夏ですので読切ホラーです
耐性のない方はご遠慮ください
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大学での飲み会。
まーぁ女って怖いもんですわ。
俺と坂下は震え上がりましたわ。
その話はまた。
でも世の中にはもっと怖いものがあるでしょ。
その日、終電逃して坂下のマンションに泊まった。
坂下は部屋に入るなりソファへと倒れ込んだ。水が必要か聞いたが返事はなかった。
坂下はそんなに子綺麗なイメージはなかったが、部屋はよく片付けられていた。
俺も少し目をとじたが枕が変わると寝れない。
そしてアイフォンのバッテリーは後3だった。
「坂下、パソ借りていいか」
坂下は何やらダサい、ゆるキャラのクッションに顔を埋めながら、軽く片手を振った。
そして30分程ネットをしていると。
デスクトップに「saka_shita.mov」というファイルがあるのに気づいた。
ああ、MOVか。何かの動画ファイルだな。
どうせプライベート映像かエロ動画だろうと思い開いてみた。
そうすると………夕暮れの空き地?荒れ果てた公園?に列車が一両だけ止まっている。線路はない。
雑草が少し風に吹かれている。ただそれだけの映像。
だがずーっと見ていると窓の一つに小さな光が見えてきた。
さっきまでなかったな。
何だろうとよく見てみると、白い手袋のようなものが貼り付いている。
「ああ、見ちゃったか」
「………びっくりした!起きたんかい、坂下」
「坂下は列車の中だよ」
「………?………」
「俺は車掌だよ。あと74,982人必要だ」
気づくと俺は列車の中にいた。
夕暮れ時、捨てられた列車?荒れ果てた車内!
パニックになった。
周りは雑草が生い茂って何も見えない!
誰もいない!ドアが開かない!窓ガラスも割れない!
どこだここは?夕暮れ時、ここはどこ
そんな俺を見下すように、あちらこちらから老若男女の笑い声が響いた。
そして耳元で坂下の死にそうな声が聞こえた。
「ここは頭がおかしくなるぞ。ありがとう。交代してくれて」
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………あーあ。
あんな女子大の飲み会なんて行かなくてよかった。坂下先輩たちも物好きだね。
さーて勉強するか。昨日のPDFファイルはどこかなっと………。
あれ………何だこの動画ファイル?
matsu_i.mov