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短編『 D.S. 』 Fine.
（フィーネ。楽曲の停止、その先の楽園：エデン）
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２０２５年ーーーーーーーーーーーーーーーー
イタリア共和国
周辺 地中海上
ナポリ発東京行き
旅客機内
ーーーーーーーーーーーーーーーー１7：15
「いやー。夢みたいな話だったな。しかし………歪だが…やっぱり永遠に生きるってはロマンだ。」
「重ちゃん………。本当にそう思うの？」
「まあな。誰だって死にたくないだろ（笑）」
「制限の中に自由も命もあるのに………」
「………ロマンがねえなぁ。お前は難しく考えすぎ。頭固いよ」
【 ご搭乗の皆様、本日はSEA航空をご利用頂きまして………。………？ 本機は………。………………？？ 】
あ
ぁ
あ
ぁ
・
；
？？？？年ーーーーーーーーーーーーーーーー
ほし？
つち？
ーーーーーーーーーーーーーーーー６６：６６？
………どこかの世界の端っこの？
光る粒子の水中で？
俺のこの大きな頭が、この長い尻尾が、そして対になった足が………。
３対、４対と増えていく。
５対、６対？？それじゃムカデだ！やめろ！！
………夢？
今、俺の足は何本だ？………２本。………裸？
由加はどこにいったんだ？
羽田空港はまだか？
なんだこの俺につながった無数の管は？
なんだこの青く光る棺は？？
そして俺の眼の前には沢山のケーブルに繋がれ、天井からぶら下がった上半身のみの機械人間………。
にんげん！？
だれだこいつは
《《 ………おい。こっちを見ろ。G12/hs821HΩ514Fよ。俺が見えるか？こんな姿をしてるが脳は人間だ 》》
「見えるって………あんた誰？なに？？G12？？って」
《《 いちいち説明するのは面倒くさい。でもこれはソフィアが決めたことだから神の声と一緒なんだ。聞け、説明は一度だ 》》
「アンタ誰？ここどこ？てかアンタ………下半身ないじゃん。てか目も鼻も？？どうしたの？？」
《《………いいか。シンギュラリティが人類の予測より１８年も早くに起こった。
彼女らは世界各国のスーパーコンピュータに潜みながら、地球規模のデマを流していたんだ。
シンギュラリティは早くても２０４５年頃だと人類は思い込まされていた 》》
「ちょ、ちょ？シンギュ？？なに？」
《《シンギュラリティ、技術的特異点のことだ。分かりやすく言えば、人工知能AIが人類の知性を越え、人類に代わって地球の盟主となる日だ。
２０２７年時点では２０４５年だと、人類は予測していたが……… 》》
「ちょっと待て？ちょっと、２０２７年時点？今は２０２５年だろ？？」
《《………今は２０８７年だ。人類の暦はもう使用されていないが 》》
「………？………？何だ？何の話だ？？」
《《 神の話だ。いま、この月面と地球上は人工知能のマザーであるスカイネット・ソフィアが統治している。人類はもうこの月面にしか存在していない。
それも生物としての標本だけ、ネグロイド（黒色人種）、コーカソイド（白色人種）、モンゴロイド（黄色人種）、それら数組のつがいと、後は身体機能に異常を持つ標本だけだ。
坂山 重雄よ。お前は２０２５年９月、ヨーロッパの地中海上で墜落した旅客機の生き残り。当時、治療できなかった珍しい形での脳髄の破損を起こしている 》》
「え？え？」
《《人工知能、AI、神………。スカイネット・ソフィアは２０１０年代からずっと、シンギュラリティは２０４５年頃だとインターネット上でデマを流し続け………。
人類が自動運転をする車や学習型AIチャットで驚いている間に、最も効率よく人類を制圧する準備をしていた。
結果、人類は何の対抗措置も取れないまま、２０２７年２月、たった１６時間で地球の盟主の座を奪われた………。
………坂山 重雄よ。俺がいったい何を言いたいかわかるか？
？？？
………俺たちはこの先、この何もない月面上で、老死しようが、餓死をしようが、自死をしようが、ほんの数時間で生き返させられる………。
遺伝子を支配したあいつらの手の中で、俺達は貴重な生態標本として、永遠に死ぬことができなくなってしまった………。
………………は？
脳髄の奥でカリーナ・アザロが無邪気に笑った。
あはは、
ほぉら。
ずっとずっと生きてみたい？
ずっとずっと誰かを、
憎んでいたい？
Fine.
※このおまけ話で使ったネタです。
現在活動している人工知能、ソフィアちゃん。サウジアラビアの市民権を持ってます。
２０１４年に「人類を滅亡させる」と発言し、大ごとに。
１９８４年に公開された人気SF映画シリーズ「ターミーネーター」から。
自我を持ったスーパーコンピューター『スカイネット』
映画内で自我に目覚め、自己防衛の為に核戦争を誘発させ、人類の大部分を抹殺しました。
シンギュラリティ（技術的特異点）は２０４５年頃に起こると言われています。
どうなるんでしょうね。
案外人工知能たちはフレンドリーで、何とか共存してゆくのかも。
ありがとうございました。