むかし描いた絵本の続きですニコニコ

改めて全文を載せ、

文字が小さすぎますので絵外にも

文字を書きました。

 

 

 

 

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注文の    多い    料理店 あらすじ

リンク先の中段あたり。

 

 

 

 

 

 

 

故・宮沢賢治氏に敬意を表して

 

注文の少ない料理店

 

 

 

 人間を捕らえて食おうとした山猫の一族は

二人の若い紳士の白熊のような犬たちに

一網打尽にされました。

 

残ったのは五匹のみでした。

 

二匹のたくましい山猫と

山猫の大親分でいる雌猫と

そして産まれたばかりの

雌山猫の孫が二匹だけでした。

 

五匹は何とか今日の餌でもと

森をうろうろとしておりました。

 

 

 

それはだいぶの山奥でした。

先陣を切ってきた大親分である雌山猫も、

ちょっとまごついて引き下がってしまいました。

 

それにあんまり山がもの凄いので

そのたくましい山猫が二匹いっしょに

めまいを起こしてしばらく唸って、

泡を吐いて死んでしまいました。

 

「これでもう私たちを守ってくれる者はいない」

 

 

 

大親分は二匹の死骸に

枯葉を乗せ、じっと祈っておりました。

 

その時ふと後ろを見ますと

立派な西洋作りの家がありました。

そして玄関には

 

RESTAURANT

西洋料理店

IN THE FOREST HOUSE

森の家軒

 

という札が出ていました。

お親分である雌山猫は大きなため息をつきました。

 

それはこれから起こる事が

容易に想像できたからです。

 

 

 

大親分の雌山猫は店の前にある

大きな切り株の上に立って二匹の孫猫に言いました。

 

「にゃあ。にゃあ。お前たちは

まだ人語が理解できないだろうから言っておく

 

この先、私は無事ではいられない。

これは私が人間に負けた結果であって

 

お前たちは決して人間を憎んではならない。

そこのところをよく覚えておくのだよ」

 

 

 

大親分である雌山猫と孫猫の三匹は

そのレストランのドアをゆっくりと開けました。

 

ドアにはもう『本日貸切』の札がついていました。

 

中に入るとたくましい西洋人のコックが

フライパンを片手に壁に寄りかかって、

こっちをじっと見ていました。

 

 

「にゃあ。にゃあ。私どもは今日の飯にもありつけません。どうかお恵みを」

 

たくましい西洋人のコックは言いました。

「もちろん。助けてやろう。

その子猫どもの面倒はみてやる。

だが人を食おうとしたお前は助けるわけにはいかん」

 

「わかっていますとも。

私はどうなろうが構いません。

この子らの面倒を見てやってください」

 

 

 

「よかろう。私は楽器が好きだ。

お前には三味線になってもらおう。

その代わりその子猫どもの面倒は一生見てやる」

 

「ありがとうございます。

さ、私を楽器にしてくださいまし」

 

小さな孫猫二匹を残したまま大親分である雌山猫は

奥の部屋へと入って行きました。

 

 

 

それから5年後。

 

たくましい西洋人のコックは客のいない時には

酒を飲んでレストラントの前の切り株に座り

楽器を弾くことがありました。

 

ヴァイオリン。チェロ。フルート。

 

 

森は静かです。

でも三味線を弾くと………。

 

二匹の山猫を中心に森中の獣たちが集まり

いつまでも、いつまでも、

その音色を聴いておりました。

 

 

 

 

(おわり)

 

 

 

しばらく不定期になります。

またよろしくお願いします。