1の道路か否かで大きく異なる天空率結果 ① | 比嘉ブログ

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建築企画CAD「TP-PLANNER」開発者の日常・・建築基準法,天空率、日影規制講座などチャンプルーなブログ

 1月12日東京は、凍りついてしまいそうな寒い土曜日。

とうとう初雪が落ちてきた。

 いまさらだが、我が家のMの廊下越しの今年の初日の出。

遠くのスカイツリーがくっきり。

 日の出はさらに右側だが・・・・他のマンションが邪魔して撮れず。

今週月曜日からの仕事はじめは・・恒例により商売繁盛でご利益があると云われる穴八幡神社。

商売繁盛を祈願する大勢のビジネスマンに交じり

世界平和と比嘉ブログ読者の皆様の繁栄を祈願した。・・・?

ポケットからつまんだお賽銭では足らないかもしれない?!・・・。

 そして会社に戻り仕事開始!

今年も始まった頑張ろう!

 

 早速だが天空率講座を開始したい。

今回は、変形道路の天空率解析。

事案は

図1

途中から幅員が2倍に拡幅された変形道路。

用途地域は商業地域で12m、6m道路それぞれの道路反対側から道路高さ制限を確認すると

図2

それぞれの高さ制限を超えNG。

そこで天空率計算となるのがだ、その際まず確認しないければならないのが6mから12mに広がる前面道路を1の道路として扱うのか2の道路とするのか行政サイドと協議し方針を確定する必要がある。

 

 道路高さ制限は基準法56条に記述されており基本的な考え方として

1項一号に

第五十六条 建築物の各部分の高さは、次に掲げるもの以下としなければならない。
一 別表第三い欄及びろ欄に掲げる地域、地区又は区域及び容積率の限度の区分に応じ、前面道路の反対側の境界線からの水平距離が同表は欄に掲げる距離以下の範囲内においては、当該部分から前面道路の反対側の境界線までの水平距離に、同表に欄に掲げる数値を乗じて得たもの
 

 基本原則として道路の反対側の境界線から適用距離まで別表第三にあげる数値(勾配)を乗じたものとあり変形道路の場合でもその様に高さ制限を適用すればよいのだが

 

6項において

6 建築物の敷地が二以上の道路に接し、又は公園、広場、川若しくは海その他これらに類するものに接する場合、建築物の敷地とこれに接する道路若しくは隣地との高低の差が著しい場合その他特別の事情がある場合における前各項の規定の適用の緩和に関する措置は、政令で定める。

 

 2以上の道路に接する場合は施行令132条で道路高さ制限を適用する道路幅員を確定する。道路幅員が途中から拡幅されている場合もその拡幅度が著しいと判断された場合、2の道路と判断される事もある。

 

 

令132条の目的は

「令132条区域と適用距離の関係:間違った指摘への解答法 1」

図3

 

 

の回を確認していただきたい。

図4

 

 

この変形道路を一の道路とするのか二の道路として令132条を適用するか否かによて天空率解析結果が大きく異なる。

 

 JCBAでは、「適用事例集」P240において「一の道路の取扱い」を記述しており基本の考え方として

図5

 

屈曲道路の場合隣り合う道路中心線の敷地側からの内角が120度以上の場合連続した「一の道路」を意図する。

 

内角120度以上を一の道路とする法的根拠は

(道に関する基準)
第百四十四条の四 法第四十二条第一項第五号の規定により政令で定める基準は、次の各号に掲げるものとする。

二 道が同一平面で交差し、若しくは接続し、又は屈曲する箇所(交差、接続又は屈曲により生ずる内角が百二十度以上の場合を除く。)は、角地の隅ぐう角をはさむ辺の長さ二メートルの二等辺三角形の部分を道に含むすみ切りを設けたものであること。ただし、特定行政庁が周囲の状況によりやむを得ないと認め、又はその必要がないと認めた場合においては、この限りでない。
 内角が120度以内の場合、隅切りを設置する事より道路が2に区分される。120度をこえた場合、隅切りが不要で連続した道路「一の道路」とする。

 

 道路中心線120度の判断以外に幅員差が著しいと判断された場合は2の道路とする考え方もある。

 

 P242では「クランク状の場合」と題して

図6

 

一の道路とするのが図2-7-36、二の道路とするのが図2-7-38で解説されている。

さらに

P243では「幅員が一定でない道路の場合」と題して

図7

図2-7-44では二の道路として扱う場合

さらに図2-7-42では一の道路として扱う場合

図8

が記述されている。

幅員差により一の道路とするか否かは、一般的に行政単位で異なる事が多い。

まずその事を確認する事が必須となる。

 

 では例題における比較を行ってみる。

まずは「一の道路」として判断されたケースからはじめよう。

 

 TP-PLANNERユーザーの為に簡単な操作ガイドとともに解説したい。

敷地、用途地域、建物等の基本入力の後「新天空率算定領域」の項に移動し

図9

 

「道路・一の隣地」を選択する。

*選択は、隣地が敷地区分、一隣地等と異なる解析法がある為に選択項が3項あるが隣地をおこなわない限りいずれを選択しても良い。

図10

基礎情報の項で「発生」ボタンをクリックする事により基本条件で入力された道路幅員、用途地域等から道路形状および条件が自動発生する。

 

 今回道路反対側が変形している為に「前面道路編集」の項の「道路反対側境界線」を選択後、自動発生した反対側の端部をドラッグし作図された道路反対側まで移動する。(この位置が適合建築物を発生する基準線となる。)

 

 さらに算定位置の基準線を設置する位置は「現況反対側境界線(*)」を選択する。

 ただし道路反対側と同様ゆえ「連続線複製」ボタンをクリックし算定基準線を確定する。

入力事項は以上。

図11

 

 高さ制限種類を「道路」を選択後「発生」ボタンをクリックし一の道路の適合建築物が自動作成される。

 

「出力」で算定基準線がさらに自動配置される。

図12

 

 解析を行うと

図13

6m道路に面した算定位置でNGとなる。

適合建築物物の法的根拠を確認すると

図14

 後退距離1.18mが反対側の変形した道路境界線から1.18m後退した位置を起点に適用距離20mが適用される。屈曲した位置では屈曲した反対側の境界点を起点に適用距離を円弧状に設定する。

 

 つまり反対側の屈曲点から適用距離20m-後退距離1.18m=18.82mを半径とする円弧で適用する。

 

 高さ制限の起点は原則通り道路の反対側の道路境界線を起点とする。この事は通達集でも

図15

提示されている。

(*この場合は2の道路とする場合の令132条区分法の解説だが最大幅員側の起点は同様に行う。)

 

 さて結果がNGとなるのは

図16

 6m道路前面の計画建築物が大きく高さ制限を超えている事が原因だと思われる。左側の空地が有効に機能しそうだが

天空率NG差分が著しいポイントから天空図重ね図で確認すると

図17

 

高さ制限を超えた赤部分の面積が108.5に対して緑の空地が82.79と小さい。その為NGとなっている。

 6m道路の反対側から敷地左側の見通しが悪く緑の空地部は大きく投影されない事がわかる。

 

 次に幅員差が著しいと判断され2の道路とされた場合の操作と解析を解説したい。

 ・・・と思ったが前半の解説が長すぎた今日はここらでよかろうかい(西郷ドン語りは今年も続く)

でも気になるだろうから結果だけをお伝えしておこう

図18

余裕でクリアーする事になる。

この法的根拠も時間をかけて解説したいので次回にしたい。

では次回までお元気で!

 

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