実はCovid-19にやられて仕事を休んで自宅療養中。そのネタは後日として、ここ数日暇にあかせてCNNを呆けたように見ていた。アメリカ中間選挙の速報である。中間選挙は大統領の政治を採点する選挙でもあり、おおむね与党に不利。一見地味すぎるバイデン大統領の支持率低迷もあって民主大敗、共和党の「赤い波」に覆われるだろうという予想が多かったようだ。選挙前の世論調査ではインフレが最大の争点で、次いで女性の中絶の権利。共和党は燃料費の高騰を中心にインフレで与党民主党を攻めたが、民主党は政策で勝負をせずに民主主義の未来がかかっているのだとトランプ派と過激な保守主義を攻めた。この共和党内の分裂をついた形に共和党は対応できなかった。
バイデン大統領は地味だが老練な政治家で、大統領選ではトランプ氏が騒げば騒ぐほど自分が有利になると、自分の政策は語ってもほとんどトランプ氏を攻撃するようなことはしていない。常に冷静さを保つことでトランプ氏に対して自分を際立たせる姿勢を貫いていた。が、今回は全く逆で、大統領選の結果を受け入れないトランプ氏の支援を受けた選挙否定派に対して民主主義を亡ぼすものだと真っ向から批判している。さらに、女性の中絶の権利を擁護することで有権者登録で増えた女性票を獲得、環境問題や銃規制の問題でいわゆるZ世代も90%が民主党に票を入れたと言われている。
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さて、勝てる勝負をみすみすタイにに持ち込まれたような共和党で責任のなすりあいが始まっている。上院院内総務、ボスのミッチ・マコネル氏は「候補者の質が悪すぎた」と暗にトランプ前大統領が支援した候補を批判。それってボスの言うことか?と思うが、トランプに対してこの人は前々から距離をとって風見鶏を決め込んでいる。党の行方を決めるのは支持者であり、有権者であると語っていたように思う。
が、さすがにそのマコネル氏も今回は党をまとめきれなかったと強い批判にさらされ、長年勤めた院内総務の立場も危うい。老獪な古狸の顔で「私には票がある」とふてぶてしく言い放っている。「票」とはつまるところ「金」らしいのだがどうなるか、選挙後の共和党内の権力争い次第では党そのものが分裂しかねない。
これまで保守系メディアの代表格としてトランプ支持を打ち出していたFOXニュースと社主のルパート・マードック氏はフロリダ州知事選を圧勝したロン・デサンティス氏支持に早くも鞍替え、24年の大統領選は彼で決まり、「共和党の未来!」とぶち上げた。で、トランプ氏はデサンティス氏に立候補しないように脅しをかけたらしい。「君の知られたくない秘密を暴露しちゃうぞ」みたいなことを言ったと伝わっている。
今日は、そのトランプ氏が24年の大統領選に立候補を宣言。ずっとカンペを読み上げる体の盛り上がらない演説だった。当初予想されたように共和党圧勝ならこの時期大いに盛り上がっただろうが、もはや敗戦の責任を負わされそうな状況。立候補宣言は公私にわたるあれこれの疑惑に対する起訴逃れ説だけが有力視されている。
トランプ氏の影響力に陰りが見え始めているらしい。彼が支援した候補者の中でも20年の大統領選の結果をいまだに「盗まれた」と言ってる選挙否定派候補はほとんど敗退した。中で注目されたアリゾナの州知事選で「私が負けるとしたら、盗まれた時だけ」と堂々と公言していたキャリ・レイク候補。結局民主党の現職を相手にあえなく敗退。さて、盗まれた証拠集めでも始めているのだろうか?
上院選の最後に残ったジョージア州の議席が12月の決選投票に持ち越されている。共和党のハーシェル・ウォーカー候補もトランプ氏が支援しているが、女性の中絶に反対と公言しながら、過去に女性に金を渡して中絶させた事実を指摘されている。もちろん本人は否定しているが、「候補者の質が悪すぎた」というのはこんな候補があちこちにいたということだろう。
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本記事はほとんどTVで得た情報なので出典はなく、参考記事のリンクを下に貼っておく。
あしからず。
「老いる日本とは決定的な差、米中間選挙でZ世代パワー炸裂」(JBpress)
「「間違いなく裏目に出た」、米共和党の非難合戦が拡大 中間選挙の不振受け」(CNNco.jp)
「デサンティス知事は「共和党の未来」、マードック氏傘下のメディアが報道」(CNN.co.jp)
「トランプ氏、共和党の新星を「口撃」 知事選で大勝のデサンティス氏」(bbc.com)
「米アリゾナ州知事選 民主党ホッブス氏が勝利、選挙否定派破る」(CNN.co.jp)
「「コンドームしろよ」と息子に言われた候補者、選挙集会で手渡される」(news.yahoo.co.jp)