11月10日(日)、放送大学文京学習センターで「精神現象学」の講義を聞いた。東京大学名誉教授の佐藤康邦先生が担当だった。もちろん「精神現象学」のごく一部だったが、大変有意義だった。
ヘーゲルは「精神現象学」で何を言いたかったのか。彼は「『絶対的実在absokutes Wesen』は彼岸にあるものであり、『自己Selbst』(此岸の私たち)とは次元をことにするように見えるかもしれないが、両者が統一されるのが『精神現象学』の結論となるべき思想である」という。
何か質問をと言われたので、「『精神現象学』の考えと仏教の考えはかなり近いものがありますね。仏教の考え方の中に、宇宙即我、我即宇宙、依正不二、境智冥合などの言葉がありますが…」とお尋ねすると、先生は「多分、仏教の考えを拝借しているのかもしれない。西洋哲学も仏教の影響を受けています」とのこと。
日蓮は「衆生の心けがるれば土もけがれ心清ければ土も清しとて浄土と云ひ穢土と云うも土に二の隔なし只我等が心の善悪によると見えたり」(御書p384、一生成仏抄)と記している。人間の心がけがれると環境も破壊されていく、との指摘である。最近のニュースでは地球温暖化の責任は95%人間だ、との報道があったが、むべなるかなである。仏教を学ぶ者として大変興味があり、有意義な講義だった。