PRESTIGEからJAZZLANDへと移籍したRED GARLAND、一番の違いはピアノの音、端的に言えば録音の違い。軽やかにキラキラと輝いていますが、カクテル・ピアニスト感が強まったとも言えます。RVGのオン・マイクの太い音に慣れていたせいか下掲の『BRIGHT AND BREEZY』や『THE NEARNESS OF YOU』を初めて聴いた時は違和感が・・・。

 

 

BRIGHT AND BREEZY(JAZZLAND JLP 48)

 

PRESTIGEからJAZZLANDへの移籍後第一作。PRESTIGEのGARLANDはRVG録音ということもあり高音が伸びない太い音でしたが、それに比べるとキラキラと輝いている上品な音に変身しています。録音のせいか繊細さが増す代わりに躍動感が以前ほどには感じられなくなりました。アップテンポの曲もそれなりに含まれている割には落ち着いた印象のレコード。録音は親会社RIVERSIDEでもお馴染みのRAY FOWLER。

 

 

 

THE NEARNESS OF YOU(JAZZLAND JLP 62)

 

前作より更にテンポが落ち全曲バラード。物思いに耽りながら聴くには最適な、ある意味イージー・リスニング的作品。一時的とは言えGARLANDにカクテル・ピアニストのイメージが定着したのには、多分にこのアルバムが影響していると思います。スタンダードの取り扱いに慣れているGARLANDらしく一曲一曲は素晴らしいと思いますが、さすがにバラードばかり続けられると・・・。2~3曲で管楽器やギターを加えていたら素敵な作品に仕上がったと思います。録音はRAY FOWLERです。

 

 

 

SOLAR(JAZZLAND JLP 73)

 

GARLAND、SAM JONES、FRANK GANTのピアノトリオに、曲によってLES SPANNのギターやフルートが加わるカルテット構成。PRESTIGE時代を含めピアノトリオの演奏が続いていたので、とっても新鮮です。しかもLES SPANNのギターもフルートも控えめなので曲のイメージを損なうことはありません。中ではMILES QUINTETで一緒に演奏したタイトル曲の再演が素敵です。録音は上掲2作と同じRAY FOWLER、輪郭のはっきりした好録音です。

 

 

 

RED’S GOOD GROOVE (JAZZLAND AM 87)

 

タイトルどおりGROOVYな一枚。ORNETT COLEMANやモード・ジャズの出現により純ハードバップが古臭く感じるようになってきた1962年の録音。BLUE MITCHELL、PEPPER ADAMS、RED GARLAND、SAM JONES、PHILLY JOE JONESといずれも生粋のハード・バッパーで、次世代には生き残れなかった面々が織りなすハードバップ最後の輝きを節々から感じることができる秀作。録音技師はED POWELL。

 

GARLANDはこの後、再びPRESTIGEに滋養に富んだ『WHEN THERE ARE GREY SKIES』を吹き込んで70年代に再登場する迄10年近く第一線を退くことになります。