散文?のようなものです
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僕は薄暗い照明が照らした
ラブホテルのソファに座り
寒い下着姿で今ぼんやりと
テーブルに置かれていた
透明な硝子コップの縁を
じーーーっと眺めていた
その中に入っているのはただの水
だが表面張力で水がはみ出ている
この表面張力こそが
僕らの白く霞んだ性をどこまでも引っ張る
限界の美しさをまじまじと見せつけながら
溢れもせず
減りもせず
ほんの少しの力を
加えれば破綻する
そんな日常を僕らは逡巡とする
ここは寂れたラブホテル
表通りの宿は一杯だった
事さえ済ませればと思い
この錆びた場所を選んだ
しかし僕はこの場所に糸を張った
それは彼女の感情の中に少しでも
未来に通づるものはないのかと
半ば諦めながら期待をしながら
蜘蛛のようにその感情を待った
そんな感情を僕らは逡巡とする
結局、コップの水は溢れなかった
溢れもせず
減りもせず
でもきっと
僕はそれによって正気を保っているのだろう
そろそろチェックアウト
急いで荷作りをしなきゃ
この表面張力がいつまでも変わらぬように
コップの縁がいつまでも美しく在るように
もうここへ来ることがないようにと
願う
そのホテルの看板には子宮と書かれていた