史上初の10連休というGWも終わり、今日からまた日常がスタートしましたが、皆様如何お過ごしでしょうか。さて、今回は、NYで有名人のゴシップ記事等を担当するジャーナリストであるジャネット・ウォールズが自身の壮絶な子供時代を振り返った回想録『The Glass Castle (邦題:ガラスの城の子どもたち)』を紹介します。
The Glass Castle (邦題:ガラスの城の子どもたち)
The Glass Castle: A Memoir (オーディオブック)
内容は、1963年のアメリカ西部・アリゾナ州フェニックス。主人公で3歳のジャネット・ウォールズが一人でホット・ドッグを作ろうとして大火傷を負う所から回想録は幕を開けます。母が近所の人に連絡して病院に連れて行ってもらいジャネットは一命を取り留めますが、医者から助かったのが奇跡だと言われる程の傷を負ってしまいます。そして僅か3歳の子供が何故親の付き添いもなく一人で料理をしているのか不思議に思った医者から質問された時、幼いジャネットは事も無げにこう答えるのですー「私は3歳だから、もう十分ホット・ドッグ位は作れる歳だとママは言ってる。」と。ウォールズ家は空軍で訓練を受けた後エンジニアになり、南部の貧しい炭坑町の出身ながら天文学と物理学の知識が抜群にも関わらず仕事が長続きせず、ギャンブル依存症とアルコール中毒で、子供は早いうちから自立させるものという信念を持ち、社会保障や現代医学、消費社会や法の順守さえも否定し続けるアウトローな父・レックス、アリゾナの大農場で裕福に育ち、絵や詩等芸術的な才能に秀でていて、教員資格を持っているのに働く事を頑なに拒否し続ける母・ローズ・マリー、聡明な姉のローリー、勇敢な弟のブライアン、後に生まれる妹のモリーンの5人家族なのですが、両親の極端に歪んだ考え方のせいで、一か所に定住せず、家はトイレもない位ボロボロ、子供達は幼い頃から全く面倒を見てもらえず家事は全て自分たちでこなし、病院にもかからせてもらえない酷い生活を強いられていました。そんな生活なのに、父はいつか大金持ちになってガラスの城を建てるのだと語るのでした。西部の幾つかの州を転々とした後、父の故郷・ウェスト・ヴァージニア州のウェルチという貧しい炭坑町に落ち着きますが、学校でも虐められ、両親は相変わらず。そんな状況から抜け出さなければと、兄弟は一致団結して自立する計画を立て、10代にしてアルバイトを掛け持ちしながら資金を貯めていくのですが・・・。
という感じです。感想ですが、一言では言い表せないもののまず最初に感じるのが、よくもまぁ責任感が全く無く、子供が子供を生んでしまった様なろくでもない親がいるものだという怒りでした
。読んでいる途中で主人公(作者)の両親に対してあまりも腹が立ってしまい、読むのを辞めようかと思った程(苦笑)酷いです(余談になってしまいますが、以前書いた「荒野へ」の主人公・クリスの両親がかなりマシに思える位です。)。一体どう育てればこの様な人間が出来上がるのかと両親の回想録を読んでみたい位(笑)。そんな状況の中でも、へこたれるどころか、両親への不信感と怒りを覚えながらも自立に向かって行動していく子供達の逞しさに驚嘆させられます
。困難に直面した時に読むと勇気を貰えますね。広大なアメリカ西部を転々としていくので、自然の描写も魅力的です
。所謂ネグレクトの話なので、内容はかなり重いのですが(現に末娘のモリーンはそれが原因で精神を病んでしまいます
)、ユーモアを交えた明るいタッチで描かれているので、内容の割には深刻にならずに読めるのもこの本の優れた点です
。アメリカをはじめとする英語圏では高校で読む課題図書としても使われており、自立する事の大切さや、親になる前に子育てについて考えて欲しいという学校側の狙いがあるのかもしれません。舞台となっている国は違っても、高校~大学生の方には一度は手に取ってもらいたいと感じる一冊です。![]()
英語は、文法はペーパーバックを読み慣れていれば問題なく読める程度ですが、作者や兄弟姉妹、両親がかなりのインテリなので彼らが使う単語や言い回しにウィットがあったり、使う言葉そのものが難しかったりする点や、途中からアメリカの中でも方言の強い南部・ウェスト・ヴァージニア州の田舎の炭坑町に引っ越すので文法破りの表現が随所に出てくる点、英語学習者が絶対に習わない様な汚い言葉が頻繁に出てくるで言えば読みにくい部類に入ってしまうのかなとも思いますが、読み応えがあるので頑張って挑戦して欲しい本でもあります。邦訳もありますので、そちらと併せて読むと理解し易くなるかもしれません。
アカデミー賞を受賞した若手女優、ブリー・ラーソン主演で「ガラスの城の約束」というタイトルで映画化され、日本でも今年公開される予定らしいので、こちらもどの様な仕上がりになっているのが気になる所です。
『ガラスの城の約束』映画前売券(一般券)(ムビチケEメール送付タイプ)
関連本として、作者の母方の祖母であり「ガラス~」にも登場する「スミスお祖母ちゃん」ことリリー・スミスの人生を描いた、ジャネット作の「Half Broke Horses: A True-Life Novel 」という本があるのですが、こちらも併せて読むと母・ローズ・マリーが何故あんなに頑なな態度で育児を拒んだのかや、彼女の精神的不安定さの原因が少し分かるので、余裕のある方は挑戦してみると良いかもしれません。
Half Broke Horses: A True-Life Novel
Half Broke Horses: A True-Life Novel By Jeannette Walls( オーディオブック)