2019 playlist: #6 One Call Away
●●の声を聴きたくて、毎日のように電話に手を伸ばす。けれど、いつも少し考えてから、そろそろと伸ばした手を引っ込める。また伸ばして、考えて、引っ込めて。その繰り返し。そんなことをしている内に、電話が鳴るのだ。それはまるで、いつものように、なかなか手を出せない自分の手を取って、先に立って歩いてくれるような。『今日は偶然サー・トリガーに会ったんだ!』『もうすっごいテンション上がってさぁ』『●●が変われ変われ、って煩くて。無理言うなっての』『●●が後ろ向けばいいだけの話だろ~』『俺も話したいんです~』受話器越しに聴こえてくる声は、2人分。他の人は声まで同じだと苦笑いするけれど。いつも聞いていれば、判るものだ。話し方ひとつ、笑い方に、ちょっとした間の取り方。口癖、あとは…順番も判断材料、だろうか。●●の声はいつも、胸の辺りをじんわり温めてくれる。けれど、耳を押し当てている電話の無機質さが、背中に当たる固い壁が、自分の足しか見えない床が、●●がここにいないことを、自分が一人ぽっちで座り込んでいる現実を、まざまざと突き付けてくるようで。それがどうしようもなく寒くて、身を竦めた。『…ひょっとして、元気ない?今日何かあった?』なんでもない。『嫌なことあったら、いつでも言ってよ』大丈夫。『電話一本で駆け付けるから』…………。会いたい、も。ありがとう、も。たった一言、そのどちらもまた言えずに、寒いだけ、とぽつりと口にする。『え、大丈夫?風邪ひいてない?ちゃんと暖かくして寝るんだよ』『俺らは君に会えなくて心が寒いんだけど』『あはは。俺らのメンタルが凍死する前に戻らないとな。なあ、●●』『なあ、●●』全く。どんなに隠そうとしても、この2人には何でもお見通しなのだ。きっとただの口約束なんかでなく、電話一本で、それこそ息を切らして駆け付けてくれるのだろう。そうしたら、その時こそは、こちらから手を伸ばそう。●●の大きな手を取って、握って、抱き締め…るのは、体格的に難しいかもしれない。----------6:One Call Away(Charlie Puth)