BLCD 『欲望の犬』感想 | 半腐女ry生活?

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腐っているような腐っていないような声優&アニメヲタが送る感想ブログ。
(と言いつつ、中身はドラマCDの感想ばかり・・・w)

欲望の犬 (f‐ラピス文庫)/プランタン出版
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BLCD「欲望の犬」を聴きました!!!(何回聴いたか覚えていないくらいキラキラ
2007年7月25日発売 原作:中原一也 イラスト:奈良千春
出演 坪井智浩 三宅健太 子安武人 小野塚貴志 一条和矢 他


地方検事の水上は、雨の中拾ってきた哲哉と獣 じみたセ ッ ク スをしてしまい、そのまま家に居着かれてしまう。愛されていると錯覚するほど水上を欲しがって抱 くくせに、いくら躰を繋げても哲哉は素性を明かそうとしなくて、水上は自分だけが振り回されている気がしてならない。以前会ったことがあると仄めかされても、詳しくなるのは躰のことばかり。偶然哲哉が人気上昇中のモデルだとわかり、水上は行きずりの関係を思い知らされて――。


ブックレットにキャスト紹介が載っていないので筆者なりの解釈で失礼します。
主人公2人に関しましてはあらすじからお察しください。
水上護(CV.坪井智浩)
大貫哲哉(CV.三宅健太)
幸田誠二(CV.子安武人)

水上の先輩の敏腕検事であり元恋人。幸田の結婚を機に別れたが、妻とは上手くいかず再び水上を求めてきて…
迫田(CV.一条和矢)
大貫の所属するモデル事務所の関係者。大貫と水上を別れさせようとする。


三宅健太(大貫哲哉)×坪井智浩(水上護)



※先日ランキング記事に“二度と書かない”などと書いていましたが、この記事に願望を書いていたのを忘れていました・・・。嘘ついてしまいすみません<(_ _)>



作中でセ ッ ク スという単語が幾度も使われますが、性 欲を感じさせないどころか、私は品性すら感じるのです。
デパートの紳士服売り場に畳まれたYシャツのように、セ ッ ク スという単語は整然と行儀良く置かれているのです。
一枚手に取れば崩れる均衡を、保ち続けるのもあっという間に乱してしまうのも目に見えていながら、その境界線上に立ち傍観しているのが愛しい作品です。
後に書く演出もこの空気感の一端を担っていますが、水上@坪井さんと大貫@三宅さんが作っているものと言っても過言ではありません。
水上は一見すると性 欲を持たない無臭の男性です。有能な検事として日々職務を全うする姿しか一般人には感じられないかもしれません。しかし実は決定的に違うのです。

冒頭、雨の降りしきる中足取り重く帰路に着く水上。
「はぁ……」
―雨が降っていた。歩く度に跳ね返る水が、スーツの裾を濡らしていく。体が重い。被疑者の自サツ未遂が、これほどまでに自分の心を蝕むとは思わなかった。被疑者……そう。俺は検事だ。彼の自サツ未遂が自分のせいで無いことはわかっていた。しかし、それでも自分の取り調べに問題が無かったか、自問を繰り返す―
「あ……」
―そこに男がずぶ濡れになりながら立っていた。男……青年といった年齢だろうか。その鋭い視線に気を取られて、歩調が緩む―


モノローグの静けさと弱さが彼の全てを物語っていて、後を引きます。
雨の中ずぶ濡れで立ちすくんでいた大貫@三宅をちょっとした事故から拾ってしまい、自宅へ引き入れるのですが、ここで早速弱り切った水上の心が本来の姿をさらけ出させてしまうのです。
水上の持つ色気は、大貫がバスルームを借りてバスタオル一枚巻いて出てきた時に開花します。
「っ!」
―腰にバスタオルを巻いただけの、濡れたその体が引き締まっていて、目が離せなくなった―

どんな目で大貫を見ているのか。モノローグは水上にあるのにありありと浮かびます。例え取り繕おうとも無駄。犯 されたいと顔に出ているのです。
終盤大貫はこの出会いを振り返り
「だろうな。でもあんたさ、エ ッ チ な気分になった時、めちゃくちゃ色 っぽい目になるの、自覚してる?」
「っ……」
「もう……俺の理性なんてぶっ飛ぶくらい、色 っぽい目だった。無意識だったんだろうけど、あんたは、俺を誘ってた。抱 いて。って。そんな風に誘われて、平常心保てるかって」
と告げていますが、まさにその通りに聴衆にも伝わってきます。



演出がまた素晴らしいのです。

大貫は素性がわからず秘密主義を貫き続けます。あらすじにモデルだとわかりと書いてありますが、モデルだとわかった後も謎が多く水上は不安に苛まれます。
会話。特に水上と大貫の会話に重点が置かれている本作ですが、極力邪魔にならない静かでシリアスな音を使っています。その為より大貫の謎は深まるばかり。追って聴くのがまた面白いです。
出会いのシーンでは水上が食事を出し・・・


「じゃあ、食べようか」
「ああ。いっただっきまーす……ぁ、あんた、食わないの?」
「ぃや……あんまり食欲無くて……」
「ふーん」
「これも食べる?」
出された食事を美味しそうに食べる幸田
「おいしい?」
「んーうまいよ」
「すごいね」
「何が?」
「食欲」
「……あっちもすごいんだけどー。味わってみたい?」
「っ!」


いきなり場違いな揶揄するような声と射るような目を張るのですが、この空気をざっと止める一瞬が、音の変化によっても容易に入ってきます。まるでにじり寄られるような部分が音によっても作られているのです。
空気感に合う場所ややり取りしか登場しないのも良いです。
雨の日には傘の下で手を握り、水上と大貫がデートした際にはフランス映画を見て、指と指を絡ませ。

あとは、高級マンションと職場とバーラウンジとホテルの一室と。全てがお洒落であり、嫌味も感じさせません。
シナリオも過不足無く書かれていて、本当に作品が完成されているのです。
つまり、名作だと私は言い切りたいのです。



三宅さんはBL作品ではよくヤのつく職業の人や、ガテン系の兄さんなどいかつい役を演じていらっしゃいますが、本作はイメージの違う役どころです。謎の多いモデル、と書いておきましょう。
引きしまった肉体と巧みな言葉で水上を翻弄しますが、特に三宅さんの起用がハマっていると思うのは口調です。結構多くの作品で一文の中に喉の奥を鳴らすような笑いを含んだ独特の癖を混ぜていらっしゃるのですが、本作では演出の静けさと相まってそれが際立っています。水上の全てを見透かし、その上自然に快 楽へ傾く思考を引き出すよう、語りかけるように聞こえるのです。
更にバリトンボイスが良い味を出していて、獣、本作で言うなら「ドーベルマン」がよだれを垂らしながら迫ってきてもう逃れることはできないと屈服させられるのです。しかしこの屈服とは嫌々ではありません。
あっという間に餌食になり、しかし餌食になるのを喜ぶ水上という図式が成り立っています。これが良いのです!


さて、ここからが一番書きたいことです。
水上は喜ぶと言っても、M気質を持って喜ぶわけではありません。唇まで、乳 首まで、性 器 まで、どこかを強烈に吸われ奪われ、求められるまで、水上に性 欲は感じられません。
相手を誘うフェ□モンも、甘美な抵抗も一級で、目の前の男に抱かれればよ が り 狂うのはわかっているのに、毎回寸前までは理性を保っているのです。スイッチを切り替えさせる一瞬の興奮に毎回やられてしまいます。

水上から誘うこともあり、頭の中で疼くカラダと切ないココロの両方を所有しながら結局はカラダに正直になりオちてしまうところも、魅惑的です。
そこに立っているだけで、草食系男性と、裸に 剥いてめちゃくちゃにして泣かせてしまいたい男性の両方を同時に思わせられるお芝居をできる声優さんはそうはいないのではないでしょうか。
弱っているシーンも、泣くシーンも神がかっています!!!(神がかるなんて安易に使っていいのかわかりませんが、私は紛れもなく言葉通りに受け取っているので使わせてください。)
先ほど書いた終盤の出会いのシーンを振り返って、の直前のやり取りがこちらなのですが・・・


挑発的にも思える言い方で水上に出会った日の心情を話す大貫
目に涙をいっぱい溜めて否定する水上
~略 しかも、あんたは?、俺の体見て、物欲しげな目で見てるし」
「っ!……物欲しげな目なんてっ……してないよっ!」
「してた」
「してない!」
「してたー」
「っしてないよっ…」
「してたって」
「そんな、誘ったかもしれないけど……本当にそんなつもりは……」


このやり取りの幼さや線の細さには胸がじりじりと焦がれますし、オーラスの「どうなるか、知りたくない?」という言葉は・・・聴いた方のみの特権ですが、ぜひぜひお聴きいただきたい!!!卒倒します!(←断言!?)
“坪井さんが”演じた水上という男性は、男性に抱 かれて欲しい男性なんですよね。私も水上にはとても惹かれるのですが、女性相手ではダメなんです。男性、もちろん大貫でないとダメなんです!
いつもメイン作品が来ないかと期待しているのですが、全然来ませんね。ただ、水上とは全く違うタイプのキャラクターを演じる機会の多い方なので、新作を聴いたところで本当に私は満足できるのかと一時悩んでいたこともありました。しかし、やっぱりどんなキャラクターでも良いので坪井さんの主演(できれば受け)作品が聴きたいです。難しいかもしれませんが、BL裏話では需要が無いからとおっしゃっていたのでもしかしたらオファーがかからないだけかもしれませんし、これからはこれまで以上にアンケートにガンガンお名前書くことにします。



絡みシーンは4回ほどありますが、どれも大人の色気に溢れています。
坪井さんは甲高く過呼吸気味に 喘 いでいらっしゃるのですが、これも計算のよう。(アメリカンポ○ノを目指したそうですよ。三宅さんは日活ロマンポ○ノを目指したそうですw)
イ キ 方が激しいので好みは分かれるかもしれませんが、普段の水上の落ち着いた声とのギャップがたまりません!セ ッ ク ス 中に何度も大貫を煽り、大貫もまた水上を辱める。獣の交わりのエ□スが肉と肉の接触する音までリアルに引き出しそうなほど濃厚に描かれています。しかしながら、綺麗です!
欲を言えば、初めて交わるシーンで、途中からエコーがかかっていましたが無い方が寧ろ婀娜っぽかったのではないかと(^^;。



少し前の作品は脇役も豪華ですよね。これまで散々聴いてきたのにキャスト陣に今になって突然驚きました。
良い声の声優さんしか出ていなくて、アダルトな雰囲気を更に濃くしています。
子安さんのズルい男の人はいいですよね。
「ごめん。弱ってるところに漬け込んで」
不意打ちでキスされた後のこの一言は・・・流されないようにするのが大変かもしれません。
一条さんはワンシーンだけの登場なのでもったいない起用の仕方としか言いようがありませんが・・・脇が豪華なので作品はより立体的に映っているのだと思います。
某悪役キャラを加藤将之さんが演じていらっしゃるのですが、こう言っては今出てくださっている脇役の方に申し訳ありませんが、最近のBLCDとは演技の質が違います!!!
こちらがコ□されることを覚悟しなければならないというオーラが出ているのです。目は据わって口で何を言っても完全に無駄だから次はどうしよう・・・と考えさせられます。彼がどうしてそんな行動を取ったのか、契機となった事件は水上の口から概要を語られるだけですが、その時からどう彼の人生が転落していったのか、何を思って生きてきたのかが手に取るようにわかるのです。



ご存知の方がいらっしゃるかわかりませんが、いつか感想を書く気になったと書いていたのはこの作品です。
半年に1回は必ず聴きたくなって聴いているのですが、感想を書く気になった時はなぜか暇さえあれば毎日のように通して聴いていました。
何度聴いても掴めない。何度聴いても作品を楽しみ尽くしたと思えない。私はまだまだこの作品を知りたくて、展開を知っていても飽くことなく必ず同じシーンでドキドキしてしまいます。
私の場合大好きな作品ほど感想を書くのは難しいです。全部は伝えられないですし、言葉は書きたいことと捉えられ方が違ってしまう可能性を持っていますし、適切な言葉を探すのにも労力を費やしますし。
好きすぎるものは無理に形にしないまま胸の内に収めていれば・・・とどこかで思っています。
しかし、なぜかどうしても書きたくなったので、素直に書いてみました。
読んでくださる方にどう伝わるのかはわかりませんが、一か所でも筆者はここに惹かれているのかな?と思われる部分を感じ取っていただければ、書かせていただいた冥利に尽きます。
今後もCDが擦り切れるほど聴いていきたい作品です。