【サイプロ・小説】SCHOOL FESTIVAL4 | 無題警報

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「「・・・・・・・・・・・」」

赤葉(あかば)学園の学園祭の真っ只中、僕「水無月梨桜(みなづきりお)」とクラスメイトの「君島奏(きみしまかなで)」さんは休憩スペースでぐったりしていた。

たぶん他の人から見たら僕達2人は完全に燃え尽きた灰に見えるかも知れないくらいに、僕達2人はぐったりしていた。

なぜそんな事になってしまったかと言うと、それを説明するには時間を少し遡る必要がある。



約10分程前、僕達は友達である「御手洗優希(みたらいゆうき)」と「一之瀬玲(いちのせあきら)」達のクラスで行っているお化け屋敷に足を踏み入れた。

お化け屋敷は科学準備室を貸し切って使っているため、雰囲気としてはかなりのレベルだと言えるだろう。

「うわあ・・・暗い・・・」

ある程度覚悟は決めていたけれど、いざ入ってみると、渡された懐中電灯以外に光源がない暗闇の中では、嫌でも恐怖心が沸き上がってくる。

「か、奏さん・・・離れちゃダメですよ・・・?」

「う、うん・・・」

2人でピッタリとくっつきながら懐中電灯の光を頼りに進んでいくと、

「うらめs」

「「わあああああああああああああああ!!!????」」

「ええ!?まだ最後まで言ってないのn」

「「お化けええええええええええええええ!!!!!!」」

とりあえずダッシュした。

確か優希達のお化け屋敷のテーマは「ドッキリ☆科学準備室の謎って一体!?この後すぐ!!」だったはずだ。

いやテーマの時点でツッコミどころ満載なんだけど、科学準備室にジェイソンもどきみたいな仮面を付けた男子生徒がいるのもおかしいと思う。

しかも「うらめしや」とか言いかけてたし。

国境を越えたグローバルなお化け屋敷なんだろうかここは。

脳内でツッコミワールドを繰り広げながらも走っていく。

途中でお化けに出くわす度に「わあああああああああああああ!!!!??」とかなんとか涙目で叫びながら、一気に出口まで駆け抜ける。

道中で優希によく似たゾンビや玲によく似た吸血鬼みたいのがいたけど気のせいだろう。

とにもかくにも、僕達2人は恐らく今までで一番早いであろうスピードでお化け屋敷を飛び出した。

そのまま勢いで休憩スペースに駆け込み、今に至る・・・というわけである。

「・・・・この後どうしよっか」

「・・・どうしましょうか・・・・」

予定では確かこの後は校内の模擬店全ての食べ物を食べて食べて食べ尽くすはずだった。

だけど正直、お化け屋敷でHPがほぼ0になってしまった僕達に全ての模擬店を回る事は出来ない。

それでも頑張ったけど、結局全部は回れなかった。

そんなこんなで、学園祭の1日目は幕を降ろしたのだった────。



その日の帰り道。

「いやあ大盛況だったな!!!なっ玲!!」

そう言う優希は嬉しそうにニカッと笑みを浮かべた。

玲も心なしか少し嬉しそうな声色で「そうだな」と返す。

2人共、お化け屋敷が想像以上に大人気だったのが嬉しいのだろう。

だけどそれとは対照的に、僕と奏さんは気まずさMAXで苦笑いをしていた。

「つーか、君島はともかく梨桜はお化けとか苦手なんじゃなかったのか?」

「う」

「正直なめてただろ、俺達のお化け屋敷」

「うう・・・すみません・・・・」

図星だった。

実は、僕はお化けというものがあまり得意ではないのだ。

高校生の手作り、という事もあって少し侮っていたところもある。

それを踏まえても、優希達のお化け屋敷はかなりのクオリティだったと言えるだろう。

ツッコミどころ満載だったけど。

「奏ちゃんもいいリアクションだったよなー、2人の叫び声が客寄せにもなったしな」

ニヤニヤしながら優希がそう声をかけてくる。

なんだろう、すごく腹が立つ。

それを紛らすため、僕は話題を変える事にした。

「・・・・明日ですね、いよいよ」

赤葉学園の学園祭は2日に渡って行われる。

1日目は模擬店、そして2日目は1日目と同じように模擬店を出しながら、各部活動や委員会の発表、ステージでのパフォーマンス大会もある。

そして僕達「SIREN」は、2日目にライブを行う事になっていた。

詳しい時間帯は知らされていないけど、東雲先輩は「その時になったら連絡する」と言っていたし、心配はいらないだろう。

「・・・ああ、そうだな」

僕の言葉に、優希が真剣な表情で返す。

「・・・そういえば、ちゃんとしたライブすんのはロックフェス以来だな」

玲がそう言い、僕は小さく頷いた。

僕達「SIREN」はいつも路上でライブを行っていた。

そのおかげで知名度はそこそこあったけど、その分ちゃんとしたライブはあまり経験がなかった。

僕達が所属している特別活動部の発表は毎年大盛況らしく、それだけに僕達にのしかかるプレッシャーは大きい。

だけど。

「大丈夫だよ、みんな!あんなに練習したもん!!絶対上手くいくよ!!」

僕"達"は、1人じゃない。

信頼出来る「友達」と一緒なら、何だって出来る。

バンドが奏でる音楽が複数のパートの音を重ねて初めて意味を成すように。

だからこそ、

「・・・そうですね。きっと・・・いや、絶対成功させましょう!!」

笑顔で、そう応えられる。

「・・・絶対、か」

「莱花ちゃんにもいいとこ見せないとな!!」

それぞれの想いを乗せて、僕達の存在証明は始まっていく。

歩き始めた僕達の背中を押し出すように、オレンジ色の夕焼けは、僕達4人をいつまでも照らし続けていた。


────続く────
こんばんは、るかです。
いよいよ次回、彼らの存在証明の幕が上がります。
彼らは一体、そこで何を見て、感じて、伝えるのでしょうか。
そして、心を閉ざしていた莱花は。
次回、お楽しみに!