寓話です
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ぱくぱく
オオアリクイのイグジィが、木漏れ日をジタバタと踏みながら、
小さな命を食べていました。
お腹は満たされていたのですが、特にすることがないので、
小さな命を食べていました。
少し離れた大木の上では、二匹のキツネザルが何かを話しておりました。
ひっそ ひっそ
イグジィはその内容をとてもつまらなく思いました。
フクロウがジャガーに小言を言ったとか、そんなどうでもよい話です。
しかし何故か、ざんこくな考えが沸き起こりました。
ぐるる
イグジィは長い舌を巣から引き抜いて、
足元にあったアリの列をジタバタと踏み始めました。
明日たべる分も明後日たべる分も、大きな爪で潰しました。
しかしアリたちはまるで動じません 何匹つぶされても全く動じません。
巣穴にはちょうど昆虫王の頭が、運ばれてゆくところでした。
どろろ
大木の上にいたキツネザルたちの鼻が、腐って落ちました。
昼夜逆転していたフクロウの羽が、湿って落ちました。
足音を消すことのできなかったジャガーの歯が、ボロボロと抜け落ちました。
そして鎖のようなアリたちが、ちいさな足を一斉に振り上げます。
昆虫王の頭は、すっぽりと巣穴に吸い込まれていきました。
きらら
木漏れ日が風に吹かれ、光の波となりました。
いつの間にかイグジィの周りには、
森の者たちがひしめくように寄り添い、眠っておりました。
森の者たちの頭上に、光の粒がゆらめきます。
彼らはみな同じ夢を見ていました。
イグジィは自分の長い鼻と爪をまじまじと見つめました。
そして、命の使いみちを考えはじめました。
(2024.7.17加筆)