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みどり の おにさん いいよった

まっか の おにさん たべよった

あーお の おにさん しかられる

 

みそぎ を もっても はいられぬ

いのち を もっても おいかえし

 

さいた よる に は やりなおし

 

やりなおし………

 

 

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渋谷センター街から外れたラブホテルの一室。

 

 

館山恭一郎はベッドに腰掛け、頭を抱えていた。

私はそっと隣に座った。

 

 

「………震えてるの?」

 

 

「警察は頼れないし、助けてくれない。刑事が警察を見限るなんて変な話だが………」

「私たちがいるよ」

 

 

「そうだな。だがあいつは、インリンは楽しんでるからな」

「頼りになると思うけどなぁ」

 

 

「ああ」

 

 

「そのぶっきらぼうな返事、日頃は面倒くさかったり、ほっといて欲しい時に使うのかな」

「………」

 

「でも今は不安で怖くて仕方がないって聞こえるね」

 

 

「小野寺真也とは婚約してたのか」

「ううん、大好きだったけど、付き合いは半年ほどなの」

 

 

「どこで知り合った?」

「彼の勤務するジムです。ある日いきなり電話番号渡されて(笑)」

「そうか」

 

 

「部下の吉岡川乃さんとはお付き合いしていたんですか」

「職場には隠してた」

 

 

「お互い愛する人を失いましたね………」

「ああ」

 

 

そう言って館山恭一郎は優しく私を押し倒した。

右手で私の左手を掴み、左手で私の首に手を回した。

 

 

彼の荒々しい息が頬に掛かった。

だけど不覚にも私は彼の口臭が嫌に感じなかった。

 

何かケアをしているのだろうかとそんなことをとっさに考えてる間に、

 

 

やってしまった………

 

 

館山は私に口付けをし、優しく舌を入れてきた。

私は彼の肩に手を回し、口付けを受け入れた。

 

 

声を出してはダメだ。口付けが終わってしまう。

私は何とかポッケからスマホを出し文字を打った。

 

 

 

( くちべに! )

 

 

 

密接に唇を重ねていても、館山の血が引いていくのがわかった。

 

館山はまだ生きてる。口紅に触れている間は大丈夫なのか………?わからない!!

館山は私のスマホを取り打ち込んだ。

 

 

(すまん にげろ)

 

 

目の前の男から唇を離したらその男は死んでしまう。

そんなの聞いたことがない。

口付けをしたら目覚めるとか生き返るはあったけれど。

 

 

ああ、この人は出会ったばっかりだ。二日目だ。

でも死なすのか………。

 

 

(たすからない にげろ)

 

 

彼はそう言って私を突き放した。

唇が離れ、彼はそのまま倒れ込む様にベッドに顔を埋めてしまった。

 

 

いとも簡単に、死んだ。

 

 

 

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「この童謡を見つけ出したのはでかいっ。さすがっ。ゆりにゃん♡」

 

「本気出せばこんなものです」

 

「いやーっ頼りになるっ。で、この子誰?」

 

「姪です。両親が海外旅行に」

 

「連れて行けばいいのに………じゃあ今日は♡ナシかっ………」

 

「最初から無いです」

 

「わーんっ………って電話」

 

 

 

 

「………どうしたのっ、ミッチー。………うん。うん。うん。すぐ逃げて。今確保されたら僕らは死ぬ。署名捺印させられるかもしれない。呪いを止められない。だから指紋と髪の毛の処理してすぐ出て。監視カメラはもう映っちゃってるからあまり気にしないでいい。マップ送るから一時間後にそこきてっ」

 

「どうかいたしましたか?」

 

 

「7人目が死んだ」

 

 

 

 

 

あと4人