インターネットコミュニケーションツールの使用頻度と対人不安との関連について
▽背景
孤独感は、一人きりでいるときに感じる寂しさに起因するものや、周囲の人間に理解されていないと感じるときに生じる以外に、人が人間関係の中でこうありたいと望む姿があり、その願望が十分に満たされない、または逆に心理的な満足感を低下させるような結果が生じたときにも生起するとされる。
現在インターネットの使用は、若者を中心にコミュニケーション手段としても欠かせない存在となりつつある。青年期の孤独感は、自分と外界との関わりの要因が大きな比重を占めるが、インターネットがその孤独感を埋める代用となりうるのか、また対人不安とどのような関係があるのか等を調べてみたい。
▽目的
インターネットの使用頻度と孤独感・対人不安との関連を調査し、インターネットの使用が対人関係に及ぼす影響について検討する。
▽仮説
①インターネットの使用頻度が大きいほど孤独感・対人不安は高いだろう
②インターネットで人間関係を築こうとする人は孤独感が強いだろう
▽方法
検査方法:UCLA孤独感尺度・対人恐怖心性尺度・特性的自己効力感尺度
インターネット行動尺度、及び、独自の自記式アンケートを無記名で実施
(可能であれば因子分析等も施行したい)
対 象:作新学院大学の学生200~300名程度
(可能な限り多様な学年で男女比もできれば同等)
実施時期:H23年9月実施予定
文献の使用
・誠信書房「孤独の心理学」
・西村洋一 (2003 ) 対人不安、インターネット、およびにインターネットに
おける人間関係‐社会心理学研究
・都築誉史 木村泰之(2000) 大学生におけるメディアコミュニケーションの
心理的特性に関する分析‐対面、携帯電話、携帯メール、電子メール条件
の比較‐ 応用社会学研究
・五十嵐祐 メディアコミュニケーションが孤独感に与える影響
・金昭英 インターネット依存と孤独感・対人ストレスイベントの関係について
等を使用予定
▽仮説の問題点
仮説② インターネットで人間関係を築こうとする人は孤独感が強いだろう
・インターネットで人間関係を築いたその後、孤独感は解消されるのではないか。孤独感は強まるのか、あるいは薄らぐのか。インターネットコミュニケーションツールで、人間関係は上手く繋がれているのか。
男女差、趣味、サークルの所属、アルバイトの有無、生活形態(一人暮らしか家族と同居か)、携帯端末とPCか、等でも違いが生じるのか
▽自記式アンケート追加項目
・何を利用しているのか
・いつごろから利用しているのか
・どのくらい利用しているのか(時間・頻度等)
・利用したきっかけは何なのか(言葉での説明)
・インターネットで関係を築いた人と実際に会ったことがあるか
・出会い系サイトを見たことがあるのか、利用はしたことがあるのか
・何故インターネットコミュニケーションを使おうと思うのか(選択形式・点数化)
▽インターネットコミュニケーションツールにより起こった事件
○秋葉原無差別殺傷事件
2008年(平成20年)6月8日、東京都千代田区外神田(秋葉原)で発生した通り魔事件である。
7人が死亡、10人が負傷した。
容疑者は携帯サイトの電子掲示板で約1000回の書き込みをおこなっていた。心のよりどころを携帯サイトの掲示板にするも、次第に孤立感を深め、殺人を予告する書き込みを行うようになっていった。6月8日5時21分、「秋葉原で人を殺します」とのタイトルで、「車でつっこんで、車が使えなくなったらナイフを使います みんなさようなら」との犯行予告を行った。
その後、沼津市から犯行現場まで移動する間に約30回のメッセージを書き込んでいた。
・この事件に伴い起きた事件
事件後複数のサイトにおいて、殺人などの犯罪予告が相次ぎ、7月7日までに33人を検挙した。事件前は月に2,3件だったが、事件後1ヶ月で100件以上になっている。このほとんどが10代と20代で、供述内容などからそのほとんどが悪戯とされているが、実行の意思とは関係なく脅迫罪や威力業務妨害に該当するれっきとした犯罪である。小中学生が行ったものもある。
・この事件が引き金になった類似事件
2010年(平成22年)6月22日、広島市南区のマツダ本社宇品工場にて当時42歳の男性が12人の従業員を次々とはね、1人が死亡、11人に重軽傷を負わせるマツダ本社工場連続殺傷事件が発生。犯人は「マツダに恨みがあった。秋葉原のような事件をおこしてやろうと思い、工場内で車を止めて振り回すつもりで包丁も持っていった」と話していることが分かった。
卒論、気合い入れて頑張るぞ!!