徳川家康 | 懐古趣味親爺のブログ

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幼少期(1950年代)から成人期(1970年代)までの私の記憶に残っているものを網羅。

NHK大河ドラマの成功を横目に見て、NET(現:テレビ朝日)が大株主だった東映の協力を得て、開局5周年の企画として制作したのが、当時ベストセラーだった山岡荘八の『徳川家康』です。北大路欣也と市川右太衛門の親子が、青年期と壮年期の徳川家康を各々演じる2部構成で、1964年7月4日~65年10月30日放送。

主な登場人物は、父・広忠(江原真次郎)、母・於大(村松英子)、今川義元(花柳喜章)、太原雪斎(柳永二郎)、関口親永(野々村潔)、瀬名(扇千景)、織田信秀(三島雅夫)、織田信長(津川雅彦→芦田伸介)、木下藤吉郎→羽柴秀吉(山本学→西村晃)、斎藤道三(山形勲)、濃姫(小林千登勢)、お市(宮園純子)、浅井長政(土屋嘉男)、柴田勝家(織本順吉)、竹中半兵衛(岸田森)、武田信玄(志村喬)など。第二部で齢相応に配役が代わるのですが、信長の芦田伸介と秀吉の西村晃には違和感がありましたね。そのせいか、第二部では視聴率があがらず、当初は全100回(2年)の予定だったものが、1年半に短縮(北条が滅んで、秀吉から関東に国替えされたところで終わり)されました。ちなみに、北大路欣也は第二部では家康の息子・信康の役で出演しています。

物語は家康の母・於大が広忠に嫁いでくるところから始まり、於大の母・華陽院に山田五十鈴、於大の父・水野忠政に三国連太郎という豪華キャスト。製作費は1回当り420万円だったそうですが、出演料の占める割合が大きかったようです。何しろ、東映の重役スター市川右太衛門のレギュラー出演ですからね。そのため、セットを簡略化します。舞台風のセットにして、白黒時代のテレビにあわせて黒の部分に奥行を、白の中に質感を盛り込み、テレビ画面は小さいのでイメージの世界で勝負。その小画面を逆に利用して、1本のローソク、風、雨、煙、火、砂、泥、落ち葉などを使って質感を出します。そしてユニット・セットにして、番号を付け、それらを組み立てて使いまわす方法を考案。これによって、何よりも美術費が高くなりがちな時代劇のコストダウンに貢献しました。

演出を担当した河野宏には、人間性を色濃く出した時代劇にしたいという欲求があり、武将といわれる人間の悲しさを強調したかったそうで、合戦や立ち回りは重要でなく、人間ドラマを重視しました。第1部中盤のクライマックスともいうべき桶狭間の合戦では、芸術祭参加番組として特別枠の予算が与えられ、狭いスタジオをとび出して御殿場に大ロケーションを展開。東映が協力していたので、伊藤大輔のフィルムを借りてロケとの合成映像も作られたそうですが、合戦の迫力よりも今川義元とのヨミ比べの心理戦を描くことに重点がおかれ、人間ドラマであるという演出意図を崩すことはありませんでした。ちなみに、伊藤大輔監督による『徳川家康』が、1965年1月に正月映画として公開されています。

放送時間帯が、土曜日の夜10:00~11:00であった為、我が家では10:10~10:40は『夢であいましょう』を観ており、『徳川家康』は中抜きの最初と最後を観るという変則的観賞。それでも、桶狭間の合戦や姉川の合戦などがある回だけは、ちゃんと観ていましたよォ。