短編「シロバコ」を読んでくださった方、ありがとうございました。
拙い文章、物語失礼いたしました。
本作は最初ホラーのつもりで書き始め、それを物怪と人間双方の立場から表現してみようという試みでしたが最後はヒューマンドラマになりました。
本作のテーマを挙げるとすれば「絶望」と「その先」だったと思います。
絶望、これは言葉だけを取ると、絶望の先には何もありません。
望みが絶えているのですから。
ですがもし、その何よりも暗い空間に疑問符を付けることができるのなら、それ(希望)はある、そうであるべきだという想いで書きました。
使わせて頂いた楽曲は「竹田の子守唄」です。
これは1971年に赤い鳥さんが発表したことにより世に知れ渡りました。
そのルーツは被差別部落にあると言われ、現在でも放送自粛にされているメディアもあります。
(現代語訳)
子守も嫌になる この盆から先は
雪もちらつくようになるし 赤ちゃんも泣くし
お盆が来たからと言って 何が嬉しいのか
麻の単衣(ひとえ)もなければ 浴衣を結ぶ帯もない
この赤ちゃんはよく泣くなぁ 私を休ませてくれない
こんな子守を一日中していたら 心も体もつらいな
早くいきたい この在所を超えて
向こうに見えるのは お父さんとお母さんが住む家
向こうに見えるのは 私たちが生きる家
この曲には様々な解釈があります。
ただ単純に子守唄で歌われていたとか、在所(京都では被差別部落という意味。大阪では単に故郷の意味)の厳しさ、悲しさを歌ったなどです。
自分は郷愁がメインだと思いつつも下記の解釈が一番しっくりきました。
「在所を越える」という部分を「誇りを主張し奪還するすべての行動」と捉えた。(橋本正樹)
誇り、差別、絶望、希望、いろんな側面を持つ曲です。テーマ曲として使わせて頂きました。
読んで頂きありがとうございました。
またいつかの日か書けそうでしたら続編を書きたいと思います。
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………険しい木漏れ日の山道を細いスキニージーンズと、サイズの大きいゴロゴロとしたスニーカーが踏み進む。
足取りは早く、後続の者は付いていけていない。
麦わら帽子を被ったその女は、ぶつぶつと呟きながら山頂へと進む。
「太地………退治の一家。屋白………社、トドメの一家。上城………………髪白の一家。シロバコを作る一家」
そして山頂を踏んだ後、後続の男がやっと追いついてきた。
「教授、ちょっと待ってちょと待って!テンションMAXはわかりますがこんな山道、誰もついていけない!なんちゅう体力ですか」
女は麦わら帽子をとり、目の前に広がった盆地を遠目に見た。
「はーあ。絶景だ。でも誰も思わないでしょうね。この盆地がUFOの墜落した穴だなんて」
「そんなトンデモ論、教授しか言ってませんけどね」
「そおね。さぁーて、黒身妖の一族に会いに行きましょうか」
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