ぴょんぴょこさん、がいました。
ぴょんぴょこさんは森で二本足で跳ねています。
翼がついていますが飛ぶことはできません。
ある女の子が森でぴょんぴょこさんと出会いました。
何とぴょんぴょこさんは友達がいないのに、全ての生き物の言葉が分かります。
どうして飛ばないの?
生まれつき飛べないんだ。ぴょこぴょこ。
どうして翼がついてるの?
僕にも分からないんだ。ぴょこぴょこ。
ずっと1人でいるの?
お腹が空いて起きたら、ここに居たんだ。ぴょこぴょこ。
家族はいないの?
それが何か分からないんだ。ぴょこぴょこ。
生きていて楽しい?
ただここに居るんだ。どんぐりを食べてムクドリの巣を見守るの。ぴょこぴょこ。
………いつもどんぐりを食べているの?
うん。ぴょこぴょこ。
じゃあ明日拾ってくる。
ありがとう。ぴょこり。
ぴょんぴょこさんは恥ずかしそうに森へ消えてゆきました。
女の子は天を見上げて言いました。
「ぴょんぴょこさんは弱い遺伝子だから、淘汰されても仕方がありません。しかし、それなら何故、心を与えたのですか」
ぴょんぴょこさんは森の奥の奥でどんぐりを食べていました。
ぴょんぴょこさんの顔は真っ赤でした。
明日はまた、あの女の子に会えるかもしれないからです。
(つづく)