ガンボとはルイジアナ州で広く食されているシチュウ、スープ料理の総称。フランス料理のブイヤベースに影響を受けたケイジャン料理やクレオール料理に、複数(スペイン、ネイティブ・アメリカン、カリブ経由の西アフリカ)の文化が出会って誕生しました。同様に、同州ニューオーリンズを発祥の地とするジャズもヨーロッパ+アフリカとのミックス文化の中で自然発生したと伝わっています。

 

 

GUMBO!/ PONY POINDEXTER WITH BOOKER ERVIN(PRESTIGE 16001)

 

アルバムごとに全く指向が異なっていて、およそ一貫性のないPONY POINDEXTER、なかでも異質な本作はタイトルから想像がつくように、ジャズ発祥の地で自身の故郷でもあるニューオーリンズに焦点を当てたもの。ソプラノサックスを吹くジャケットは、SIDNEY BECHETを連想させます。

 

ジャズが、どんどん洗練された音楽になっていくのに危惧を抱いた?POINDEXTERは、ジャズ発祥のニューオーリンズに想いを馳せ、ディキシーランド・ジャズ、ブルース、ケイジャン、R&B、スワンプ等、様々な要素が詰まった”ごった煮”的な音楽に取り組んでいます。この手の音楽には絶対欠かせないHONKY TONK風なピアノは、名手GILDO MAHONESが担当、音楽全体をスウィングさせ、完成度の高いアルバムづくりに一役買っています。ジャズファンにはBOOKER ERVINの参加が話題になる程度で、無視され続けたアルバムでしたが、近年D Jさんやレア・グルーブ系から火が付き再発もされました。

 

 

 

GUMBO / DR. JOHN (ATCO SD 7006)

 

PONY POINDEXTERのアルバムから10年、同じ志向を持ったレコードが、ROCKジャンルのアーティストによりレコーディングされました。上掲のPOINDEXTERのGUMBOはジャズ・ファンには見向きもされませんでしたが、こちらのGUMBOは多くの評論家やROCKを愛好し、そのルーツまで遡った玄人筋には絶賛され、70年代を代表するアルバムにも名を連ねています。こちらにはDR.JOHNのヴォーカル(だみ声)が終始フューチャーされるため、ジャズ・ファンは敬遠されるかもしれませんが、POINDEXTER以上に、ニューオーリンズ音楽に深く食い込んでいます。トラッドの「STACK-A-LEE」などは最高に楽しく、全編で聴けるDR.JOHNのピアノとともに、このアルバムのハイライトです。

 

 

ジャズ・ファンには、DR.JOHNを、ロックファンにはPONY POINDEXTERを聴いてほしいと思います。新しい世界が開かれるかもしれません。