天空率確認申請図作成4 位置確認表その2 | 比嘉ブログ

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建築企画CAD「TP-PLANNER」開発者の日常・・建築基準法,天空率、日影規制講座などチャンプルーなブログ

2020年1月4日

まだ正月気分冷めやらぬだが令和2年初の比嘉ブログスタート!

 このところ正月は、温泉でのんびりすごす事が多い。

今年は、箱根に出かけてきた。昨年の台風19号の影響で登山鉄道の運休は、今年の10月頃まで続くらしい。

 観光客激減かとおもったが、道路は、例年どおりの渋滞。

登山鉄道に変わるバスの振り替え輸送でバスターミナルは、人でいっぱい。箱根負けてない!

 

 3年ほど前にリニューアルした白壁が美しい小田原城。

そして、そのとなりの

二宮神社でのお参りで正月も終わり!

明後日からの仕事はじめに備える事としたい。

 

 天空率をより理解していただく為に始めた比嘉ブログも12年目となる。

平成15年の天空率の施行直後の混乱から現状までを検証する事と運用の現実を確認する事から始めたい。

 

 まずは、道路天空率から

施行直後、行政ごとに異なる運用方式が発表された。

ソフト開発側として対応しないわけにはいかない。各行政の担当者と面談しその方式に対応した。

 

  残念ながら、「敷地内の空地分高さ制限を超える事ができる」という天空率の基本的な考え方に合致しない方式がほとんどだ。

 

  天空率の基本的な考え方は、「改正基準法の解説」(新日本法規)

 に明確に記述されているので参照していただきたい。

 

 その結果、天空率審査の運用が極めて不合理にゆがめられ

 法文に適合しない中途半端なローカルルールの適用がしばらく続いた。

 これらの道路天空率における問題点は、「日本建築行政会議天空率分科会」により発表されたJCBA方式により改善されスムーズな審査が運用される事となった。

 

 屈曲道路および2以上の前面道路の取扱の令132条区分法も明確に記述されている。

現在では、JCBA方式を適用する事で道路天空率運用上の問題は、ほぼ解決されたと言える。

 

 隣地は、どうだろうか?

隣地の場合、JCBAが道路天空率の仕様策定に時間を要しているうちに隣地境界点間ごとに区分する「敷地区分方式」での運用が行われ

た。

 隣地高さ制限の場合、整形敷地での利用では敷地区分方式でも問題になる事はないが屈曲隣地境界線、あるいは隣地境界点間が狭い場合に著しく不合理になる。

 上記事例でも明確だが、敷地内空地に近接し最も通風採光が良好と思われる隣地算定位置でNGになる等々の不合理が頻発した。

 また凹側隣地境界線の場合、算定位置が自己敷地内に発生するという不合理も多い。

 法文では、「隣地境界線の外側に・・」という記述がありその事に適合しない算定位置も同様に不合理。

 

 敷地区分方式は、凹型隣地境界線には、上記の様に天空率の理念が無視され適法性を欠く事に注意したい。

 

 さらに「敷地区分方式」は、本来区分されるべき対象である勾配、地盤区分と関係ない境界点間が付加された事により敷地内でかけらのような区域が発生する。法的根拠に欠けるかけらの様な天空率比較を行うナンセンスな事態がおきる。

 現在隣地天空率において「一の隣地方式」を採用する審査機関が多くなった。

 

 結果的にJCBAでは、境界点間で区分する「敷地区分方式」と連続した隣地境界線をまとめて区分する「一の隣地方式」いずれを利用しても良い事となった。

 方式が明確に定まってない現状に鑑みて対処する場合、設計側としては、隣地天空率においては、敷地形状により設計有利となる方式を選択するのが賢明でその事が良しとされている。

 結論から、一般的に整形敷地は、敷地区分方式が設計有利になる事が多い。

 隣地境界点が多く狭い場合、あるいは凹型隣地境界線の場合、一隣地方式で行う事が適法性の観点からも望ましい。

 法的整合性を考慮すると全ての事案を一隣地方式が適する。

 

 これらを混在して利用する事は、できない。

また一隣地方式を理解しない審査機関も多い。利用の際には、一隣地利用の可否を事前に確認したい。その事により審査機関の隣地天空率に対する取り組み方が明確になる。残念ながら一隣地方式を理解しない審査機関もときおりみられる。

 

 いずれにしても法的根拠が明記されたJCBA方式を利用する事によりよりスムーズな対処が可能になる。

 比嘉ブログでは、天空率分科会に参加したメンバーの責務としてJCBA方式をより理解する為の解説を続けていきたい。

 

 今年初めのブログだが思わず力が入ってしまった。

 

天空率講座は、お休みにしたいところだがすでに書き終えている。

「天空率確認申請図作成」シリーズの4回目だ。

 

 天空率講座開始!

 昨年末より高低差を含む用地情報の入力から解析、申請図作成、検証法までの解説を行うシリーズを始めた。

用地情報は

 

 初回は本例のように敷地内、道路高低差がある用地条件の入力法を解説。

 2回めは、天空率確認申請図における天空率計算の三斜求積図による安全差分の考え方と積分法との関係を解説。

 3回の前回は、天空図を構成する適合建築物の端点を「位置確認表」の算定位置を基準とする(視点基準)の高さの設定法そして算定位置からの水平距離の設定法をおよび方位角の設定法を解説した。

 方位角が入力された事により道路高さ制限適合建築物の端点の位置(位置確認表の記号の位置)の方向が特定された。

 天空図を構成する端点を意味する記号の位置が真北基準方位で特定された。

 算定位置からそれぞれの方位の延長上に端点がプロットされている。その方位線の延長上のどの位置に端点がプロットされているかが解れば天空図が作図可能となる。

 位置確認表の仰角がその高さ方向(仰角)の位置を特定する。

 天空図上の仰角は、天空図に描かれた同心円で表現される。

円弧の最外部が0度で10度刻み作図され算定位置が真上(天頂)を意味し90度となる。

 

*建築物は、天頂の位置に重なる事は無い。道路向こうの建物が道路反対側の算定位置(視点)の真上に見えたらこれ以上の圧迫感は、ない。ただし道路反対側から算定位置側の道路上空を遮る斜めの建物を想定しない限りありえない。

 

 

 ところで、位置確認表に記入された記号1-4の視点基準高さ水平距離を立体的に表現すると

 この様に水平距離(底辺)、視点基準高さ(高さ)、さで表現される。

三角形の底辺と高さは、三角関数の仰角を表現するTan(タンジェント)を意味する。

 

 アークタンジェントで仰角が算出される事より記号1-4の仰角は

Tan-1(15,786.78÷28,297.90)

=29.156度

この値が天空図上にプロットされている。

天空図を拡大して確認すると

 

 

 確かに仰角20度と30度の間に有り30度に近い為、29.156度の位置に正しくプロットされているようだ。

これで確認済みとしたいところだが審査サイドとしては、メジャーで測定し確認したいようだ。

 その為に天空図の半径を100mmで作図する事にした

 魚眼レンズは、半球ゆえ半径100mmは、三角形の斜辺も100mmとなり、

記号1-4の位置は、算定位置からの斜辺100の三角形のCos成分となりrcosの欄に記入される。

    100Cos(29.156)=87.329mm

天頂側(算定位置)から87.329mmの位置が天空図上の記号1-4の位置となる。審査サイドはメジャー等でその距離を測定し確認する。

 

 これで天空図を構成する端点1-4の位置の作図証明が可能になった。審査サイドは、天空図の天頂から各記号までの距離をメージャー等で測定しその可否を判断する。

 

再度天空図と位置確認表で確認すると

 記号9-2は、4-1と反対側の記号だが道路面がBMとほぼ同じ位置で高さ制限の起点となる為、1-4より高い位置にある。

 その為、仰角も38.08度と1-4より高い位置にプロットされる。

4-3と8-3は、いずれも地盤の位置ゆえ高さは算定位置の視点高さと同じ907.06の絶対高さの位置にある。

 ただし8-3側の方が算定位置に近い為に、4-3仰角1.845度の位置に対して2.627度と高い位置にプロットされている事がわかる。

 注意したいのは、本例の様に道路面が傾斜している場合、算定位置と道路高さ制限の起点が異なる。

 

 天空率審査時において道路高さ制限適合建築物が高さ制限に適合しているか否かが審査のポイントとなる。

 それを証明する為、位置確認表の建築物の高さ欄の近傍に根拠をしめす後退距離およ高さの起点を示す

 

 (後退距離2450×2+道路幅員8000)×1.25=16125

道路中心高が1m以下の場合(h-1)/2の緩和

 

 などの計算式等を書き込み検算してる事をアピールすると審査がスムーズに進行するようだ。

 その高さが説明上納得の値となる場合、他の項目は、自動計算で算出される為にまず問題になる事はない。

 

 続いて計画建築物の位置確認表を確認したい。

まずは、天空図とアイソメ図、平面配置図で天空図を構成する端点の記号位置を確認すると

 

天空図を構成する端点は、バルコニーの両端と隣地境界沿いの塀の4点を位置確認表で証明すればよい事になる。

 

 天空図と位置確認表を確認してみよう

ここでのポイントは、やはり建築物の高さが配置図と一致しているか否かだ。

 正面図を確認すると

 適合建築物同様に右側に地盤面(GL)からの高さ。

この場合記号、2-4、2-5いずれもバルコニーゆえ同一の高さとなる。

近接点の算定位置(視点)は、適合と同じ位置で-907.06これを合計すると左側18,20106が記載されている。

 

 設計GLからの高さは、地盤面の高さ17,294に設計GLから地盤面までの高さ406 合計すると 17700となる。

 TP-PLANNERでは、高さの表示基準は、入力後、表示基準を指定して確認する事が可能になる。

 申請図の項を選択し申請図の作成等を確認直後の表記は、自動で

地盤面(平均GL))基準で表記される。

 

 計画建築物の位置確認表のチェックは、配置図で設定された高さを確認するだけだ。

 

 位置確認表の設定法および確認法は、以上で終了となる。

2回目からの解説をまとめると

 天空図が正しく作成されたか否かを「位置確認表」で確認する事。

 正しく作図された天空図の天空率計算を安全差分を含む三斜求積で面積計算し算出する事。

 

この天空率確認申請図を作成する際の必須項目となる。

 

 その他、2面以上の立面図、3D表示なども要求されるが三斜求積、および位置確認表の数値を裏付ける為に必要になるだけだ。

 

 さて令和2年初の比嘉ブログはこの辺りで終わりにしよう。次回は、申請図のまとめ方をお伝えしたい。もちろんTP-PLANNERによるまとめ方ゆえユーザーの皆さま必見です。

 

今年もともに頑張りましょう!

 

 

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