4月1日
氷雨の東京。
本日も雨の中、比嘉標準木の観測にでかけた。
今週水曜日の18度が効いた様で5分咲を確認。
本日お昼から上野公園でお花見の予定・・・は急遽エアー花見に変更との連絡が昨夕のうちにあり。なんでも注文した料理をいただかないわけにはいかず上野のある仲間の社内で決行する事になった。・・・・花より団子。
ひと月前に連絡を頂いた時は、桜は満開の予定で気温も15度を超える絶好のお花見日和の予報。ところが2週間程前からあやしくなってきて、先週末にはお花見の土曜日だけ気温が極端に低くなり所によっては雪も・・。本日予報的中。
久々に比嘉が雨男である事を思い出してしまった。
でも心配する事はない比嘉も昨晩のうちに桜を調達。
ご心配なく、けして桜の枝を折ってきたわけではない。100金ショップを3件ほどまわりやっと見つけた造花、これで4式400円也(税別)。これと発砲ワインでもぶら下げて向かう事としたい。
夜はラッパ仲間と飲みながらのラッパ合戦がありそこでも利用すれば2度おいしい。
そんな事で本日は朝から多忙につき早速始めたい。
講座の様子から火曜日と金曜日の2度行ったが火曜日のプランニング講習。
敷地入力から逆日影、プラン、面積表、日影:天空率チェックのTP-PLANNER企画BIMの流れを一気に解説。左端のPCで隠れている設計者は転籍のデリケートなタイミングの都合もあり本人希望でPCで絶妙にトリミングしておいた。今度TPユーザーになるらしい。ガンバレ!。
実はこの頃、先週末からの腹痛が回復せず食欲無し状態・・・はからずも減量に成功。翌日病院で胃炎と判断処方してもらったら見事に回復。本日のお花見に胃の方は間に合った。
なんでも花粉症の薬をちゃんと食後に飲まなかったのが原因で胃を痛めたらしい。
おやお花見に出かける時間だ。本日の講座のネタは書き込みずみ早速始める事としたい。
天空率講座開始!
前回は天空率申請時における位置確認表と天空図の関係を解説した。
これは道路高さ制限適合建築物の近接点P8の天空図だがその天空図が正しく作図されたか否かのチェックは
天空図を構成する頂点を天空率差分が近接する点P8を起点とした「建築物の高さ」「測定点(頂点)までの距離(水平距離)」が仰角を意図する三角関数Tanの高さ、底辺を意味する事より算定位置P8から頂点上を見上げた仰角が
ArcTan(14.799.45m÷20.84524m)=35.373度になる事、
そして天空図の半径を10cmで作図する事により天頂(天空図の中心点:算定位置)からその頂点までの距離をコサイン成分に置き換える事が可能になる。審査サイドはその距離を計測する事により仰角を確認し、建築物の高さが正しく設定されている事を検算する事が可能になる。
前回はここまでのことを検証解説した。天空図の作図が正しい事が「近接点の位置確認表」で確認されれば投影部の面積を算出し
(天空率)
第135条の5 この章において「天空率」とは、次の式によつて計算した数値をいう。
Rs=(As-Ab)/(As)
この式において、Rs、As及びAbは、それぞれ次の数値を表すものとする。
Rs 天空率
As 地上のある位置を中心としてその水平面上に想定する半球(以下この章にお
いて「想定半球」という。)の水平投影面積
Ab 建築物及びその敷地の地盤をAsの想定半球と同一の想定半球に投影した投
影面の水平投影面
令135条の5にある天空率を算出する。
審査の際、この天空率計算における面積計算において安全側つまり道路高さ制限適合建築物の数値を本来の値より大きめに評価するというルールがある。
この事が前々回算出した天空率解析直後の安全差分が0.05%(もしくは0.03%)必要である事がわかる。つまり安全側の解析をする事が求められるだけにコンピュータ処理による解析が0%に近い場合は申請時にはNGになってしまう。
今回はその事を解説したい。
まず申請時に算出する天空図の三斜求積図を表示すると
Rs=(As-Ab)/(As)×100%
天空率の算出式のAbは、建築物の投影面積。
ところが上図の三斜求積図では、方位角内の天頂側の面積を算出している。なぜ?
この事がポイントだ。まずは、道路高さ制限適合建築物の天空率計算の手順を三斜求積図から解説する。
1)円の面積を算出する。
円の面積は 円周率×半径×半径
円周率3.1415926半径が100mm から
3.1415926×100×100=31415.926
これが半径100mmの円の面積 31415.926
2)天頂と両端の方位角で構成される扇方の面積を算出する。
扇方の面積は
(円の面積)×(扇方の中心角度÷360)
E:扇形中心角(度) ,,, 139.563
扇形面積= 31415.926×(139.563÷360)= 12179.169
3)扇形の面積から天頂側の三斜求積による面積を差し引きし建築物の投影面積を算出
天頂側の面積は三斜求積の結果から 5669.963
扇形面積 12179.169
建築物の投影面積=12179.169-5669.963=6509.206
4)天空率は建築物の投影面積÷円の面積×100%
6509.206÷31415.926×100%= 79.281%
この様に算出した天空率を三斜天空率という。
この場合のポイントは3)の
「なぜ建築物の投影面積を算出を影部を直接三斜求積しないのか」だ。
あるいは
「なぜ扇形の面積から天頂側の三斜求積による面積を差し引きし算出するのか?」
実はこの三斜求積による天空率の算出法に安全側算出の意図がある。
この場合の安全側とは道路高さ制限適合建築物の天空率をより大きめに評価したい・・・事にある。
天空率を大きめに評価するという事は、本来の道路高さ制限適合建築物の影の面積をより小さめに評価する事にある。
⇒ではどの様に影の面積を小さく評価するのか?
三斜求積による扇形部の面積をより大きく評価し差し引きした建築物の影は小さくなる。
⇒その為にはどうするのか。
三斜求積を行う天頂部の三斜求積の斜辺を本来の距離より長めに設定し影の部分に食い込む様に作図する。(これは外接すると記述されるが食い込む様にが直接的でわかりよい)
影の部に食い込んだ状態で差し引きされる事から本来の影面積より小さめに評価される。その分天空率は増大する。
この事は三斜求積部を拡大しないとわからない。
赤円弧で示した部分に着目していただきたい。さらに拡大しカラーオフにすると明確になる。
これだけ拡大してやっと影部に食い込んでいる事がわかる。
当初審査サイドはこの事を目視し「外接(食い込んでいる場合)は道路高さ制限適合建築物の場合安全側と判断する」などとした。
がこれを肉眼で判断する事は困難である。
一方、計画建築物天空率算出時の安全側とはその値が本来の値より低くなる事だがその為には計画建築物の影部の面積を本来の値より大きめに評価する必要がある。
その為には
やはり三斜求積の作図法に手を加え三斜求積部が影部に至らないように隙間を空ける事が要求される。隙間分は差し引きされると影部の増大分になりその分計画建築物天空率は小さくなる。
これも拡大し確認すると
赤円弧部だがこれもさらに拡大しないとわからない
ここまで拡大してやっとわかる。この事を「内接」などと表現したが的確な表現だとは思えない。的確には「隙間をあける」だ。いずれにしても提出された三斜求積図から目視は不可能だ。
ソフト処理では、この食い込み度、あるいは隙間を限りなく薄くする事も可能だ。
*設計者としては当然その事を望むだろう。
結論としてJCBAの天空率分科会では目視は困難と判断した。ではどの様に安全側である事を判断するか。
JCBAでは安全側の判断をコンピュータ処理による積分法で算出された天空率の計算方式と比較する事とした。
コンピュータで処理した天空率の算出法としては一般的に積分法が利用される。
積分法で算出する方法は三斜求積で天頂側から10度以内の分割角度で解析する手法に対して1度もしくはそれ以下の角度で影部の位置をサーチし面積計算を行う。
こまかく分割し計算する事によりより高精度で解析される。
審査においては、この積分法などのコンピュータ処理による解析値と比較する事により前段で解説した安全処理で三斜求積されたか否かを確認する。
具体的に解説したい。まずコンピュータ処理による天空率の値を確認すると
解析直後の対数グラフ上
あるいは三斜求積図の上側
にあるが三斜求積図との比較表で確認すると
まず道路高さ制限適合建築物では
この表では三斜天空率の値が積分法天空率より大きい場合に安全側とする。
つまり本来の正解値(積分法)より大きいという事は
「道路高さ制限適合建築物の投影面積が小さく評価された事になりその為には三斜求積図の斜辺を長めに設定しなければそうならない。」
確認すると
三斜天空率≧ 積分法天空率 79.281%-79.271%=0.01%
0.01%三斜天空率が積分法より大きい為に安全処理がされた事を確認できた。
一方、計画建築物はその逆で三斜天空率の値が積分法より小さくならなければならない
確認しよう。
三斜天空率≦積分法天空率 79.302%-79.323%=-0.021%
三斜天空率が0.021%小さい事が確認された。(安全作図が確認された)
そして安全作図を確認した後に三斜求積図の天空図で計画建築物の天空率が大きくなければならない。
計画建築物三斜天空率 79.302%-高さ制限適合建築物天空率79.281%=0.021%
計画建築物が0.021% 天空率が大きい事が確認された。
おやまだ0.02%強余裕があるのでは?の疑問が残る。
法文を確認しよう。
(前面道路との関係についての建築物の各部分の高さの制限を適用しない建築物の基準等)
第一三五条の六 法第五十六条第七項の政令で定める基準で同項第一号に掲げる規定を適用しない建築物に係るものは、次のとおりとする。
一 当該建築物(*)の第百三十五条の九に定める位置を想定半球の中心として算定する天空率が、当該建築物と同一の敷地内において道路高さ制限に適合するものとして想定する建築物(*「道路高さ制限適合建築物」という。)の当該位置を想定半球の中心として算定する天空率以上であること。
道路天空率を規定する令135条の六では当該建築物天空率が高さ制限適合建築物の天空率以上であれば良いと記述される。おや?0%以上でいいじゃないかとなる。
実にそのとおりで法文に準じた方式では、0%で問題ない。ではなぜ0.02%程度の余裕があるのか!これは、天空率審査の変遷あるいは現実の対応を確認しない事には理解できない。
これは天空率審査が始まった当初、近接点の位置確認表もRCosθの表とよばれていた頃三斜求積による安全側審査が始まったのだがその際に行政によっては三斜求積の差分にさらに0.02%の安全差分を要求する事が有った。その事に起因する。
その事は適用事例集のP219 に記述された「安全率」の考え方の項で
赤枠でくくっておいたがその欄に「数値による安全率(0.02%)など」の記述があるがその0.02%が最終の余裕値、本例では0.021%がその分に相当する。
この追加の余裕値は適合建築物をより大きく、計画建築物を小さめに評価した安全処理が適用されている事が「設計審査双方が理解した上で、適宜判断する。」
不要だとせず適宜判断すると記述されただけにTP-PLANNERとしていきなり無視するわけにはいかない。初期値ではその分まで考慮されている。
以上の安全処理の考え方を
積分法による天空率計算においては適合建築物が差分が積分法より0.01%大きく評価され 必要になり計画建築物では0.01%以上低減される。
それに加えて小数点以下2桁以下の部分の切り上げ、切り捨ての安全処理分を0.01%考慮加算して考えると合計0.03%必要になる。
本来これで十分だが
さらに、設計審査双方が0.02%の追加の安全差分を必要とした場合は積分法天空率解析結果差分では、合計0.05%必要になる。
これが前回冒頭に記述した
「確かに対数グラフは限界値を示す算定基準線上に近接しているがその差分は0.053%と0.052%となっている。限界いっぱいの考えだとその差分は0%に近接するのが正しいのではと思われるかもしれない・・・・・・がこれは天空率の審査の方式が理解できれば極めて合理的な結果である事がわかる。」
の件になる。したがって追加の安全差分が不要な場合は、コンピュータ処理:積分法では0.03%で良い事になる。
追加の差分の必要の有無は事前に審査サイドと確認する必要がある。
尚、TP-PLANNERユーザーは初期値0.05%差分のしきい値の変更は
「入力」「天空率算定領域」のダイアログボックスで
「自動発生方式詳細」ボタンで変更設定する事は可能になる。ただし事前に審査サイドと事前に協議し変更する事。その場合0.03%以下の設定はしてはいけない。
TP-PLANNERでは、敷地情報、用途地域情報から天空率算定区域を自動発生しスピーディーに設計者に結果をお知らせする事で結果を対数グラフで表示するが差分が判定値を超えた時に青表示、超えない場合は赤で警告を表示する。審査の際NGになるという事だ。
今回も長くなった今回はここまでとしよう。
次回からはこの内容で申請図そのものを提出できるレベルで提示し必要書類の内容を確認していただく事としたい。
次回までお元気で!