新聞投稿『記者たち』の声(2024年3月20日琉球新報声欄)

 大阪毎日放送の『記者たち』というドキュメンタリーを見た。琉球新報記者明真南斗さん、元毎日新聞記者の小山美砂さん、神奈川新聞記者石橋学さん、らの差別、人権侵害を取材するなかで、「中立という記者のあるべき立場」を問い直すようすを追っている。

 どんな仕事にもモチベーションがあるはず。それが形骸化して中立を掲げ、やっているふりの仕事になっていないか。彼らが記者として出会った課題は、米軍基地問題と沖縄差別、黒い雨被爆者補償の訴訟、民族ヘイトや障害者差別と重い。映像では記者たちがそれを自分の人生で引き受けていく姿をはっきりと記録していた。

 特に今年1月の辺野古埋め立て強行の紙面を編集する琉球新報編集局と東京支局の明記者との紙面製作の動きには、きちんと声を出そうという一体感を強く感じた。現実を受け止め、言うべきことを言う。新聞はAIを使うようになっても、声である。この声にこれからも耳を傾けたい。

 

*いじめの現場にいて中立はないはずです。全員がいじめをやめさせるよう声を出す以外にない。