(コラム)夏なので遺言を書こう | 文系サラリーマン独学勉強部屋

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こんにちは、ぎんざけです。

全くの私事ですが、今日遺言を書きました。

 

夏は帰省のシーズンということもあり、遺言に意識が行きやすい季節なので、今日は遺言のメリットを書いていこうと思います。

なお、内容には慎重を期してはいますが、この記事の内容に不正確な内容があったとしても責任はとりかねるため、その点はご留意ください。

 

 

1.遺言はただそこにあるだけで意味がある

遺言と聞くと以下のようなイメージで、わざわざ書かなくてもよいのではと考えている方もいるのではないでしょうか。

 

「自分はそんなに財産があるわけでもないので、わざわざ遺言を書く必要はない」

「うちは配偶者と小さな子ども2人で、遺産分割の揉め事も起きないから、わざわざ遺言を書く必要はない」

 

確かに遺言には遺産相続の揉め事に備える役割があり、遺産が大きくなくて家族も仲良しなら、揉め事に備える必要性は比較的低いかもしれません。

 

一方、遺言があるときとないときとでは、遺された家族がやる手続きが大きく変わります。

遺言は、ただそこにあるだけで、遺された家族の負担が減るのです。

 

例えば、配偶者1人、子ども2人の場合、

「私は、私の所有する一切の財産を、妻に2分の1、長男に4分の1、長女に4分の1の割合で相続させる」

というだけの遺言で十分意味があります。

 

以下詳しく見ていきます。

 

 

2.遺言がない場合の手続き

遺言がない場合、以下のような手続きを踏むことになります。面倒なので、財産は銀行預金だけと仮定します。

 

(1)亡くなった人の戸籍を、その人が生まれてから死ぬまでの分、全て取得する

現在の戸籍だけではその人の相続人が分からないので、その人が生まれた時の戸籍から現在に至るまで、全ての戸籍が必要になります。

例えば「隠し子がいるか」、「その人の両親は存命か」、「兄弟はいるか、存命か」といったことを調べる必要が出てくるのです。

 

(2)[配偶者と未成年の子どもが相続人の場合] 家庭裁判所で特別代理人を選任してもらう

相続人が配偶者と未成年の子どもの場合、そのままでは後続する遺産分割協議ができません。

細かいところは省きますが、民法は「遺されたお父さん/お母さんが、子どもから遺産をぶんどるかもしれない」という危険性を想定しており、家庭裁判所で子どものために特別代理人を選任する必要があります(1か月くらいみておく必要があります)。

ちなみに特別代理人は知り合いに頼んでも良いですが、専門家(弁護士など)に頼むと数万円~数十万円かかります。

 

(3)相続人全員で遺産分割協議書を作成する

遺産分割協議書という書類を相続人全員で作る必要があります。

 

(4)亡くなった人の戸籍(生まれてから死ぬまで)、遺産分割協議書、相続人全員の戸籍、相続人全員の印鑑証明書を持って銀行に行く

 

 

3.遺言がある場合の手続き

次に、遺言がある場合の手続きを見ていきます。

 

(1)亡くなった人の戸籍を、死亡が分かるものだけ、取得する

遺言がある場合、相続人の範囲を捜索しないでいいので、その人が死んだことが分かる最新の戸籍だけで足ります

 

(2)封をされた遺言を家庭裁判所に持ち込んで検認してもらい、検認証明書を取得する

遺言の内容を保存するために、遺言は家庭裁判所で封を開けて検認という手続きを取ります(15分くらい)。これを経ると、検認証明書という書類を取得できます。

 

(3)亡くなった人の戸籍(死亡が分かるものだけ)、遺言書、検認証明書、相続人の印鑑証明書を持って銀行に行く

 

 

4.遺言があるとどう楽になるか

3と4のまとめですが、遺言があると、遺された方がやる手続きが以下のように楽になります。

 

(1)戸籍の捜索範囲が減る

その人が結婚などで違う市町村に本籍地が移ったりしていると、その人が生まれてから死ぬまでの戸籍を取得するためには、複数の市町村に戸籍の請求をしないといけません。

これに対し、遺言があれば、最後の本籍地の戸籍だけで足りることになります。

 

(2)[配偶者と未成年の子どもが相続人の場合] 特別代理人を選任しなくて良い

特別代理人の選任をしてもらうために、遺言がないと家庭裁判所の手続が1か月くらいかかります。

これに対して、遺言の検認は15分で終わります。

 

(3)遺産分割協議書を作らなくて良い

遺言があれば、遺産分割書の文面作成や実印の押印といった手間が省けます

 

いずれも大した手続きではないと思われるかもしれませんが、親族が亡くなった後に、遺された人の負担が少しでも減るのは良いことだと思います。

 

 

5.遺言作成にあたり注意が必要な人

1点だけ遺言作成にデメリットがあります。それは、家族が増えた場合に書き直さないといけない点です。

 

例えば「配偶者1人、子ども1人」の時に遺言を書いた後、子どもがもう1人生まれたら「配偶者1人、子ども2人」に遺言を書き直さないと、2人目の子どもは相続できなくなってしまいます

 

なので、家族が増えたら必ず遺言を書き直さないといけないということを必ず覚えておいてください!!!