さむらい飛脚 | 懐古趣味親爺のブログ

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幼少期(1950年代)から成人期(1970年代)までの私の記憶に残っているものを網羅。

『さむらい飛脚』は、大友柳太朗が主演した唯一の連続テレビ時代劇で、『素浪人花山大吉』の後番組として、NET (現:テレビ朝日)系列で1971年1月9日~4月3日に放送されました。たった13回の短命番組ですが、それが信じられないような面白い時代劇ですよ。土曜日夜8時~9時という時間帯は、裏番組に『謎の円盤UFO』と『8時だヨ!全員集合』があったので、視聴率が低かったんでしょうね。ちなみに私は、海外ドラマ『謎の円盤UFO』を観ていました。

“さむらい飛脚”というのは、危険な荷物や命を狙われている人を目的地まで届ける稼業。親玉・後藤左衛門(大友柳太朗)、八方破れ・古吟鹿之助(若林豪)、かみそり・神坂精四郎(品川隆二)の凄腕浪人三人に、世話役の姐御・お紺(佐藤友美)、走り使いの若者・井戸勘兵衛(川口恒)がレギュラーで、第1話「鬼の走る道」は江戸家老の不正を暴いた手紙を国許の家老に届ける娘を護衛する物語です。第2話「深夜の使い」は、禁制品の送り状を狙う悪党一味と禁制品密売一味の両方を退治する物語で、どちらのエピソードも大友柳太朗のスケールの大きい立ち回りが見応えあります。

第3話「身代わり街道」は、お守役(原健作)に頼まれて烏山藩に婿入りする将軍の弟(品川隆二の二役)を護衛するんですが、刺客が次々に襲ってきます。烏山藩の若殿(坂口徹)の仕業に見せかけて刺客を放ったのは、烏山藩の取り潰しを画策する隣藩の悪家老(天津敏)ね。品川隆二がニヒルな神坂精四郎とヒョウキンな殿様を演じ分けています。品川隆二は『忍びの者』と『素浪人月影兵庫』で、ニヒルとヒョウキンは経験済み。

第4話「夜あらし甲州路」は、日本では珍しいシャム猫を届ける仕事を請負った“さむらい飛脚”ですが、猫の鈴に財物の地図が隠されており、盗賊夜あらしお絹(白木マリ)の一味が襲ってきます。女と思って油断し、ピンチとなるので~す。

第5話「茶釜が生首に化けるとき」と第6話「母恋い地獄唄」は、茶釜と思っていたら生首だったのは何故、盲目の母親へ娘に代わって金を届ける理由は何故。単純な仕事だと思っていたら、背後に複雑な事情があったというお話でした。

第7話「闇から闇へ」と第8話「空っ風無情」は、大友柳太朗・若林豪・品川隆二・川口恒が宿場町を並んで殺し屋一味と決闘に行くところは西部劇タッチで嬉しくなりましたね。小柄を使った魔剣の名手・神田隆を大友柳太朗が倒すのは、『荒野の用心棒』でしたよ。

第9話「海賊の遺産」は、御用金を盗んだとされる海賊が獄死し、その海賊の依頼で娘にお守りを届ける話ね。お守りの中に御用金の隠し場所がわかる地図があると思いきや、御用金を奪った黒幕は他にいて……

第10話「仮面の花火師」は、殺された花火職人から火薬の秘密工場があることを知った“さむらい飛脚”が、大名に火薬を密売している幕府の黒幕を暴く話で、鉄砲隊相手に危機一発。

第11話「もの言わぬ美女」は、正室から狙われる大名の側室を密かに護衛して信州まで旅することになった“さむらい飛脚”ですが、後室の乗った駕篭の中には……

第12話「逆夢道中」は、勘当された兄から相続絡みで命を狙われているという大店の息子を、後見人の依頼で下館まで護衛することになった“さむらい飛脚”の話で、兄はすでに殺されており、黒幕が他にいて……

第13話「空の花笠」は、家を飛び出して江戸で暮していた大庄屋の息子が事故死に見せかけて殺され、孫にあたる少年を在所まで連れて行く“さむらい飛脚”の話で、大庄屋の弟が病気の兄の財産を狙っているんですな。最終回といっても、特別なものじゃありません。

大きな構えから繰り出される大友柳太朗の立ち回りは惚れ惚れします。テレビセットのような狭い場所では少し窮屈で、映画のようなチャンバラとはいきませんでしたけどね。

扶沙かなゑが歌う主題歌「燃えていこうよ」の他に、品川隆二の歌う挿入歌「男が命を賭けるとき」があるらしい(エンドクレジットに表示)のですが、劇中では聴くことができませんでした。ワンクール(13回)で終了したため、使う機会がなかったのですかね。面白い時代劇だったので、短命は惜しいで~す。