今時、短大出たくらいじゃ多くの仕事はない。
葬儀会社に勤めた。
人はいつ死ぬかわからない。
私の時間は他人の死で変わってゆく。
また亡くなった。午前2時。
私は寮だから出勤しなきゃいけない。
この世で一番真っ黒な服を着て、お悔やみを告げる。
笑顔を売る仕事。アイドルか。ケーキ屋さんか。
涙を買う仕事。ヤクザか。私達か。
結局、亡くなった方の部屋が狭く私は車で待機した。
午前3時半。
ふとスマホで配信サイトを見るとあるアーティストが歌っていた。
『あなたの名前を呼んでいいかな』
私の周りはみんな死者を呼ぶ。
おばあちゃん!おとうさん!おかあさん!
でも
この人は死の隣で無表情に笑う私の名を呼んでくれる。
もう
涙が後から後から
人は死ぬんだ。
だから誰か生きている間に私の名を呼んで。
お願い、私を、私を呼んで。
呼んで………誰でもいい。この崩れた私を。
まだ笑える私を。
ある夜、ツイキャスで歌われていたので書きました。
