要塞はナバロンとテレマーク | 懐古趣味親爺のブログ

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幼少期(1950年代)から成人期(1970年代)までの私の記憶に残っているものを網羅。

戦争映画は好きじゃないんですが、戦争アクションは別物。

『ナバロンの要塞』(1961年/監督:J・リー・トンプソン)

1943年、エーゲ海のケーロス島にいる2千の英兵が孤立してしまい、それを救おうにも、島のノド元をおびやかす独軍ナバロン要塞が、ガンとして不落を誇りつつ、睨みをきかせています。海からの攻撃も、空からの猛襲も効果なし。今これを陥さないと、1週間後に2千の将兵が犬死します。残された方法はただ一つ、特殊部隊が裏から要塞に潜入し、1週間以内に砲台を爆破すること。でもって選ばれたのが、運の強いフランクリン少佐(アンソニー・クエイル)を隊長に、登山家のマロリー大尉(グレゴリー・ペック)、爆破の専門家ミラー伍長(デビッド・ニヴン)、元ギリシャ軍大佐のスタブロウ(アンソニー・クイン)、ナイフの名人ブラウン無線兵(スタンリー・ベイカー)、ナバロン島生まれのパパディモス一等兵(ジェームズ・ダーレン)の6人。嵐の夜にナバロン島の絶壁をよじ登って上陸に成功しますが、フランクリン少佐が負傷し、マロリー大尉が指揮をとることになります。ナバロン島でレジスタンス活動をしているパパディモス一等兵の姉マリア(イレーネ・パパス)とアンナ(ジア・スカラ)に合流した一行でしたが……

敵艦艇との射撃戦に始まり、暴風雨にさらされる小舟、暗闇の中でのロッククライミングと、見せ場の連続で物語が展開していきます。裏切者の存在や時間との戦いが加わり、娯楽映画の要素がテンコ盛り。現在でも冒険映画の最高傑作だと私は思っています。アリステア・マクリーンの原作をカール・フォアマンが見事に脚色しており、ピッタシのキャストと、迫力ある映像と音楽(ディミトリ・ティオムキン)で映画化。アクションの連続だけの最近の映画と違い、人間ドラマもしっかり描いており、心に残る私の思い出の作品になっています。J・リー・トンプソンの初期の監督作品ですが、その後、名前だけで監督している感じで、この作品を超えるものはありませんでしたねェ。

マロリー大尉とミラー伍長が活躍する『ナバロンの嵐』(1978年/監督:ガイ・ハミルトン)という続編がありますが、平凡な演出でハラハラ感がなく、ロバート・ショーとエドワード・フォックスではグレゴリー・ペックとデビッド・ニヴンのような味わいがありませんでした。

 

『テレマークの要塞』(1965年/監督:アンソニー・マン)

ノルウェー・テレマーク地方のレジスタンスのリーダーであるクヌート(リチャード・ハリス)は、重水工場長からの情報でオスロ大学のロルフ博士(カーク・ダグラス)に相談します。ロルフはナチスが原爆製造に着手したと推測し、連合軍の協力を得てクヌートと調査のために現地に潜入。工場の重水製造装置を爆破しますが、すぐに重水製造が再開され、今度は本国ドイツに送られる重水の全ストックの輸送を阻止するために……

西部劇では人間の内面に迫るするどい描写を見せるアンソニー・マンですが、大作アクションとなると大味な感じがします。心の葛藤がないんですな。工場爆破、輸送船撃沈という二段構えのアクションを用意していますが、緊迫感が不足。残念ながら凡作です。それにしても要塞なんか出てこないよォ。