年の初めに天空率を考える2 | 比嘉ブログ

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建築企画CAD「TP-PLANNER」開発者の日常・・建築基準法,天空率、日影規制講座などチャンプルーなブログ


1月12日
 正月明けの長い1週間を無事終了。昨晩は開発仲間のS社の皆さんと親睦会。
楽しい仲間との語らいに芋焼酎お湯割りがすすみ本日ちょいとけだるい感じ。
本日から3連休。久々我が家でゆっくりの土曜日。

 暮れのブログで宣言したが年末より走りにチャレンジしている。大阪福井CAの杉さんが走っていると聞いて負けてはならじと始めた。・・まだ1月も経たないが厚かましくも杉さんにはランニング仲間宣言もしてしまった。

 まだウォーキング程度だが・・・途中でやめる事の無い様ブログでたまに書いていく事とする。
金哲彦氏の「50才からのフルマラソン」講談社でランニングフォームを確認している。理論は完璧・・・?。

 「走りで大切な事は肩甲骨の動き」とある。肩甲骨を動かす事を意識したら骨盤が連動して走りがスムーズになる。事実その様だ。昨年骨盤周辺の筋肉がかたくなりぎっくり腰をしてしまった。どうやら通勤に背負うリュックで肩甲骨の動きを止めていたことが原因だった様だ。これが解った事が最近のちょっと嬉しい事。そこらでリュックを背負いながらやたら肩を回して歩いているのを見かけたらそれが比嘉だ。

本のタイトルの頭に「ウォーキングから始める」とある。その為まだウォーキング程度。えらそうな事を語ってはいけない。・・hi。
先は長い。当面無理せず続ける事としよう。 

年明は、「J-BIM連携フォーラム2013 in TOKYO」参加メンバーが全国からそろい、打合せそして親睦会。 フォーラムは150名の定員は超えたが会場を広く設定し200名様まで入場可能になるとの発表。気合いが入ってきたゾ。比嘉は冒頭の挨拶を大阪に引き続き語らねばならない。大阪は直前の指名だったが今度はちゃんと用意しておかなきゃ。

 お知らせです。J-BIM連携フォーラムのコーディネータTゼネコンU氏が「J-BIM連携フォーラム」のサイトを立ち上げた。BIMを学習するには最適なサイトだ。ぜひ確認してほしい。大阪のフォーラムの様子を動画でも確認できる。

 ついでに当社のフェイスブックサイトも立ち上がった天空率の情報、イベント、比嘉ブログ情報も含めて案内している。どちらも「いいね」をクリックして頂ければ幸いだ。

 さてそろそろ天空率講座といきたいところだが連休だし講座は明日朝から開始したい。日も暮れてきた。早めに走りに出発しなきゃ。・・本日寒い!・・ジムだな。

尚講座は前回に引き続き適用事例集の改訂版出版を控えた解説を行う。
今回は隣地天空率「一の隣地」

に加えて「近似方式」も採用される。


これらはJCBA HPに掲載されている「一の隣地」、近似方式の解説だが「一の隣地」では「最も安全側である。」近似方式では赤波線で示した「今後の課題である」とある。明日はその事を解説したい。

1月13日 日曜日
皆さんおはようございます。
天空率講座を開始しよう。
現行版の出版時に掲載されなかった項目で前回解説した屈曲道路の同一区間の設定法と同様に「一の隣地」の取り扱いが掲載される。

 その内容は、JCBA HP上に掲載し運用法を提示しており、屈曲道路同様に「一の隣地」に関しても審査の現場ではすでに利用が進んでいる。

 基準法との整合性を考えた場合、従来方式では対応できない物件が多い事がその最大の要因だが。その2項目が提示された事により殆どの事例で天空率の合理的な運用法が確立された。

 今回それらが適用事例として掲載される事はさらに審査の現場を効率的にするものと思われる。

 「一の隣地」は、比嘉ブログでもメインテーマとしてとりあげてきた。今回はそれらをまとめる形で再度書き込む事とする。

 現在JCBAのHPでは従来通りの道路以外の敷地境界点間を隣地境界線とする「敷地区分方式」と「一の隣地方式」がある。

「敷地区分方式」に関しては適用事例集では

 入り隅隣地においては入り隅角の2等分線を境界とし区域を区分する事。
後退距離はそれぞれの境界単位で設定する事。

 2項目が書かれている程度で出隅部の区分法は記載されてない。一般的には境界線幅に垂直方向に区分する事で運用される場合が多い。ただしその手法の問題点も指摘されており利用に関しては注意を要する。

 JCBA HPでも

やはり同様に入り隅の2等分による区分法が書かれているのみで出隅部は4角形でその部分を垂直区分するか否かの判断はない。

 敷地区分において端部を垂直切断した場合の不合理はJCBA HPでも解説されている。


 ここではA部分にある建物が最も近い算定位置で天空率に考慮されない。垂直区分は安全側だという考えか方に疑問を呈している。通常の斜線規制ではA側に周り込み高さ制限をチェックされるが垂直区分されるとその区分以外の計画建築物は天空率で考慮されない事になる。

 今回「近似方式」も追加採用される様だ。近似方式は近似した境界間の算定位置の設定法は「一の隣地」同様に近似前の隣地境界から16mもしくは12.4mの位置に設定する。ただし適合建築物は上段で述べた端部の区分方法は明確に記述されていない。
現在のHPの挿絵では

 となり「A部分を垂直切断する事なく近似したABの線分に垂直な方向に片流れであれば良い。」とする。
 これは「敷地区分方式」同様に垂直切断すると解析上の不合理が起こる場合があるからだ。

上図の様な3方向道路で東西道路は行き止まり道路、隣地境界は南側のみで円弧状の事例だ。「敷地区分方式」と同様に出隅部の端部から垂直に切断する方法で区分すると、高層部のZが全くチェックされなくなる。斜線規制では回り込んでZ部もチェックする事より端部からの切断は不合理である事がわかる。

 近似方式、敷地区分方式は簡便法にすぎず敷地形状によっては簡便に区分する方法そのものが明確でない事も多い。「一の隣地」が最も安全側である。との記述はそれらの事が考慮され適合建築物が高さ区域ともに法的に適合している。その事で安全側とする。

これらの事は比嘉ブログで再三書き続けてきたが実践で再度おさらいをしたい。

 事例はJCBA HPの案件を若干変更したこの事例で解説しよう。

住居系の事例だが「敷地区分方式」「一の隣地」「近似方式」の3通りの設定法を解説しそれらの特徴および問題点を検証したい。

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長くなった。サンデーモーニングが始まる。明朝にしよう。本日中日につき。外出。
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1月14日 講座を再開したい。

まずは「敷地区分方式」と「一の隣地方式」天空率計算を行い比較しよう
まず「敷地区分方式」では

 区域が隣地境界点間の8区域、それぞれで解析する事になる。この場合、後退距離はそれぞれの境界点間で確定し上図の様に設定される。

 区間毎に確認しよう。
①の区間では

 念の為、誤解の無いようにお断りするが、今回出隅部は垂直に区分した例で解説する。ただし大阪豊中市の様に敷地の全ての部分が適合する様敷地全体を対象とする行政もある事もお伝えする。その為JCBAではこれらの判断は各行政にゆだねる事が基本だ。

 今回は簡便法として垂直区分で解説する。

立体的に確認すると

適合建築物は算定位置側からの高さ制限にのみ適合すれば良いとする考え方だ。


この場合、それぞれの高さ制限に適合すれば良いと考えた場合問題はないとする。

北側の出隅部も同様に

入り隅部では

入り隅角を2等分しこの2区域に分けて比較する。入り隅部は角度の1/2、出隅部はこの場合、垂直切断している。

 西側上部はわずかだが凹んでおり入り隅となる

下側は


再度、全体でながめると

 敷地区分方式の場合は、境界点間がせまい場合で垂直切断では近傍に空地がある場合でも評価されずNGとなり天空率利用が困難になる場合が多い。なにより問題は境界点間の数の分申請資料を作成しなければならない為、煩雑になる。


 「一の隣地方式」では「敷地区分方式」の問題点を解消する為に定義された。
その事を検証してみたい。

「一の隣地方式」では後退距離が一である事より適合建築物は全ての 部分で高さ制限に適合する寄せ棟状に作成する。

比較してみよう

この事例の場合北西部がもっとも後退距離がせまい為右側「一の隣地」では適合建築物が低くなる。出隅部の隣地の20mのたち上がりを青表示したがその部分のみ同じ。

 算定位置の円弧部では寄せ棟に設定された適合建築物の空が広くなり天空率が増大しNGとなる。JCBA HPで記述されている「一の隣地はもっとも安全側である。」はこの事からも明白だ。

 結果においてもNGの円弧部の天空図は

NO11から眺めると計画建築物が接近しておりさらにその部分から左右には高さ制限を超える分に相当する空地がない。結果的に計画建築物を南側に移動する事で解決する。

 実に合理的な結果として表現される。結果は近隣も納得するとおもわれる。敷地区分の場合、建物規模を制限する事を意識するあまりわかりにくい結果になる事が多々ある。
同様に建物を移動し「敷地区分方式」で確認すると

NG部分が1残り解消されない。その部分を確認すると

 この場合、境界幅が狭い為、建物移動で発生する上下の空地が天空率比較の対象にならない為NGとなる。この様に「敷地区分方式」においてはその境界幅が狭い場合、天空率比較が困難になる。近傍の空地からの通風および採光が考慮されない事は感覚的にも納得しがたい。
 法56条7項では、政令により規定される内容で天空率比較された結果、従来の高さ制限と同程度以上の通風採光を得る事が可能であれば高さ制限は適用しないとある。

7 次の各号のいずれかに掲げる規定によりその高さが制限された場合にそれぞれ当該各号に定める位置において確保される採光、通風等と同程度以上の採光、通風等が当該位置において確保されるものとして政令で定める基準に適合する建築物については、それぞれ当該各号に掲げる規定は、適用しない。


当該各号に定める位置とは

2.第1項第2号、第5項及び前項(・・・) 隣地境界線からの水平距離が、第1項第2号イ又はニに定める数値が1.25とされている建築物にあつては16メートル、第1項第2号イからニまでに定める数値が2.5とされている建築物にあつては12.4メートルだけ外側の線上の政令で定める位置


 とりわけ隣地境界の場合、従来より隣地斜線により制限されたのは高さの制限であり、敷地幅は制限しない。「敷地区分方式」はあくまで簡便的な比較であり本例題の様に不合理な結果になる事がある。

さてこれらの方式に加えて「近似方式」もどうやら採用される様だ。近似方式の場合冒頭でも記載した様に

 「・・・今後の課題」である事よりこの部分の利用は慎重に取り扱ってきた。今回その利用が可能になる事に際してその事もお伝えしなければならない。ただし休日とはいえ長時間になってしまった今回は区分法のみを解説しさらに次回に続けたい。

 「近似方式」は「敷地区分方式」と「一の隣地方式」の考え方を合わせた仕様となっている。
屈曲した隣地境界線を敷地に内接する近似線で区分し算定位置は本来の敷地境界から「一の隣地方式」と同様に作成する。これは「一の隣地方式」の算定位置の設定方法が確立されなければ成立しない考え方だ。

 今回の事例で解説する。

まず内接した近似線で区分する。

その後適合建築物は、片流れ状に作成する。その際例示では敷地幅全体に片流れ状に作成しており出隅幅でカットされてない。

その手法によりカットしてみよう。ただし今回は内接近似した隣地境界線の範囲で簡易に作成する。

この部分は算定位置は敷地区分とまったく同様だが適合建築物が垂直切断しない為

となる。

北側の入り隅部は

この様に設定される。ただし例示の様に本来のしきちを含むと
西側の屈曲部が空地として評価される。

その分でクリアーする事になった。この事は可となる。
西側は4の区分領域が1に集約される。


さて円弧部だ。この部分は西側からの高さ制限と比較されてない為やはり敷地全体で区分する事が望ましい。

その結果P1では差分が-0.897%から--0.609%となる。

 JCBAでは隣地天空率はいずれを採用する事も問題ないとされる。次回は敷地形状により設計有利の視点からそれらの利用法を解説する事とする。本日はこの程度で終了する事としよう。


 東京では朝からの雨が雪にかわった。





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