1201番から始まるPACIFIC JAZZレーベルは、途中でWORLD PACIFICに変わり1299番で一旦終了、再びPACIFIC JAZZとしてPJ-1からスタートします。1200番台初頭は如何にも西海岸風の軽量で上品なジャズが大半を占めていましたが、PJ-1以降は西海岸らしくない黒いジャズが台頭します。裏名盤2回目は、その辺を中心に・・・。
 

 

SUNSET EYES / TEDDY EDWARDS (PACIFIC JAZZ PJ-14)

 

正直、COLTRANEやSONNY ROLLINSを聴いた後にTEDDY EDWARDSのレコードを掛けると、あまりの実力の差から愕然とし、途中で針を上げることが多かったのですが、繰り返し聴いているうちにTEDDY EDWARDSだけ聴いている分には十分鑑賞に堪えると確信するようになりました。ただスター級との差は大きく、タイトル曲や「I HEAR A RHAPSODY」のような出来の良い曲がある反面、駄曲も多く、同じ西海岸のCONTEMPORARYレーベルに吹き込んだアルバムの中には、一枚を聴き通すのが辛くなるものもあります。この頃のPACIFIC JAZZは、発足当初の西海岸ジャズから脱皮し、かなり黒さが感じられる音に変貌しています。とは言え、このレコードが好きな最大の理由は、WILLIAM CLAXTONの手になるジャケットが素敵だからです。

 

 

 

LOVE LIFTED ME / RON JEFFERSON (PACIFIC JAZZ PJ-36)

 

ドラマーのリーダー作は難しく、MAX ROACH、PHILLY JOE JONES、ELVIN JONES、ART BLALEYのような大物ドラマーでも自己顕示的なドラム・ソロのため、作品的には首を傾げたくなるようなものが多いように思います。でも、無名に近いRON JEFFERSONのリーダー・アルバムは、なかなか食指が動かなかったことを後悔するくらいの傑作です。若き日のBOBBY HUTCHERSONの参加が目を惹きますが、突出した大物がおらず、メンバー全員が誰にも気兼ねすることなく演奏できたことが良い結果に繋がったように思います。そしてHUTCHERSONのヴァイブラホンのおかげで、野暮ったさが消え、黒さの中にも、ある種の格調の高さを維持できたのも大きかったし、RON JEFFERSONも余計なドラム・ソロは入れずにLEROY VINNNEGARと強靭なリズム・キープに徹したことが成功の要因でした。

 

 

 

TIPPIN‘ ON THROGH / CURTIS AMY (PACIFIC JAZZ STEREO-62)

 

CURTIS AMYは、PACIFIC JAZZに5枚のリーダー作を残していますが、他には、これといった経歴の無いテナー奏者。共演者もJAZZ WESTの『TENOR MAN』で知られるLAWRENCE MARABLEと、のちにクラブ系ジャズで有名になるROY AYERS以外は無名。気心の知れたメンバーとのリラックスしたライブは真っ黒な内容で、ウェストコースト・ジャズが嫌いな方にも、十分楽しんでいただけると思います。上掲の『LOVE LIFTED ME』同様ヴァイブラホン(ROY AYERS)が効いています。