・・・・あ、そういえば食品売り場でアイドルの如月桃ちゃん・・・?だっけ、見かけたわよ」
「マジで!?」
わいわいと賑わう一行。
そんな中で、私は手に持った小さな袋に目を落としていた。
(・・・喜んでくれるかな、2人とも)
*
12月24日。
僕と莱花は、奏さんからメールで用がある、と赤葉学園の生徒会室に呼ばれていた。
「なんだろうね?用って」
僕が首を傾げると、同じように莱花も不思議そうに答えた。
「さあ・・・奏ちゃんが言うんだから大事な用事みたいだけど」
2人でうんうん唸りながら歩いていると、いつの間にやら生徒会室の前まで辿り着いていた。
…ま、考えててもしょうがないか。
僕がいつものように生徒会室の扉を開ける。
すると、
「「誕生日おめでとー!!」」
ぱぱーん!!と言うクラッカーの音が生徒会室中に響き渡る。
・・・そこで、僕と莱花は全てを理解した。
今日は12月24日。
一般的にはクリスマスイブだが、僕と莱花にとっては他にももう1つの意味がある日だ。
そう・・・・・今日は僕達の16回目の誕生日。
「みんな・・・・」
優希も、玲も、東雲先輩も、佐倉先輩も、ニーナちゃんも、広瀬先輩も、柊先輩も・・・もちろん奏さんも。
みんな、僕達の誕生日を祝うために集まってくれたんだ。
莱花の方を向くと、莱花も驚きながらも嬉しい様子だった。
「・・・・ありがとうございます」
こんなにたくさんの人に祝ってもらうのはいつぶりだろう・・・・。
そう思うと、自然と胸が熱くなるのを感じる。
「・・・あれ、梨桜ちゃん・・・・もしかして泣いてる?」
奏さんが心配そうに僕に話しかけてくる。
「ち、違います!これはその・・・目からハイドロポンプを出す練習を・・・・」
恥ずかしさから慌てて否定しようとして、とっさにとんでもない出まかせを言ってしまう。
「目からハイドロポンプって・・・人間超える気か」
優希に苦笑いをされてしまうのも当たり前だ・・・なんて事言ってんの僕。
「・・・・ぷっ・・・ふふ」
莱花が必死に笑いを堪えていた。
そんなに面白かったかな・・・・?
「・・・・・ま、とにかく!梨桜も莱花も、誕生日おめでとう!これからもよろしくな!」
東雲先輩が微笑みながらそう言い、僕と莱花も微笑み返しながら頷く。
それで満足したのか、東雲先輩が今までとは違う、ニヤリとした笑みを浮かべる。
「つーわけで、パーティー始めるぞ!食料もケーキも腐るほどあるからな・・・みんな取り掛かれぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
その掛け声を合図に、待ってましたとばかりにみんなが食べ物に食らいつき始める。
「僕達も食べよっか」
「うん」
莱花と一緒にみんなに混ざろうとすると、
「あっ、2人とも!」
小走りで近づいてきた奏さんが、僕と莱花に1つずつ、小さな袋を手渡してきた。
「これ・・・・私達に?」
莱花ぎ尋ねると、奏さんはにっこりと笑いながら頷いた。
「開けてみて」と促され、僕と莱花は同時に袋を開ける。
中には、指輪が入っていた。
「ペアリングって言ってね、大切な人同士がつける指輪なんだって。あんまりお金なくて安いのしか買えなかったけど・・・」
銀で出来ているのか、少し重みのある飾り気のない指輪。
確かにもっといいものはあるだろうけど、僕は純粋に嬉しかった。
莱花も嬉しかったようで、早速指にはめて眺めている。
僕がお礼を言おうとすると、奏さんはそれをさえぎって「日頃の感謝の気持ちだよ」と笑った。
「さ、行こっ!早くしないとなくなっちゃうよ!!」
「・・・・・はい!!!」
今日は12月24日。
クリスマスイブで、僕と莱花の誕生日。
外ではちらほらと雪が降り始めている。
僕達にとって・・・・・いや、世界中のみんなにとって、この1年が素晴らしいものになりますように。
「・・・・全部食べるっ!!」
「ニーナちゃんそれ僕のたい焼き!!!!!!」
「あ、梨桜!ほっぺにケーキのクリームついてるよ」
「へ?あ・・・ありがと、お姉ちゃん」
「ううん、ふふっ」
*fin.*
遅れました・・・すみません。
話は変わりまして(切り替え早い)、梨桜と莱花・・・2人には心からありがとうとごめんなさいを言いたいです。
俺が初めて作ったオリジナルのキャラが水無月梨桜という1人の少年でした。
そこから色々なキャラを考えて、作り出していき・・・水無月莱花が生まれました。
この2人がいなければきっとこのサイレンプロジェクトは生まれなかったし、2人がいなければきっと今仲良くしてくれてるみんなとも出会わなかったでしょう。
それから、このサイレンプロジェクトで2人には数多くの不幸を与えてしまっています。
書いてて辛い時もありました。ありましたとも。
それでも最後に見せてくれる笑顔に、いつも励まされてきました。
だから、2人が生まれてきてくれてよかったと心から思ってます。
いつもありがとう。
ごめんね。
誕生日、おめでとう。
コノハも誕生日おめでとう!
この小説メカクシ団も出てるからね!!
では、今回はこの辺で!
ありがとうございました!!