マクリントックと100万ドルの血斗 | 懐古趣味親爺のブログ

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幼少期(1950年代)から成人期(1970年代)までの私の記憶に残っているものを網羅。

『マクリントック』(1963年/監督:アンドリュー・V・マクラグレン)

町名に自分の名前までつけている実力者で大牧場主のマクリントック(ジョン・ウェイン)のもとに、二年前に家を出たきり妻ケティ(モーリン・オハラ)が帰ってきます。彼女の目的は東部の大学を卒業して戻って来る娘ベッキー(ステファニー・パワーズ)を東部へ連れ帰ること。マクリントックは、妻をなだめて以前のように一緒に暮らそうと考えているのですが……

お楽しみの第1は、役柄にあったキャラでお馴染みの役者が登場すること。おとぼけぶりを発揮する牧童のハンク・ワーデン、マクリントックが信頼する番頭のチル・ウィルス、何を考えているのかわからないようなホームレスのエドガー・ブキャナン、マクリントックと並ぶ大牧場主のブルース・キャボット、牧童と農夫の大乱闘の元になるインディアン嫌いのレオ・ゴードン、うさんくさいインディアン管理官のストローザ・マーチン、インディアン酋長のマイケル・ペイト、東部で流行っているという踊りのステップを見せるディック・ヴァン・ダイクの実弟ジェリー・ヴァン・ダイク、料理の腕を見込まれてマクリントック家の家政婦となるイボンヌ・デ・カーロもモーリン・オハラに負けない気の強さを見せてグッド。

お楽しみの第2は、恋人や女房の尻に敷かれている男性諸君にとって、ウェインの解決策に溜飲が下がること。男はこうでなくちゃいけませ~ん。

この作品を最初に観たのは食玩DVD。テレビサイズにトリミングした酷い代物。テレビ放映したものをそのままDVD化しており、本編の前後にはいる水野晴郎の解説だけが取り柄でした。

「ジョン・ウェインといえば西部劇を思い出す程の大スターである。『駅馬車』『捜索者』『黄色いリボン』『リオ・グランデの砦』と名匠ジョン・フォードと組んで数々の名作・大作をものにしてきた。これは、そのウェインが西部を舞台に、いわば通常のアクションとはちょっとおもむきを変えて作った娯楽映画である。ジョン・ウェインの出身地がアイルランドであることは有名だが、奥さん役のモーリン・オハラは典型的なアイルランド女性、アイリッシュ・ウーマンは気が強く赤毛というのが定説だがこのモーリン・オハラとウェインのアクションシーンこそ見もの。あの『静かなる男』の西部版である。しかも監督がフォード映画でオスカーをとったビクター・マクラグレンの息子アンドリュー・マクラグレンというからフォード一家の痛快娯楽大作である。フォード感覚を引き継いでいるあたりが大いに見もの。いやァ、映画って本当にいいもんですね」

ところで、この映画の主題歌をスリー・ファンキーズ(東芝)とフォア・ラッズ(コロムビア)が日本語でカバーしています。およそ売れそうにないレコードです。

 

『100万ドルの血斗』(1971年/監督:ジョージ・シャーマン)

無法者(リチャード・ブーン)一味に孫(ジョン・イーサン・ウェイン)を誘拐されたジョン・ウェインが、孫を取り返すためにリチャード・ブーンと対決する西部劇。自動車やオートバイ、銃器もスコープ付ライフルや自動拳銃が出てくる20世紀ウエスタンです。自動車で追跡した保安官が、無法者たちにタイヤをブチ抜かれて文明の利器が役に立たないという皮肉があります。ウェインは古いタイプの西部男で、インディアン(ブルース・キャボット)を相棒に馬で追跡。身代金が100万ドルで、それを狙って他の無法者が襲ってきたりと、アクションシーンは多いのですが、どれも緊迫感がありません。ウェインが強すぎますからなァ。

ウェインの長男マイケルが製作にあたり、息子と孫の役で、次男のパットと末子のイーサンが出演しているだけでなく、ウェイン映画ではお馴染みの顔ぶれが揃っています。妻役のモーリン・オハラは、ウェインの妻といったら、この人しか考えられないくらいの存在だし、リチャード・ブーンは、ウェインが監督した『アラモ』ではヒューストン役で、遺作となった『ラスト・シューティスト』では今回と同様に敵役でした。ブルース・キャボットも『ハタリ』他7本の作品でウェインと共演しているし、息子役で出演しているクリス・ミッチャムも『リオ・ロボ』に続いて登場です。他にもジョン・フォード作品で共演した、ハンク・ウォーデン、ハリー・ケリー・ジュニア、ジョン・エイガーも出演していま〜す。