白鳥の騎士(映画とテレビ) | 懐古趣味親爺のブログ

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幼少期(1950年代)から成人期(1970年代)までの私の記憶に残っているものを網羅。

北村寿夫原作の“新諸国物語”は、1952年から60年まで、月曜から金曜の午後6:30~45に放送されたNHKの人気ラジオドラマです。

『白鳥の騎士』→『笛吹童子』→『紅孔雀』→『七つの誓い』→『オテナの塔』→『天の鶯』→『黄金孔雀城』と続き、『天の鶯』を除いて全て映画化されています。『白鳥の騎士』をラジオで聴いた記憶はなく、『笛吹童子』の印象が強かったので、『笛吹童子』をシリーズ第1作と長い間思っていました。『白鳥の騎士』も映画化されたということは、それなりに人気があったのでしょうな。でもって、映画化された『白鳥の騎士』(1953年・新東宝/監督:組田彰造)ですが、お話は……

丹波の雄麿(三原純)は、朝廷に対して東北で抵抗していた蝦夷の長・思荷を降伏させます。しかし、同行していた軽部ノ広足(戸上城太郎)が手柄を独り占めにするため、雄麿と思荷を襲撃。思荷は殺され、傷を負って崖から転落した雄麿を思荷の子・タマジ(利根はる恵)とオイナの姉弟が救います。都へ凱旋した広足は、近衛大将に任官し、雄麿の許婚者だった雪姫(南寿美子)に横恋慕。絵は上手いがアホの公家と云われている橘ノ夕霧丸(大友柳太朗)は、広足に頼まれて思荷から奪い取った砂金鉱地の地図を複写。タマジとオイナを伴って密かに都に帰ってきた雄麿は、広足を誘きだして斬ろうとしますが、逆に広足の腹心・新見ノ赤石(海江田譲二)の軍勢や金目当ての野武士・羅生丸(田崎潤)に囲まれます。雄麿の危機を助けるのが謎の覆面・白鳥の騎士ね。広足に捕らわれた雪姫を救出するために雄麿は広足の屋敷に乗り込みますが……

脚本の井出雅人は、原作の室町時代から平安時代に変えています。アテルイの乱の史実が念頭にあったのかもしれません。それと、原作では雄麿が白鳥の騎士ですが、この作品では雄麿を陰から助ける存在として設定。雄麿がピンチになると必ず現れ、広足の悪事をあばきます。

雄麿役の三原純は私の知らない役者でして、貧相な顔で華がありませんなァ。大友柳太朗は東映からの出張出演。殺陣師が悪いのか、斬られ役が下手なのか、大友柳太朗の特長であるスケールの大きい殺陣が見られません。組田彰造の演出は、馬での追跡シーンはスピードがあって良いんですが、全体的にテンポが悪く、ギクシャクしています。東映の『笛吹童子』のような、血沸き肉躍る楽しさがありませんでした。

 

東映は9年後にテレビ時代劇として製作し、沢村精四郎(現:澤村藤十郎)主演で好評だった『紅孔雀』に続く“新諸国物語”シリーズ第2弾としてNET(現:テレビ朝日)系列で1962年7月5日~63年3月27日放送。沢村精四郎の『紅孔雀』については、ココヘ⇒東映テレビ時代劇創生期(『天下の暴れん坊・猿飛佐助』他2本) | 懐古趣味親爺のブログ (ameblo.jp)

室町時代、幕府の要職者たちは将軍の権威をかさにきて私利私欲をむさぼっています。京の都に夜ごと跳梁跋扈する野盗に対して無策なまま。そんな中、神出鬼没の活躍で野盗から人々の危難を救っていたのが、頭に白鳥の冠を載き、白一色に衣装に白弓と白羽の矢を持った正義の使者・白鳥の騎士です。野盗を手先に使って人心を攪乱させ、蝦夷の宝を狙う幕府の重臣・赤松黒主は、雪姫(関みどり)に横恋慕し、雪姫の恋人である丹後の雄麿(沢村精四郎)に盗賊の汚名を着せ、蝦夷地へ追放。宝を手に入れた後、幕府を乗っ取ろうとする黒主の野望を知った白鳥の騎士こと雄麿は、蝦夷の平和とアイヌ人の幸せを守るために決然と立ち上がります。

でどうなるかというと、フィルムは現存しておらず、私も未見なのでわかりませ~ん。ただ、高城丈二の歌う主題歌が流れるオープニングタイトルだけは、『東映TV特撮主題歌大全集』のDVD第1巻に収録されていて観ることができま~す。