内村鑑三『代表的日本人』(1997)  | ノートさんのブログ

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 クリスチャンの内村鑑三が日蓮に惹かれ、著書まで著していることは注目してよい。『代表的日本人』は内村鑑三が書き、それを1997年に鈴木範久が翻訳し岩波文庫から出版している。

 内村鑑三(1861-1930)は、「代表的日本人」として西郷隆盛・上杉鷹山・二宮尊徳・中江藤樹・日蓮の5人を上げ、その生涯を叙述する。日清戦争の始まった1894年に書かれた本書は岡倉天心『茶の本』、新渡戸稲造『武士道』と共に、日本人が英語で日本の文化・思想を西欧社会に紹介した代表的な著作である。読みやすい新訳。


内村鑑三は『代表的日本人』の中で、宗教について次のように述べている。

 「宗教は人間の最大関心事であります。正確に言うならば、宗教のない人間は考えられません」、人間の宗教は、人生の人間自身による解釈であります。人生になんらかの解釈を与えることは、このたたかいの世に安心して生活するためには、ぜひとも必要なものなのです」(

141)。「さらに、貧しい人には希望であり、富める人には恐怖になっている、『死』と言う最重要な問題があります。これは、いかなる問題にもまさる大問題であります。『死』の存在するところに、『宗教』はなくてはならないのです」(142)と。

 いかにも敬虔なクリスチャンらしい書き方である。