散文ですニコニコ

 

 

 

 

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『或る名無しの遺書』

 

 

 

 

 

私が貴方に伝えたいこと。それはたったひとつです。

 

何もかも捨てて私の元へ来てください。

何もかも捨てて私と生きてください。

 

 

 

そうすれば

 

私は自分の存在の全てをかけて貴方と生きましょう。

身体も、精神も、良い心も悪い心も、全てをかけて。

 

 

そこには愛があるはず。

 

 

………いや、多分これは違うのでしょう。

条件付きの愛など愛ではない。

 

 

貴方を包む全てのしがらみを振り払い、貴方が私の元へ安心して駆けてこれるように。

それこそ命をかけてやる。それが愛。

 

 

だから私の愛は愛ではないのでしょう。

愛の皮を被った只のわがまま。

 

 

 

だけども

 

貴方の側には誰かがいらっしゃる。

私を愛すと言うのなら、どうしてそれを解決しないのか。

私は理解に苦しむのです。

 

 

私ならばその誰かにすぐにでも別れを告げ、貴方の元へと駆けていく。

 

 

金銭や荷物はそんなにすぐに解決できない問題ですか。

時間が必要ですか。その時間は私を苦しめると分かりませんか。

 

 

また自分本位になってしまいました。

 

 

私は所詮………ああ、今度は卑屈だ。

 

 

私は誰かの人生を彩る存在にはなれない。

 

 

 

 

 

もはや夜明けも近づいた、死にましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

(都井睦雄の遺書から一部拝借)