後輩の定年退職を祝う会に出席するため久しぶりに上京しました。当然、空いている時間はレコ屋巡りを予定していましたが、あまりの暑さのためお茶の水だけに。某組合系の基幹店舗、平日の昼下がり、店内は閑散としていてゆっくりと探せました。壁盤や新入荷コーナーには興味を惹くようなものはなく、レーベル別に分かれている廃盤コーナー、VERVEのところで手が止まりました。「OSCAR PETERSON PLAYS」シリーズの色違いが立て続けに何枚か、・・・もしかしたら?と一歩下がって俯瞰すると奥の方にジャケットの天井部分の緑色が見え・・・ドキドキしながら搔き分けるとありました探していた『PLAYS HARRY WARREN』が・・・。

 

 

以前に『買い戻したレコード(6)』」として記載した「OSCAR PETERSON PLAYS」シリーズの全10枚のうち8枚まで再入手、その後まもなく『HAROLD ARLEN』も入手でき、残りは『HARRY WARREN』だけになっていました。

 

 

 

あの村上春樹氏も著書『デヴィット・ストーン・マーティンの素晴らしい世界』の中で「OSCAR PETERSON PLAYS」を取上げていて全10枚のうち9枚までは蒐集するも『HARRY WARREN』が、やはり未蒐集となっています。

 

村上春樹氏の『デヴィッド・ストーン・マーティンの素晴らしい世界』

 

緑色の『HARRY WARREN』が抜けています。

 

PETERSONの作曲家シリーズは、一般にも良く知られた人気のある作曲家から発売され、最初の『COLE PORTER』や『GEORGE GERSHWIN』は良く売れたと思います。ただ先に進むにつれ知名度は低くなり、またPETERSONの演奏も基本的にオリジナル・メロディを崩さないため安心して聴ける反面、斬新さは無く、更に途中でギターがBARNEY KESSELからHERB ELLISに替わるものの、ピアノ、ギター、ベースのドラムレス・トリオの構成は全く同じです。そのためリスナーも枚数が進むにつれて飽きてきて、結果、後の番号になるほど売り上げは芳しくなかったことが容易に想像できます。 

 

 

購入価格は4500円、ジャケットは綺麗だし、盤は全く聴かれてないと思われるレベル。店の買取り価格は2000円程度でしょう、70年も前のレコード(1954年11月録音)で音も抜群なのに・・・。“ラッキー”と心の中で叫んで店を後にしましたが、帰る道すがら、なんだか前所有者やレコードが可哀そうに思えてきました。