審査機関から指摘された日影規制NGを検証する | 比嘉ブログ

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3月12日土曜日

 東京は20度まで気温が上がる予定。桜まであと2週間。

今週を振り返ってみたい。

まずはパラリンピック村岡桃佳 選手の活躍に拍手をおくりたい。

途中離脱が続く難コースを1枚の板で高速で滑りきる技術体力に感動させられ続けている。今日が最後の競技だ頑張れ!

梅で勘弁。

 

3月11日

東北大震災から11年が経過。警視庁の発表によると

死者は1万5900人。 行方不明者は、DNA型鑑定などで身元が特定されて3人少なくなり、2523人となった。

津波の恐ろしさを目の当たりにしたあの一日を思い出した。

合掌。

 

3月10日

1945年3月10日の下町への大空襲東京大空襲・戦災資料センター

によると

「東京の区部が被害を受けた空襲は60回を越えます。確認された死者の遺体数は約10万5400人になります。負傷者は約15万人で、罹災者は約300万人、罹災住宅戸数は約70万戸です。」

とある。

沖縄戦、広島、長崎の被害とともにこの尋常ではない事実を再確認した。

 

 ロシアとウクライナの外相会談が期待はずれに終わった。

ロシアの外相の会見

「他国を攻撃するつもりはない。ウクライナも攻撃していない」「ロシア経済は自分たちで面倒を見る」

ソ連崩壊から30年・・・クレムリンは変わっていない。

 

 

 比嘉ブログ講座を開始したい。

 今回もサポートセンターに寄せられた質問から

久々に日影規制を検証したい。

 いつものように事例は比嘉オリジナルゆえご心配なきよう。

計画地は東京北緯36度で日影規制時間が5/3で受影面は4mの事例。

 

 この事例で日影規制資料を作成した。

等時間日影図は

赤枠で囲われた3時間と5時間の規制に対してぎりぎりクリアしている。

ところが時刻日影図を確認した審査サイドがおや?

時刻日影図で確認するとNGと思われるが・・?

*申請図時刻日影図は30分間隔で提出が原則。今回は検証を容易にする為60分間隔で提示している。

・・と赤枠で囲われた箇所を指摘してきた。

時刻日影図と等時間日影図を重ねて作図すると

 時刻日影の時間の重なりと等時間線が一致してないではないか?

とのご指摘。

 時刻日影図を拡大し日影時間をカウントしてみたい

 時刻日影から日影時間をカウントする方法としてアナログ的には

8時と16時の枠内で影の時間をカウントするが本例は8時枠を検証。

 8時枠内で日影の重なりが1の場合は1時間とカウントする。

したがって8時枠内では9時が1時間10時が2時間、11が3時間、13時が5時間となる。

 

 そのカウント法によると規制時間の重なりが規制ラインを超えている場合その部分をNGとする。

 この事例では西側の階段室の部分が規制ラインを超えている為NGではないか?

 同様に5時間も入隅部で5mラインを超えているではないか?との指摘で等時間線と一致しないのはなぜでしょうか? ・・とサポートセンターへの相談内容。

 

 結論から・・・

この結果で問題有りません。北側に面した建築物の部分が凸凹状に段差がある場合、時刻日影図の重なりでは等時間線を判断できない箇所が発生します。

今回はこの様な事例の検証法を解説したい。

 

1)北側凸凹部を階段室の前面まで拡幅し凸凹部をなくした場合の時刻日影と等時間日影 

①時刻日影図でNGを確認

時刻日影図で重なりを確認すると3時間、5時間いずれもNGだ。

等時間線で確認すると

②等時間日影図で確認

 この場合時刻日影の重なり同様に3時間、5時間さらに10mライン入隅部の3時間もNGのようだ。

 

③時刻日影図と等時間日影図を重ねて確認

 

 10mライン入隅部のNGは9時の枠内にある3時間⇒12時と9時の交点が規制ラインを超えている事がわかる。

 時刻日影図の時間線の重なりが等時間線と一致するケースはこのように北側に面する建築部の日影が凸凹でない場合。

 

2)時刻日影図と等時間日影図が一致しない場合の検証法

 

①指定点日影で疑わしき規制ラインを微小な範囲で日影時間をカウントする。事例は当初の北側に面する時刻日影図が凸凹になる事例

拡大し確認すると

 NGでは?と指摘されたエリアを50cm間隔で日影時間を確認すると

北西が最も厳しくP6において2時間59分でクリアとなった。

 これが1分間隔での解析。誤差が2時間58分30秒から2時間59分30秒の誤差範囲で算出される。

 さらに1秒間隔で解析すると

 2時間58分58秒が算出された。誤差範囲が2時間58分57.5秒から

2時間58分58.5秒の間の精度で解析される。1分強のクリアランスがある事が確認された。

 

 ではなぜ時刻日影図の合わさりと等時間線が一致しなかったのだろうか?

この事は、半天空図で確認する事で明確になる。

 

②「図法」「天空図」から「半天空図」で確認する。

もっとも厳しいP6の位置から建物越しに太陽を眺めると

半天空図と共に日影時間のグラフが表示される。

 

 トータルの日影時間2時間58分58秒の内訳は8時から10時37分2秒まで太陽と建物が重なる為、2時間37分2秒日影時間となりその後日向の時間が10時39分28秒までの2分1秒続く。

 さらにその後11時0分59秒まで建物と太陽の軌跡が重なり21分31秒影になる。

 8時から11時0分59秒までの影の時間は3時間59秒日向分2分1秒差し引くと2時間58分58秒が影の時間。

 時刻の合わさりでは日向の分2分1秒が確認できない事がその原因である事がわかる。申請時に時刻日影図に加えて等時間日影図を添付する事の理由の一つ。

 このようにクリアランスが微小な場合、指定点日影に加えて半天空図を提示する事を推奨したい。

 現況の日影規制時間の内訳を確認する際にも有効だ。

 

 5時間規制の入隅部は、等時間線が規制ラインに近接しているにもかかわらず日影時間が4時間47分14秒と12分以上余裕がある。

半天空図で確認してみたい。

 

 やはり階段室の脇で日向になる時間帯が12時25分46秒から12時41分36秒の15分50秒となる。この日向の時間が時刻日影と等時間日影が一致しない時間となる。

本日も長くなった。次回までお元気で!

 

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