凹型隣地天空率解析法 補足 | 比嘉ブログ

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建築企画CAD「TP-PLANNER」開発者の日常・・建築基準法,天空率、日影規制講座などチャンプルーなブログ

6月8日土曜日

九州南部が梅雨入り宣言!。

本日東京は夏日らしい・・梅雨はまだ先のようだ。

 

 さきほどまでドジャース山本VSヤンキース戦をTV観戦。

山本が実力どおりの投球で延長でドジャースの勝利。

大谷は惜しい打球があったがヒット無し。でもすばらしい投手戦でした。おそらく明日ホームランがでるかな・・とおもわせてくれた。明日も朝から応援で忙しい。

 今晩は男子バレーネーションズリーグスロベニア戦これも見逃せない。

 八重のドクダミ。毎年の楽しみ。

今週の講座から始めたい。

今週火曜日は

デベボリューム算出講座2回目の始まりは、傾斜地におけるTP-PLANNERでの入力法および計算法を解説。過去傾斜地事案を解析してきたが法的理論と操作および解析をマッチングしていただいた。

 

 そして天空率を徹底学習。

 屈曲、行止り道路道路から隣地天空率まで一気に解説。実践していただいた。次回は最終回でプラン時NGの際のクリア法を解説したい。頑張ろう!楽しみにしてますヨ。

 

 木曜日はデベ企画開発部の若手3人が来社。

  3回講習の初回は、用地入力から手計算逆日影等の日影基を予定通りクリア。

用途地域2の事案を入力後逆日影計算を行いさらに日影による精度チェックまでおこなう。次回は、用地情報の入力から復習後プラン入力を行いプランの中で日影、天空率を解析し天空率の講座につなげる予定です。再来週になるがそれまで復習をヨロシク!。頑張れ~

 

 天空率講座を開始したい。

 凹部の一隣地天空率に関してさらに補足したい。前回と合わせてご確認いただきたい。

 

 

 

 凹部を拡大すると

図1

 

 隣地境界点10,13から12の隣地境界線から外側に12.4mの距離を保持する為に円弧状に作図されています。

 算定基準線の延長は隣り合う道路境界線に垂直に交わる位置まで延長しています。

「平成14年建築基準法改正の解説」工学図書の図19で解説する「面する」部分を敷地端部から垂直方向までとする考え方に適合します。

  図1では、道路に面する事を判断する垂直方向を超えた基準線は隣地境界線に面する事になります。

 

 算定位置が隣地境界線、図1隣地境界点では10から13にいたる凹状隣地境界線の端部から12.4m外側になるとこのように設定されます。

 

 その事の正当性は前回解説しました法56条7項 (天空率)

法56条の2(日影規制)1項別表4のほぼ同様な書きぶりにあります。 

法56条7項 (天空率)

二 第1項第二号、第5項及び前項(同号の規定の適用の緩和に係る部分に限る。)
隣地境界線からの水平距離が、第1項第二号イ又はニに定める数値が1.25とされている建築物にあつては16m、第1項第二号イからニまでに定める数値が2.5とされている建築物にあつては12.4mだけ外側線上の政令で定める位置

 

で記述され、この法文が日影規制ラインの作図法

法56条の2(日影規制)1項別表4

・・・敷地境界線からの水平距離が5mを超える範囲において・・・

別表
敷地境界線からの
水平距離が10mを超える範囲における日影時間

 

 とありいずれも「水平距離・・超える」と同様に記述されている事から隣地天空率基準線が日影の規制ラインの作図法も同様に作図します。

 日影規制との異なりは隣地天空率基準線の延長が隣地境界線に面する位置までです。

 凹部の隣地境界線を有する用地の日影の規制ラインは下図のように作図されます。前回の事例の南側以外を凹部を含む隣地境界線の場合で検証します。

 

 図1の天空率基準線の作図法と同様にる事が確認されました。

 

  

境界点間で区域区分する「敷地区分方式」の算定基準線を確認すると

図2

Ⓑ の隣地境界線(隣地境界点間)に面するとする基準線P1~P3

Ⓒに面するとするP7~P9は、敷地内に算定位置が発生しています。前回も提示した 日影規制ライン同様の法文の解釈「敷地自身に向かう場合には、当然「測定線」は設定されない。」⇒(日影規制ラインは当該敷地内に作図されない)とも記述されています。

常識的に考えて他人の土地(隣地)の環境を当該敷地内で検証する設定法 図2は、不合理です。 

 

その事から凹状隣地境界線に敷地区分方式を適用するには問題があります。

 

敷地区分方式で法的齟齬が無いのが4角形の敷地。

 JCBAでは、敷地区分方式あるいは一隣地方式いずれの方式でも問題ないとします。

この事はJCBAホームページに添付されているPDFで確認して下さい。

天空率の運用の検討について 2010.4.20更新

 

から

3.一の隣地境界線の取扱い

(1)取扱い

・隣地境界線が複雑な形状であり、隣地境界線ごとに敷地を区分して天空率を適用することが困難な場合は、隣地境界線を「連続した一の隣地境界線」とし、敷地を区分せずに天空率を適用することができる。この場合、算定位置も「連続した一の隣地境界線」とした部分に均等配置する。

・また、複雑な形状の隣地境界線の任意の部分を内接した線分で近似し、「連続した一の隣地境界線」として敷地を区分せずに天空率を適用することも可能とする。この場合、近似元の隣地境界線を「連続した一の隣地境界線」とし、算定位置を均等配置する。

・なお、隣地境界線を「連続した一の隣地境界線」とし、敷地を区分しないとする取扱いの適用については、特定行政庁の判断に委ねられることから、「敷地区分方式」など、他の運用方法の適用を妨げるものではない。

 

 敷地区分方式、一隣地いずれの手法でも問題ないとします。

  ところで、今回解説した隣地天空率算定位置の基準線の設定が日影規制ラインと同様に解釈される事も天空率の運用の検討について 2010.4.20更新で記述されています。

 

 さらに比嘉ブログでは、何度から記述してきた事ですが

一隣地方式が最も安全側であるという記述まで記載されています。

(3)取扱いに至る考え方

 ・多角形による隣地境界線については、多角形の辺ごとに区分して隣地境界線を捉えるのか、多 角形の全ての辺をまとめて1つの隣地境界線として捉えるのか、法的に明確な規定がない。 

・その要因としては、法 56 条第1項では、隣地境界線の形状なりに連続して斜線を想定すれば よいため、一の隣地境界線の捉え方を敢えて明確にする必要性がないことが考えられる。

 ・質疑応答集 P5056(参考1)では、隣地境界線が不整形な場

合の隣地斜線制限の適用を示して いるが、図のような曲線状の隣地境界線は、「1つの連続した隣地境界線」として捉えること が妥当であると考えられる

 ・一方、多角形による隣地境界線は、辺の数が限りなく多くなると、曲線状の隣地境界線に限り なく近くなることから、曲線状の隣地境界線と多角形による隣地境界線とで考え方を別にする 必要性もなくなると考えられる。

 したがって、多角形による隣地境界線についても、曲線状の 境界線と同様に、1つの連続した隣地境界線として捉えることも不合理ではないと考えられる。 

 

・また、「平成 14 年建築基準法改正の解説」P79(参考2)では、「隣地境界線が2以上ある場合」 が示されているが、多角形による隣地境界線を1つの連続した隣地境界線として捉えた場合に おいても、図 21 のとおり、複数の道路境界線によって、敷地境界線が連続しない2つの隣地 境界線に分かれた場合に限り、「隣地境界線が2つある」として捉えることも可能である。

 ・隣地境界線を内接した線分で近似する場合、連続する隣地境界線全体ではなく、部分的にまと めて「1つの連続した隣地境界線」と捉える。考え方は、多角形の全ての辺をまとめる場合と 同様である。

 

 これらのJCBAによる法解釈により屈曲した隣地天空率の解析は合理的に解析する事が可能です。

 

 最後に凹部以外の隣地境界線の区分法を一隣地、敷地区分方式の順に例示します。

 まずは一隣地では

凹部以外の連続した隣地境界線が一、合計2の区域。このように従来隣地斜線チェックで行われた適合建築物と日影規制線と同様な算定基準線となります。

*適合建築物の空が最も広くなる右下隅部の算定位置が近接点になる結果も合理的で納得です。

 凹部の一隣地と合わせて2の区域で比較されます。

 

敷地区分

南側の隣地境界線

東側隣地のわずかな部分を除きほぼ敷地全体で区分される。

東側隣地境界線では

凸状の北東側道路に面した部分はこの出隅の隣地境界線に垂直区分されます。

  この事は敷地内の空地が正しく評価されてないとし垂直区分しない方式を採用する特別行政庁もあります。

 

本事例の場合、敷地区分方式は、凹部と合計5区域に区分されます。

 

 いずれを採用しても良いとするのがJCBA方式です。

 

 以上2週にわたり解説した今回の隣地天空率解説は終わりにします。屈曲した隣地天空率の解析法はこれまでも解説してきましたが最新情報を加味しブラッシュアップした内容で次の機会にお伝えする予定です。

 

次回までお元気で!

 

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